見出し画像

「広告目線な日本ステキ発見!」#4 - コーヒーカップの裏には -

今回は、熊本県を旅しました

今日から令和。私は、実はこの時代の変わり目に、1週間ほど車で九州の下半分を一周している。この1週間で走った距離は、およそ1,000kmになる。

この1週間で訪れた場所のひとつが、熊本県の天草市だった。

熊本県・天草市の崎津集落。熊本の市街地から車で3時間ほど走った先の島の奥地に、山とブルーグリーンの海に囲まれたひっそりとした村がある。普通の日本家屋や神社がある集落の中心に、ひときわ目立つ教会が建っている。2018年に世界遺産に登録された場所だ。

「お姉さん、さては隠れキリシタン、見つけられんかったな?」

ふらっと入った小さい喫茶店でコーヒーを頼んだら、お店のおじさんに、そう声かけられた。

何のことだろう、と思いコーヒーカップを動かすと、受け皿に小さい十字架が描かれていた。

この村では、江戸時代にキリスト教が禁止されていた時代に250年間、わずかに日本に残っていたキリスト教徒がひっそりと暮らしていた。表面上は普通の日本の家庭を装いながら、柱の中に小さいイエス・キリストの銅像や硬貨を隠して、礼拝を続けていたそうだ。村の存在を知った幕府直轄の役人がキリスト教を撲滅するために、踏み絵を敢行した中でも、密かに自分たちの宗教を守り続けたことに、天草の現地の人は今でも誇りに思っているのだそうだ。

お店のおじさんの話があまりに興味深かったのだが、その一方で、250年間もの間、ちゃんと年貢を納めて村民としての義務を果たしているのに違う考え方、価値観を持っているという理由だけで排除されている社会があったことに、残酷さを感じた。

また、こういった情報はポスターやパンフレット、Webサイトにもたくさん書かれていることだが、コーヒーカップの裏側にちょっとした工夫を行うことで、ここまでインパクトがある話として伝えられるのも驚いた。

令和は、どうか、どんな人でもその人らしく生きやすい時代となりますように。そう願わずにはいられなかった。

企画メシ4期の有志で寄稿するコラム集、「コラム街」。
そのほかの執筆者のコラムはこちらから!
https://note.mu/bookandmusic/n/n918043f2d2f2

#企画メシ #コラム街

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?