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Re:ごめんなさい

noteのみなさま、こんばんわ! nanaです!

唐突ですがみなさまは、最近「ごめんなさい」って言いましたか? 言われましたか? 

わたしはごめんなさいっていう言葉が嫌いで、言うのも言われるのもイヤでした。


中学生の時、好きな先輩がいました。バスケ部の主将をしていて、わたしが入学して、部活動紹介みたいなものがあって、そのときはじめて彼を見て、ひとめぼれしました。小麦色に肌は焼けて眉はきりりとりりしくて、鼻が少し潰れているのが何となくチャーミングで、いいなあいいなあと思いながら、わたしはバスケ部のマネージャーになりました。夏の終わり、先輩たちも引退する時期になって、わたしは主将に告白しました。間がありました。主将はきまり悪そうに、

ごめんね、オレ彼女いるから……

それきりでした。

わたしと先輩はその日きり、まったく関わりがなくなりました。ごめんねは魔法の言葉。ふと廊下ですれ違う時があっても、おたがいそ知らぬふり、会釈さえもしませんでした。


あのときの主将がどんな気持ちでごめんねと言ったのか、それがわかるのは、わたしが高校に上がってからでした。

府立の進学校に進んだ年、わたしは文芸部に所属していました。秋の文化祭で、文芸部は屋台をすることになりました。たこ焼き屋さんです。同級生の男子部員とふたりで、材料の買い出しに行きました。ドンキで必要なものを集めて部室までの帰り道、おたがいおしゃべりしながら、話は恋愛についてになっていました。わたしは、何のてらいもなく、自分の恋愛観を話しました。誰でもいい、と。

実際そのときはそうでした。中学生の頃の失恋を経て、まともな経験もせずに高校に上がって、クラスメイト達はもうだれかれとつきあいがあって、私だけが遅れているようで、むやみに焦っていました。

すると相方の男子は一呼吸おいて、言いました。

僕じゃダメかな?

それが彼なりの告白だと気づくまで、時間がかかりました。

こんな何でもないときに言う? というのが第一番に来て、改めて学ラン姿の相手を見やって、わたしは、

ごめんね

そう言っていました。

そこからはお互い会話もなく、どころか翌日からは露骨に差し向かいになるのを避けて、文化祭が終わったあと、その男子は部活を辞めました。

彼の好意を受け止めていれば、また違った高校生活があったのかも知れません。けれどわたしの放ったごめんねその一言で、つながりはバッサリ絶たれ、あとになってわたしは主将から言われたごめんねを思い返しながら、確信しました。

ごめんねは、ピリオド. そこで終わってしまう言葉だ。ここで終わる関係があっても始まる関係はありません。

わたしはこの言葉を嫌いました。言うのも言われるのもイヤで、できればこの後一生、ごめんを使わずに済めばいい。


2週間くらい前に、わたしは彼氏と喧嘩しました。大学に入ってから付き合いはじめたひとで、もう1年半くらい一緒でしたが、はじめての喧嘩でした。

喧嘩の原因は、もうおぼえていません。なにかわたしがささいなきっかけでイヤだなと思って、それを彼に伝えたら向こうがなにか言い返してきて、おたがい突っ張っているうちに、なんとなくやり取りが途絶えました。ふざけたスタンプとか送れるような雰囲気でもなくて、わたしのほうも意固地になって、ふん! としたまま3連休を迎えました。

本当なら、映画とか観にいく予定を立てていました。おうちデートもいいねとか、9月になる前に話していて、そういうことが全部おじゃんになって、わたしはLINEのトーク画面を開いたり閉じたりしていました。アークナイツを1日中していました。

今日の昼ごろ、彼からのLINE通知がありました。未読スルーしてやろう。そんな風に思って、通知の文面だけを見ました。ごめん、から始まっていました。

いやだ。

わたしはとっさにLINEを開いていました。彼からはすぐに既読がついたとわかってしまう。それでもいやだ。ごめん、は終わりの言葉だからピリオドだから、まだわたしは終わらせたくないから。スタンプとかを送ってなあなあにする手もありました。けれど違うと思いました。どう返すべきかわからず、けれど自然とフリック入力で、「わたしのほうこそごめんなさい」そう送信していました。既読はすぐにつきました。

ピリオドがふたつ打たれました。言葉を継いだのは彼からでした。やりとりは手探りに、見返すと自分でもおかしいくらいにおずおずと、おたがいの調子をうかがいながら、わたしの方からいつも使っているスタンプを送ると、いつも通りの雰囲気に戻っていました。あした、会おうよ。彼が言いました。わたしはまたスタンプを送りました。


ごめんなさい、で終わるだけのつながりばかりじゃないと、わたしはようやくわかりました。ごめんをたくさん重ねて、そうしてさらに強く近くなる関係があるはずです。次また彼とごめんのやり取りをするのはいつになるか、それはわかりませんが、そのときもおたがい気づかいあって、手と手を取り直せたらいいと願っています。次はわたしが先にごめんなさいと言いたいですね。

みなさまは「ごめんなさい」と最近言ったり言われたりしましたでしょうか? そこからご相手さまとのつながりはどうなったか、わたしたちのように仲がなおさらに深まる結果になっていればよいと思います。ごめんはピリオドばかりじゃなくて、きっとそこから先に新たに言葉をつなぐ、かけがえのない言葉です。


今日はここまで。読んで頂いて、ありがとうございました! 文章の至らぬところがあったらごめんなさい。つぎはきっとうまく書きます!

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