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今、聴くべきはTOMOO〈後編〉

ポニーキャニオンのにIRORI Recordsというレーベルがあるのだが、昨年メジャーデビューを果たした【TOMOO】というシンガーソングライターをご存知でしょうか?

キャッチーで美しいメロディ、素敵なコード進行(転調技法も含めて)
心にスッと入り込んでる歌声。
情景が見えてくるピアノ。
日常の一部を切り取った歌詞も美しい情景を漂わす歌詞も。ハッとさせるような核心をつくワードセンス。サウンド面でも、ストリングスなどを効果的に使いながら様々なドラムパターンなどアレンジのバリエーションが豊富。
と、何から何までべた褒めなんですが笑

後編の今日は楽曲紹介に参りたいと思います!
前編を見ていない方は先にそちらを!

「泳げない」

前提でお教えしたいのがこの楽曲はTOMOOさんが高校3年生の時につくったという事実です。

「愛」という壮大で無限なテーマを中心に
言葉が言葉の意味を超えて僕らに伝わります。
静寂を包むようなはじまりから曲が進むにつれて壮大なストリングスがドラマチックさを強調させます。言葉や表情と同じように穏やかな波から荒波に変わるようにサウンドの面でも変化が見られます。

色んな楽曲で「愛は〜」と歌われますが、答えのない禅問答だとも思えます。

一人僕は海へ落ちて
飲みこんで飲み込んで
飲み込んだときはじめて
愛の輪郭に触れたけど
今はまだ泳げない

「泳げない」作詞作曲 TOMOOより引用

酸いも甘いも経験してもそれでも尚、輪郭にしか触れられない存在が「愛」なのかもしれません。

「POP’N ROLL MUSIC」

推測ですが、タイトルは恐らく
Chuck Berry原作、BEATLESがカバーして日本公演でも披露したでお馴染み「Rock and Roll Music」という楽曲から来ているのでは?と思います。ロックやポップが奏でる中心楽器が一昔前であればギターが殆どだった頃から比べると多様化が進んだ現代。このタイトルをモチーフに鍵盤を弾きまくってるTOMOOさんがカッコ良い。
鍵盤を中心楽器に構えるアーティストは近年増えており、ロックやポップミュージックの中でも重要な役割を担っているのがピアノなのです。
(全部勝手な推測ですが…)

聴いた時にふと口ずさみたくなって自然と笑顔にするパワーと、実際にピアノに触れたくなるのがTOMOOさんの魅力だと思います。

「ネリネ」

日本には花の名前が曲のタイトルになる事は昔から多くあり、近年でも「マリーゴールド」や「ドライフラワー」などのヒット曲にも花の名前が付けられていますよね。そこでもう一つ踏み込んでみて欲しい事はその花の花言葉を調べてみるとまた聴こえ方が変わったりするものです。

ネリネ 君の潤んだ空に
わたしの歌はもう響かない
ネリネ ネリネ 
君がくれた花言葉の効き目は
とけちゃったんだな

「ネリネ」作詞作曲 TOMOOより

ネリネの花言葉は「幸せな思い出」というものから「また会う日を楽しみに」や「忍耐」と幅広く意味を持ちます。

曲を聴いていくと捉えようによっては破局を迎えたカップルなのか、それとももう物理的に会えない二人なのか。リスナーの想像力を掻き立て、無数の答えが散りばめられている名曲です。

歌を歌う人間が自ら、「わたしの歌は響かない」なんでこんな悲しいフレーズを…
最初に聴いた時から耳を離れない強烈なインパクトを与えてくれました。

「恋する10秒」


どこにでもある普遍的な日常が描かれているラブソングで、少女漫画の主人公のようにピュアで真っ直ぐな思いが歌声に表れています。
大胆な駆け引きなんかなくて些細な事で始まるストーリーの冒頭にこんなフレーズがある。

だって だってさ
ふらっとよろけた階段で
伸ばした あなたの手が
やさしすぎて やさしすぎてさ

作詞作曲 TOMOO「恋する10秒」より引用


駅のホームにいる2人というシチュエーションもベタであり王道系なのだが、それがまた良い。
変化球ではなくストレートに恋をしている
恋する女の子の「あるある」を細かく具現化した作品。

「Cinderella」

12音階という限られた中でなぜこんなにも儚さや脆さが投影できるのか。童話「シンデレラ」を重ねてみる。そこに見える大きな違いは物語の方向性にある。童話「シンデレラ」はハッピーエンドだったはずだ。でも結ばれる事だけがハッピーエンドじゃないのではないだろうか?

途中に「あの夏の二人はいない」とリフレインしているところから加速してあっという間に「新しいコートが似合ってるよ」と季節感は夏から冬に移ります。ここら辺が私を置いて旅立つ君を象徴していますね。変われない私を許し、尊重した彼。後悔が残る私。この構図かもしれませんが、
今は不正解と思えた選択肢も進むにつれて正解になる事があることを伝えてくれる。
人生を長く、線で捉えた時にどう思い出として残るかが大事なのだ。

「ベーコンエピ」


大人になってから出逢う人は特に、その人がどういう環境で育ったのかは色んな場面で試されたりしますよね。全く違う道を歩んでた者同士が一つになるのは当たり前なんだけど感慨深い。

似てるから めぐりあえたのか
違うからさ 惚れちゃうのかな

作詞作曲 TOMOO「ベーコンエピ」より引用

似ていると思う瞬間だけではなくて、全く違う面を見せるから惹かれ合うのかもしれませんよね。
遠く遠くにある未来が見えなくても、今手元にある二人の幸せが何秒後、何分後、何時間後、何年後にもたらす何よりの”証拠”であり”事実”なのかも知れない。

また併せてリズムセクションが良い味を出してますので是非そちらにも注目を!

もうすぐ年越し!2024年も
TOMOOさんの快進撃に目が離せません!

※解釈などは筆者の考えであり、
また違う考えをお持ちの人が居ると思います。
是非そちらの世界観のお話も伺いたいと思っています。また、推測で述べている部分もあるため、誤情報があればそちらもご指摘があればそちらもよろしくお願いします。

※歌詞の引用は全てTOMOOさんの楽曲によるものです。

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