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シメオネの描くフットボールとは? 22-23ラリーガ第2節アトレティコ・マドリード対ビジャレアルより

2022年8月22日アトレティコ・マドリード対ビジャレアルの一戦から戦術と実力の関係について考察する。試合は、アウェイのビジャレアルがアトレティコを完封し2得点を挙げ、0-2でビジャレアルが勝利した。

・基本的な戦術

シメオネ監督と言えば、リトリートで4-4-2ブロック、アグレッシブな球際、ボールを奪ったら鋭いカウンター攻撃を想起するだろう。

シメオネ監督率いるアトレティコ・マドリードはこのような戦術とそれを実行できるタフガイによって、レアル&バルサに肩を並べる3強と言われるまでに成長した。
しかし近年、アトレティコ・マドリードの急成長は失速したかのように見える。それはなぜだろうか?

・強者のサッカーと弱者のサッカー

サッカーには、一般的に格上のチームがとる戦術と格下のチームがとる戦術がある。
格上のチームは、ボール支配率を高めようとする。そうすることで攻撃の時間を増やし得点機会を最大化しようとしている。
強豪のチームであれば、ボールの扱いに秀でた選手が在籍しやすい。その様な選手の長所を活かすためにも、ポゼッション指向のこの戦術は最適解で、強者の戦術といえる。

逆に格下のチームは、格上に対抗するためにボール支配をあきらめる傾向にある。代わりに大勢でゴールを守って少ないカウンターのチャンスをうかがう。
格下のチームは、格上のチームがボールを前進させて相手陣でプレーしようとする分、その背後には広大なスペースが生まれる。このスペースを素早く突くカウンター攻撃を狙っている。
中小クラブは財政面からもボールコントロールの技術のある選手を多く抱えるのは難しい。そこで自身がボールを保持しなくても勝てるように戦術を選んでいる。

このことから、シメオネ監督の戦術は「弱者のサッカー」に分類できる。

・アトレティコ・マドリードの抱えるジレンマ

このようにアトレティコ・マドリードは、国内リーグの3強ともいわれるほどの強豪クラブでありながら、指揮する監督の戦術は中小規模のクラブのそれである。
この矛盾にアトレティコ・マドリードが国内リーグで安定しない要因があると考えられる。
シメオネ監督の志向するサッカーと、ファンが求めるサッカー、さらに選手がしたいサッカーでそれぞれ異なったものになっているのではないか?

・監督の仕事

シメオネ監督は勝負師としても有名である。そんな彼には受け入れられないかもしれないが、自分のやりたいサッカーを公に説明する必要があるのではないか?
やりたいサッカーとは、例えば以下の要素を含んでいる。
・ボール保持を高めたいのか、非保持ベースなのか?
・選手の特徴をどう理解しているか?
・点を取るためにチームとしてどのようなプレーを選択するか?
etc

今後アトレティコ・マドリードが以前のような強さを取り戻すことに期待したい。
でも、ビジャレアルにはホーム戦でも勝ってほしい。。。

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