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ほんのくいちらかし

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ほんのむしの読書記録 ときどき古本市
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ふるほんいちforウクライナ

ひとり古本市、チラシデザイン完成しました。 デザインは削って削っていかないとよくないのがわかっているのに、最初のものは詰め込み過ぎました。 4月2日午後1時から3時まで 京成津田沼駅前ワイガヤ商店街 生活雑貨とアパレルのお店「ユニテ」さん前にて開催です。 私と息子の蔵書(古本)とユニテさんオリジナルのウクライナカラーユニテくんキーホルダーは利益を全額ウクライナ赤十字に寄付いたします。 現在避難しておられるウクライナ人学者オリガ・ホメンコ先生の著書『国境を越えたウクライナ人

読書感想『ウクライナから愛をこめて』

命は理不尽に奪われてはならない。 遠い外国のことと思っていても、明日には自国で起きることかもしれない。 よく知らないからこそ、知らねばならないと思い、図書館のデータベースで「ウクライナ」と検索して表示されたのがこの本だった。 著者のオリガ先生はウクライナの最高峰であるキエフ国立大学をご卒業後、同じ「赤門」をシンボルとする日本の最高峰である東京大学で博士号を取得され、現在はキエフ・モヒラ・ビジネススクール(東ヨーロッパ最古の大学校であるキエフ・モヒーラ・アカデミー国立大学のビ

読書感想『せかいでさいしょにズボンをはいた女の子』

“MARY WEARS WHAT SHE WANTS” by Keith Negley 『せかいでさいしょにズボンをはいた女の子』 作 キース・ネグレー 訳 石井睦美 女の子はきゅうくつで、ごわごわしたドレスを着るのが当たり前、と言われていた時代に、メアリーは動きやすいズボンをはいた。そして大騒ぎになった。 「私は男の子の服をきているんじゃない、私は私の服を着ているのよ」 国際女性デーなので、アメリカで史上初の女性軍医となり、その活躍から女性で唯一名誉勲章を受けたメアリー

読書感想『パリ警視庁迷宮捜査班』

"Poulets Grillés” by Sophie Hénaff 『パリ警視庁迷宮捜査班』 ソフィー・エナフ 著 山本知子・川口明百美 訳 エリート警察官としてのキャリアを築いてきた元射撃オリンピック選手でもあるアンヌ・カペスタンは過剰防衛による容疑者殺害のために6ヶ月の停職となり、夫に離婚され、落ち込んでいたところを呼び出され、問題警官たちを集めて作られた特別捜査班の指揮を命じられる。 与えられたオフィスは古いアパートメント、迷宮入り捜査の書類の山、廃棄品のよう

『文鳥・夢十夜』

The 7th of 7Days Book Cover Challenge. “7Days Book Cover Challenge”7冊目。 ついに最終日。 7冊と限定されるとかなり悩んだが、最後はバタンを渡す方と、このバトンを受け取ったとき、真っ先に浮かんだ本にした。 『文鳥・夢十夜』 夏目漱石 著 表題だけでなく『永日小品』『倫敦消息』『自転車日記』『京に着ける夕』が収録されており、改めて読み返すと、やはり面白い。淡々とした文章でありながら、そこ

『南島の神話』

The 6th of 7Days Book Cover Challenge. “7Days Book Cover Challenge” 6冊目。 『南島の神話』 後藤明 著 ハワイはじめ、ポリネシアの神話を解説しつつ、日本や東アジアの神話との類似点から人類と文化の軌跡を追う、文化人類学の面白さが詰まった本。 だいぶ昔とはいえ、この本を読んでいたお陰で、片山一道先生の『骨が語る日本人の歴史』も深く読むことができたと思う。 息子がまだよちよち歩きだった頃に

『パパ・ユーア クレイジー』

The 5th of 7 days book cover challenge. “7days book cover challenge”5冊目。 『パパ・ユーア クレイジー』 ウィリアム・サローヤン 著 伊丹十三 訳 10歳の少年が語る、作家である父親との生活。 この作品に関しては、サローヤンというよりも、伊丹十三の作品ではないかと思えるほどの名訳で、瑞々しい感性や言葉の使い方は万人受けしないかもしれないが、伊丹さんにしか書けない文章であり、日本人に

『土曜日の絵本』

The 4th of 7 Days Book Cover Challenge. 『土曜日の絵本』 川崎苑子 著 あるところに、若い夫婦がおりました。ある日、2人のもとにコウノトリが元気な赤ちゃんを連れてきました。 若い2人は嬉しくて、三日三晩考えて、素敵な未来がくるように、と、名前を「未来」とつけました… やさしい絵柄で、おとぎばなしのように始まるが、ミクちゃんが6歳になり、新しいお家に引っ越してまもなく、パパとママはケンカをして、ママは2人を置いて家を出て

『風の名はアムネジア』

The 3rd of 7 Days Book Cover Challenge. 『風の名はアムネジア』 菊地秀行 著 全人類を未曾有の災害が襲い、荒廃した世界を1人の少年と1人の女性が旅する、という、銀河鉄道777のような、よくあるディストピア小説ではあるものの、お得意のエログロナンセンスな部分も含めて、菊地秀行さんはこれこそがいちばんの作品であり、他は『吸血鬼ハンターD』含め、全て自作の劣化コピーだったんじゃないか、と思ってしまうほど、長年経っても手離せない、力

『春になったら苺を摘みに』

The 2nd of 7days Book Cover Challenge. ブックカバーチャレンジ2冊目。 『春になったら苺を摘みに』 梨木香歩 著 私が現代の作家さんで最も日本語が美しいと尊敬している梨木香歩さん。 英国で児童英文学を研究されていた時代を思い返されたエッセイ。下宿先のイギリス人婦人や下宿人との交流も含め、ここからかの名作「村田エフェンディ滞土録」が生まれたのではないかと推測している。 #7daysbookcoverchallenge #梨木香

『詩人からの伝言』

The 1st of 7Days Book Cover Challenge. バトンをいただいたので、7days book cover challenge開始。 本来のルールであれば一冊ごとに次の方を指名するのですが、まあそれぞれご事情もあるので、受けてくださった方のみ指名させていただき、その方々からのバトン義務はなしとさせていただきます。 あくまで、新型コロナ感染症に対する文化的、前向きな生活への個人の意志表示であると考えております。 また、この活動によっ

『ナチの亡霊』読書感想

“Black Order” The Sigma Force Series 2 by James Rollins 『ナチの亡霊』シグマフォース2 ジェームズ・ロリンズ 著 桑田健 訳 シグマフォース・シリーズ2作目。アメリカ国防総省の秘密組織、科学者てしての頭脳を持つ軍人たちからなるシグマフォース2代目司令であるペインター・クロウがヒマラヤで見たナチの遺産「釣鐘」とは? コペンハーゲンで行われたオークションでダーウィンの聖書を入手しようとしたピアース隊長は狙われ…

『オックスフォード物語ーマリアの夏の日』感想

“The Warden’s Niece” by Gillian Avery 『オックスフォード物語 ーマリアの夏の日』 ジリアン・エイブリー 著 神宮輝夫 訳 19世紀のイギリス。両親を早くに失い、老いた叔母に育てられたマリアは寄宿制女子校に入学させられるが、厳しい指導に耐え兼ね、オックスフォード大学で学寮(ウォーデン)を務める大伯父の元に逃げ込む。 研究のために始終思索に耽り、浮世離れしたところはあるものの、学者らしく、偏見のない考えである大伯父はマリアの知的好奇心を

読書感想『エレノア・オリファントは今日も元気です』

“Eleanor Oliphant Is Completely Fine” by Gail Honeyman 『エレノア・オリファントは今日も元気です』 ゲイル・ハニーマン 著 西山志緒 訳 エレノア・オリファント 、30歳、独身。デザイン会社の経理。毎日同じ服を着て、同じ時間帯に働き、同じ夕飯を食べ、週末は本を読んでお酒を飲んで寝る。週に一回、毒親の母と緊張しながら話す。 顔の火傷と、合理的な思考や会話のせいで周りから変人扱いされ、友だちも恋人もなく、それを気にもして