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半裸で宮沢賢治、劇団鹿殺しザ・ショルダーパッズ『銀河鉄道の夜』オンラインを観た。

劇団鹿殺し、関西学院大学がルーツの、現在は東京の劇団なのだけど、演出で、主演の菜月チョビさんが福岡出身ということもあり、福岡でもこれまで二回公演があったということもあり、結構気にしている劇団だ。

これまでの二回の福岡公演、2009年の『ベルゼブブ兄弟』@今は亡きスミックスホールESTAも、2013年の音楽劇 『BONE SONGS』@西鉄ホールも、観てるから、鹿殺しの福岡公演は制覇していることになる。あ、いや、東京でも観てた。2008年『電車は血で走る』@青山円形劇場だ。

旗揚げより「老若男女の心をガツンと殴ってギュッと抱きしめる」を合言葉に土臭さと激しさが同居する人間の愛おしさを表現する物語と、役者の身体、パフォーマンスに重点をおいた演出で観客を魅了している。

劇団公式サイトからの引用。

多分それは、「愛おしさ」なのだと思うんだけど、他に言葉が見つからなくって、失礼な書き方になるけど、冷静に見ると、「ばか」とも言えるようなアプローチをしてくる。なのに、観てると、彼らの「一生懸命」が勝ってしまって、観た後には、決して「ばか」だとは言えなくなる。これまで観た作品もそうだった。

しかし、今回のこれ、これはいくら何でも、というビジュアルから入ってきた。1クリック先のビジュアルだけでよいから、一目見てほしい。↓

この、半裸の状態で、宮沢賢治の「銀河鉄道の夜」をやろうというのだから、いろいろ心配だった。それで、怖いもの見たさで、観た。

大変すばらしかった。

著作権が切れて、やりたい放題の「銀河鉄道の夜」をちゃちゃっと拝借して、面白おかしい舞台にしようぜ、というものではなかった。

まず、演出による前説で、なぜ半裸かが語られる。今までの舞台では舞台上にいろいろ盛り込んで、それが自分たちの舞台である、それができないのがつらいと思っていたけど、逆の発想で、すべてを引きはがして、役者の生身の姿を見ていただく、そういうアプローチで想像力を刺激するものを作ればいいじゃないか、と、すみません、相変わらず記憶だけで書いているから、いろいろ間違っているかもしれないけど、そういう趣旨の話だったように、記憶している。

もう、この時点で、私の中では大盛り上がりだった。余計なものを引きはがして、裸で宮沢賢治にぶつかっていこうということなのだから。

もちろん、肩紐を引っ張ったりするおふざけは入っているんだけど、それらが、ただの改変というよりは、「私たちには、銀河鉄道の夜がこんな風に読めた」という、むしろ素直な表現にみえた。

やっぱり観終わったら、「ばか」と言えなくなった。

ショルダーパッズのテーマ、カッコよかった~。

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