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『はまうり』         石垣幸代・秋野和子 文    秋野亥左牟 絵       福音館書店


石垣島に住む知人が、大好きな一冊だと教えてくれたこの絵本。 

作者の石垣さんは、宮古島出身なので、宮古島の暮らしを描いたのだと思います。 わたしが習う宮古民謡の三線の唄にも、“サニツ”という言葉がでてきて、お祝いをするそうです。

“サニツ”

旧暦の3月3日。 潮の満ち引きが1番ある時期。 女の人は、海に入って身を清めます。そして、ご馳走が入った重箱を抱えて浜に向かい、お祝いをします。

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マヤは、おばあ達とみんなで潮の引いた浜で、貝を拾います。どこからか、マヤの名前を呼ぶ声が、、声のする方へ歩いていくと、潮溜まりに青い魚がじっとしています。

“今日はサニツ。はまうりの日。 一緒に海を見にいくか。”

魚からの誘いに、マヤは一緒に海の中を潜っていきました。

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海の中は宝の島。 テーブルさんごに、すずめだいの群れ、ハリセンボンの夫婦、色とりどりの海の中は、陸の世界とはまるで違う。宮古島、八重山諸島の海は、本当にこんな海の中の景色が広がっているって。

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青い魚はいいます。

“マヤ、この海でいのちはうまれるのだよ。海でうまれたいのちが、島に上り、草や木のいのちになり、虫や鳥や獣達のいのちになって、おまえたち人間にもいのちを与えているのだよ。”

私たち人間だけが、この地球に住んでいるわけではない。海があって、山があって、その先に私たちがいる。 それを忘れちゃダメなんだ。 それを忘れるから、色んなことが捻れちゃって、生きにくくなっていく。

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いつの間にか、浜にうちあげられていたマヤ。

おばあが言います。

“その青い魚は、パナリのブヤという、海の神の使いだよ。マヤを呼んでくれたんだ。”

そう言って、海に向かって手を合わせました。

“ダンディ トートゥ きれいな水 きれいな空気 流れる時間 命あるもの 海に始まり 命を育み 命を知る ダンディガー ダンディ パナリのブヤ”

手を合わせる。という意味は、こうして受け継がれるもの。 子供の時は、わけがわからなくても、大人になると、手を合わせていた意味がだんだん分かってくる。

それこそが大事なもの。

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そして、やっぱり、踊りは欠かせないんだな!

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