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倍速視聴と美術館

昨日に引き続き倍速視聴について考える。

倍速視聴反対派は、等倍速で見ないと作品の価値を100%理解できないという。前回も書いたように、3秒の間は3秒であることに意図が込められており、1.5秒では体験が変わり意図が伝わらない。だから倍速視聴は間違っている、と。

倍速にしてしまうと、理解力が低下したり、等倍速で見た時に比べて楽しめないことはあるだろう。それは特に否定しない。しかし、倍速程度で価値が完全にゼロになるような言説は極端すぎる。

ちょうどクソデカ美術館に行ってきて日が経っていないので、美術館の喩えで考えてみよう。特に指定せず「倍速」と言うのならそれは2倍速で見るということだ。「ダッシュで」というから100mを15秒のペースだと仮定しよう。つまり時速24kmだ。

この場合、等倍速の鑑賞は時速12kmで走りながらとなる。一般的にジョギングの速度は時速7km前後と言われているのでだいぶ速い。

実際はそんなことはない。では美術館での鑑賞時間はどれくらいなのだろうか。ある研究によれば、美術館での作品1点あたりの平均鑑賞時間は以下の式で求められる。

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