龍とドラゴン、いったいどこで差がついたのか
これの続きみたいな話。
龍に関する本を読んでいると、著者は龍を特別視しているなと思えてくる。特別視しているからこそ綿密に調べて一冊の本を書けるのだろうけど、門外漢からすると「そうか?」となる。
例えば今回のきっかけとなった『龍と人の文化史百科』では、次のような式が出てくる。
インドのナーガは、コブラを神格化・怪物化した生物である。一般的には多頭の蛇や半人半蛇の姿で描かれることが多い。古代インドの土着の宗教において、ナーガは水と河川の神であった。アーリア人がインドを征服すると邪神となってしまったが、仏教の教えの中でまた神格化された。
そのためナーガは位置づけとして龍に近く、仏教の伝来と共に中国に来るとナーガは「龍」に、上位種のナーガラージャは「龍王」と訳された。故に「ナーガ ≒ 龍」としているのである。
対して西洋のドラゴンは、完全に悪魔や魔獣としての扱いである。聖書の中での扱いは完全に神の敵。またドラゴンの語源である古代ギリシアのドラコーンも、英雄に倒されるために存在する敵キャラである。そしてそれらの祖先と言える古代メソポタミアのティアマトは、天地創生の中で殺される存在だ。故に権力者によって倒されるドラゴンは、皇帝権威の象徴である龍とは異なる存在であると主張しているのである。
しかし、龍やドラゴンについての知識を深めたことで、俺はむしろ龍とドラゴンは同一視していいし、同じものとして扱った方がいいのではと思うようになった。
ここから先は
489字
この記事のみ
¥
100
人に対し何かをしてあげるという事は、全て「見返り」を期待しての行為だ。noteのサポートは文章を読むための「見返り」である。