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モーリタニアで金を使う話に感心する

読んだ。

やはりこの人の話は面白い。前の2冊も面白かったので、今回もさっさと買って読んだ。学術書とは言っているが、半分くらいは紀行文。とはいえ研究関係の内容が薄いわけではない。単純にボリュームが多く、新書のくせに608ページもある。俺の手持ちの本だと、『利己的な遺伝子 40周年記念版』が584ページで近い。どんだけだよ。厚みが知りたい人は著者の記事を見ると良い。

これだけボリュームのある本なので色々と語れる点はあるのだが、俺が特に印象に残った点がある。それは著者が頻繁に身銭を切って、他人に与えることだ。

前作でもその傾向はあった。せっかくバッタが集団が発見されても、自分が調査する前に駆除されてしまう。だから駆除前に一報を入れてほしいのだが、向こうからすればそんな義理は無い。だから現地のごちそうであるヤギを丸ごと一頭プレゼントして、調査隊を仲間に引き入れた。

このエピソードは特に印象的だったので、前作を紹介した時にも取り上げている。だが、ヤギは高級品とはいえ、一匹約一万円。無収入の研究者にとっては痛手だが、とはいえ日本人からしたらそこまででもない。

しかし本作は違う。前作が25万部のベストセラーになったので、著者には使える金がある。だから使う金額も桁が上がっているのだ。

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