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地域で子供服を循環させる取り組み

ぜひ全国で真似してほしいと思う取り組みがあるのでご紹介させてください。

それは「子供服リユース」という取り組み。
サイズアウトしただけでまだ十分着ることができるような子供服を、地域全体で循環させようという試みです。

■子供服の抱える問題点

子供服は、早いものだと半年くらい、ワンシーズンで着られなくなります。
大人の場合、「着られなくなる」というのはせいぜい「流行が去った」とか「体形が変わった」などで、自分の意識次第で十分に活用できるものなのですが、子供服はそうはいきません。何しろ数ヶ月で信じられないほど体が大きくなるのです。
子供を抱えている家庭では、半期に一度は洋服の総入れ替えをしないとならないほど。今年の夏に着た夏服は、来年の夏にはもう着ることができない。なるべく安く済ませたいけど、保育園では毎日「着替えを〇着用意してください」などと言われるし、事実子供はよく洋服を汚すので、かなりの枚数が必要。それが半年~1年で一気に使い物にならなくなる。

兄弟児のいる家庭なら、まだ「下の子に着せる」という選択肢もあります。が、我が家のように兄弟で性別が違うところや、下の子の方が体型的に大きい場合、また、5歳を超えれば立派に「個人の好み」も出てくる、などなどの理由から、兄弟がいてもどうしようもないケースも。

近所のママ友に譲るというのも意外と難しいと聞きます。
なぜなら「あなたの子供には、うちの子のお下がり程度がお似合いよ」とdisってるように受け取られることもあるのだとか。よほどの信頼関係のある人としかお譲りができない。
まして、転勤族などの場合、近所に知り合いもいないケースも多々。

こうなると中古服専門店に売るしかないのだけど、これがまたブランド品でもない限り、売れない。
しかも子供服って、学校や園から「必ず名前を記入してください」と言われるため、仕方なく洋服のタグなどに名前を記入。そうするとブランド品でも買取不可となるケースも(←※「落書き」とみなされる)。

仕方なくサイズアウトした子供服は捨てるしかないのだけど、ご存じの通り、ごみを捨てるにもお金のかかる時代。まだまだ着られるのにもったいない…などと罪悪感を抱えながら断捨離にいそしむ人も多いようです。

■地域全体で取り組む必要性

こうした世の中を受け、地域全体で子供服を循環させるという動きが全国規模であります。
簡単に言うと、地域全体を家族とし、その中で子供服を循環させるのです。
地域全体で取り組む利点としては、当然ながら(1)その地域のごみの量を減らせるということ、(2)その地域の小学校の体操服など、その地域でしか使用しないものが多数あるということ、(3)イベント企画によって「循環させよう」という機運を高めるということ、などがあるでしょう。

■簡単な流れ

仕組みはまぁ簡単で、地域全体から「自分の子供はもう着ないけど、まだ十分着られるレベルで、なおかつ無料で譲ってもいいよ」という洋服を募集。それをサイズごとに仕分けして、(1)常設展示で来店者に譲る(2)地域イベントとして日時を設定して人を集めて大々的に譲る、などの方法で循環させます。

どことは言わないのですが、私がかかわっていた団体では、地域でお祭りのある日に公民館の大ホールをお借りして、大々的にイベント的にやっていました。

①市の広報などで募集をかける
②公民館などを借りて募集・保管させてもらう
③スタッフでサイズごとに仕分け・設置
④イベント当日に無料で配布

こんな流れです。

■運営について

スタッフについて:
我が市では、イベントスタッフは全員無給のボランティアスタッフで行いました。市のボランティアセンターに登録しているボランティアさんに声を掛けます。結構な人数(みんなご高齢の方ではありましたが)が集まってくださいました。

告知・収集方法について:
市の広報に告知(無料)を出し、「まだ着られる子供服をお譲りください」と募集をかけました。
残念ながら「市内」といっても広いので、「取りに来てください」というご依頼はお受けできませんでした。あくまで「自分から持参できる人」からの募集をお待ちする形です。

保管方法について:
イベント当日までは公民館の倉庫をお借りします。市のボランティアセンターが絡んでくれたおかげで会場費なども無料で運営できました。この辺にお金がかかる場合は、いろいろ検討しないといけないかもしれませんね。
また、イベント以外にも、公民館のロビーには一部の子供服を常設展示してもらっていて、いつでも自由にそれの子供服を貰えるシステムになっていました(もっていく際には公民館スタッフに一声だけかけてもらう)。

イベント当日について:
イベントを始めた当初(まだ認知されていなかったころ)はそうでもなかったのですが、徐々に認知されるようになると、デパートのバーゲンセールのような集客状況になっていき、開場1時間前から行列ができるようになってしまいました💦
「10時から15時開催」という感じで告知をしているのですが、だいたい12時にはほとんどすべての子供服がなくなっているという状態です。

■問題点

①「まだ着られる子供服」を募集しているにもかかわらず、古びたオッサンのダブルのスーツとか、ぼろ布とかを持ってくる人が結構いました。こちらもご寄付でいただくものなので、ご持参なさった際に「中身の確認などはせずに全部受け取る」というスタンスだったので、ゴミの量もかなりなものになります。
あと、「まだ着られる」の感覚が人によって違うのでしょうか…「どう見てもこれは子供に着せられる状態ではないよね」という洋服も…。この辺も、人のご厚意で成り立っているイベントですので、かなり難しいところがあります。

②スタッフの負担はそこそこあるかなと思いました。かなりの人数がいたので分担はできましたが、我が市の場合、20人くらいのスタッフで3時間くらい仕分けをしました。20×3=60時間ですからね…人数が少ないと結構厳しいかもです。集まる洋服の量にもよりますが。

③場所の問題。我が市は、ボランティアセンターや市を巻き込んで実行できたので、公民館が無料で使用できる(=市主催のイベント扱い)にできたため、こういった雑費が必要ありませんでした。個人でやる場合はその辺がネックかも。

明らかに転売目的の人が来ること。一人で恐ろしい量の洋服を持って帰る人がいて、一応声をかけたりはするんですが、「うちには大勢子供がいるからこれくらい必要なんです!」と言われてしまうと、もう何も言い返せない…。
持ち帰り枚数に制限を設けることも考えましたが、田舎なので本当に5人兄弟6人兄弟という家庭が普通に存在するんですよね。無料のイベントならではの問題ですが…。

■意義ある活動だと思う

問題点も多々あるイベントなのですが、このイベントを通して子供からも「この洋服、私にはもう着れないけどきれいだから公民館に持っていこう」などと言う言葉が出るようになりました。

私は整理収納アドバイザーとして「人の家の片付け」を本業としていますが、「譲る先がある」と分かると、人はモノを手放しやすくなるということを身に染みて感じています。

個人の家を、着れなくなった子供服でごみ屋敷にしてしまうのを防ぐ目的としても、かなりいいのではないかな。実際に、子供服で埋もれて部屋のドアが開かない、なんてお宅は多いんですよ!(それでいて、その子供はもう成人してたり・苦笑)

ぜひ皆さんの地域でも、こういう活動を広めていただきたいなぁと思っています。


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