PEEK A BOO考察

フレデリックの新曲「PEEK A BOO」の話。

リリース前からライブでは度々披露されており、オタク一同今か今かと待ちわびていた曲。テンポを自由自在に行き来し、あちこちから愉快な音が聴こえてくる、聴覚面での魅力ももちろん十二分にあるのだが、歌詞を改めて読み込むと、とある仮説にたどり着いた。あくまでもわたしの中ではとてもしっくり来る、という仮説にすぎないので「ほーん、こんなん思うオタクもおるんかー」くらいに捉えていただけると幸いです。

読む前に、一度PEEK A BOOを聴き、歌詞も読んでみて欲しい。

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歌詞全文はこちら

それでは早速結論から。

PEEK A BOOの歌詞の一人称(ここでは仮に「僕」とする)は幽霊である。

どことなくお化けとか幽霊とか、そういった存在が感じられる歌詞ではあるが、何故わたしは「僕」を幽霊であると仮定したのか。以下、歌詞とともに考察していく。

恨めしや 恨めしや

Bメロの歌い出しのこの歌詞が、「僕」の発言である、という前提でわたしの仮定を説明していく。
まず、「恨めしや」を辞書で引くと、「幽霊が出てくる時に言うとされる言葉」とある。つまり、「僕」が「恨めしや 恨めしや」と言っている=「僕」は幽霊である、と仮定できる。
いきなりここから始めると少々強引な仮定に見えるかもしれないが、これに基づいて他の歌詞を読んでいくと辻褄がばっちり合ったので、最後までお付き合いください。
ここからは歌詞の時系列通りに進めていく。


そんなとこ隠れてんと もうちょっとこっちおいでよ

歌い出しの歌詞。これは「僕」から「あなた」への発言だと考えられる。
何故「あなた」は隠れているのか?それは「僕」が幽霊だからである。恐れているのだ。
恐れられているにも関わらず「一生戯れあっていこうぜ」と続くので、「僕」は「あなた」に対して好意的な印象を持っている、仲良くしたいと思っているのではないか。

ちゃんと見て 触れ合って 交わって

前述の歌詞に続くこの歌詞。
幽霊は、「あなた」にとって、ちゃんと見えない、触れ合うことができない、交わることができない存在である。だからこそ、幽霊である「僕」は、「あなた」に対して、「ちゃんと見て 触れ合って 交わって」と望んでいる、と考えられる。


もう一丁前に気使ってさ てか突っかかってないで

そう望んでも「あなた」は「僕」を受け入れずに気を使うし、突っかかってしまう。そんな「あなた」を宥める言葉だと、わたしは捉えた。


特別を気取ります

ここ。個人的に座右の銘にしたいくらい刺さった、ピカブのハイライト歌詞なのですが。
「気取ります」ってことは、決して自分は「特別」では無い、という自覚が「僕」にあるということだと思う。こう思う根拠、もう少し後で出てくるので覚えていて欲しい。


あなたの風に吹かれてゆく

これは完全にイメージの話ですが、幽霊、風に吹かれて飛んでいきそうじゃないですか?軽そうですし。
「あなたの風」は、「あなた」が動いたことによって起こった風、だと解釈した。


あやかし姿のろくでなし

ここが恐らくこの曲の核。初めて聴いた時、ここの歌詞の印象があまりにも強かった記憶がある。
「あやかし」は妖怪、「ろくでなし」は役に立たない、という意味。ちなみに「あやかし」には愚か者、という意味もあるらしい。
愚か者で役に立たない自分。曲の冒頭では人から見えない、触れ合えない、交われない状態を脱したい、と歌った自分。誰にも気づかれない、特別ではない自分。
「あやかし姿のろくでなし」という、誰にも気づかれない、特別ではない存在だからこそ、「特別を気取ります」と、そう宣言したのではないだろうか。
幽霊という存在自体、ある種特別な存在であるような気もするが、ここまでの歌詞の中で「僕」が、「もうちょっとこっちおいでよ」「ちゃんと見て」などと、「あなた」の注目を集めることに憧れている描写があることから、「僕」にとっての「特別」は「あなた」に気づいてもらえることであり、「僕」=幽霊=特別ではない(誰にも気づかれない)存在の象徴、であると考えた。


ベイビー愛しちゃったんだ いかれたView

少し飛んで、ここ。またまた結構強引な仮定を使う。
まず、ベイビー=「あなた」とする。「あなた」が「愛しちゃった」「いかれたView」とはなんなのか。「いかれた」とあるので、本来なら見えたらおかしい、見えてはいけない、そんなものが見えたのではないか。ここまでの考察で登場した、本来なら見えない、「いかれた」ものは?
お気づきの方もいらっしゃるでしょうか。そうです。幽霊である「僕」です。「あやかし姿のろくでなし」とも言える。
つまり、「ベイビー愛しちゃったんだ いかれたView」は、「あなたは愛しちゃったんだ 幽霊の僕を」という意味になる。
「愛しちゃった」、に「〜してしまう」の表現が用いられていることも考察すると、「あなた」は本来なら愛してはならないもの、だと分かっていながらそれでも「僕」を「愛しちゃった」。そのことを、「僕」が嬉々として「愛しちゃったんだ!」と話しているようにわたしには見える。
あまり詳しくないので分からないが、ホラー映画とかに出てきそうで怖い。

以上のことから、PEEK A BOOの歌詞の一人称(ここでは仮に「僕」とする)は幽霊である、と考える。幽霊が主役の曲、めちゃくちゃ怖い。「僕」が幽霊であるという仮説は、あまりに辻褄が合ってしまい、震え、勢い余って夜中3時にnoteを書ききってしまった。

怖いけど、怖いのが楽しい。その楽しさを知ってしまったから、抜け出せない。それがこのPEEK A BOOの魅力で、フレデリックの魅力だと思う。私たちが「愛しちゃった」「いかれたView」とはフレデリックのことなのかもしれない。これからも「ちゃんと見て 触れ合って 交わって」いきたい。

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