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「さよなら遊戯」の解説

方野冥利(ほうのめいり)です。
趣味でシンガーソングライターをやっている。

私は、上記の「さよなら遊戯」という作品を、FRENZ2023というイベントに出展した。これについて、解説というか、備忘録チックなものを残しておきたい。

↓FRENZ当日の様子・心情等、詳しくはぜひこちらを参照されたし。

方野冥利名義としてこういったオフイベントに参加するのは初だった。


~制作について~

さよなら遊戯は、前作「姫って呼んでよ」がアップされた2023年3月14日直後から作り始めた。
FRENZの映像提出の最終締め切りが8月末。手を付けるの早すぎでは?と思う方も多いだろうが、これで正解だった。

長く苦しい戦いだった。1作目「セラ」、2作目「姫って呼んでよ」の制作にも同じくらいの時間がかかっていたので、これくらいかかるだろうという予測は出来ていた。仮に手を付けるのが1ヶ月遅かったら、さよなら遊戯は期日までに完成していなかっただろう。

一応、FRENZには未完成品を提出して、YouTubeにアップするときに完成品にしておくことも可能ではあったが、そんなことを許せるような性格ではないし、そんな熱量であのイベントは戦えないと思った。少なくとも自分は技術が未熟なので、ベストを尽くす、という点で勝負するしかなかった。

その結果、楽しい楽しいデスマーチの日々だった。地獄みてぇなスケジュール。1作目2作目もこんな感じだったので、かれこれ1年半くらい生きた心地のしない生活を送っている。休みが休みではない。さすがに年内は小休止を取ろうと思う。死んでしまうので。

~参考にしたもの~

・わかれうた / 中島みゆき
 コンセプトの根底にある。この曲、中島みゆきのような、と評されている方がいてビビった。バレている。

・ルビーの指環 / 寺尾聰
 これは参考というか、無意識下にあった感じ。冷めた紅茶というフレーズはここから来たのか?破局繋がりで雰囲気が似てるかも。

・ジョバイロ / ポルノグラフィティ
 これも似てるかも。MVにちょいちょいオマージュがある。

・フォニイ / 可不 feat.ツミキ
 MVに要素がちょっと入っている。ちょっとでも知ってたらすぐ分かっただろう。

・記号を食べる / ひきだしにテラリウム
 九井諒子先生の短編集より(曲じゃなくてマンガ)。
 まる、さんかく、しかくを食べる話で、MVにおける図形が出てくるシーンの着想元。


~枚数~

786+14+4=804枚
(メイン+背景+文字情報=全体の枚数、ざっと)

~曲について~

曲に関しては、なんせオケと歌詞を作ったのが2年近く前なので、残念ながらあまり覚えていない。

倍々ゲーム…バイバイゲーム…さよならのゲームだとしたら、さよならと言った方が勝ちかな…的な発想で組み上がった曲ということは覚えている。2年経って、オケはめちゃくちゃ直したかったが、当時のベストということであえて直さなかった。

サビは、なんとなく歌ったメロディーが良かったので、素直にそれを採用した。それを基にAメロやBメロを考えた。

歌は3日かけて録音した。7月上旬に1回、7月下旬に1回、8月中旬に1回の、計3日。

撮った歌(1回目)の中で、気に入らない箇所だけ撮り直して(2回目)繋げたら、違和感が生じてしまったので、全部撮り直した(3回目)。
ピッチ修正も全てやり直しになった。そのおかげか、だんだんピッチ修正ソフトの扱いに慣れてきたのは良かったかもしれない。

~映像について~

作画は言わずもがな大変だった。ギャインギャインにカメラが動く映像ではないが、アニメーションはまだまだ不慣れだからか、ちょっとした動作を描くのも難しい。前回までと異なり、締め切りが明確にあるため、あまり動かさないようにしようとしていたつもり。なのに、前作と同じレベルで動いているような?

花束を叩きつけて花びらを散らすシーンが私の中では1番の見せ場で、同時に1番大変だったところでもある。
崩れる作画。頼むから一時停止しないでね。塗っても塗っても出てくる塗り残し。見つけないでね。散る花びらを描いたデータ消失。描き直しました。

今回の映像での目標は、「背景を描く」ことと、「撮影を頑張る」こと。

「背景を描く」。

何を隠そう私は背景描くの大嫌いマンであり、なるべくパースから逃げる方法を考えまくるマンである。が、今回の曲は物語色が強いので、避けて通れなくなってしまった。全編において背景を描くと、嫌になって完成しなくなる。ので、喫茶店の場面のみ背景が存在する。

最近読んだ本に書いてあったのだが、もしかして背景って、色を先に置いて、線画を後で書くのがセオリー?

だとすると、全く逆のことをしている。キャラクターの絵を描くのと同じように線画→塗りの順で描いたせいで違和感が生じているのだろうか。

あと、色遣いはもっと極められる気がする。最近の私の静止画イラストは「心で見たときの色」を大事にしている。
例えば、キャラクターの優しさを表現したいときには、白髪のキャラであっても、その中にピンク色を入れたりする。そういう描き方が自分には合ってるな、と思う。

で、今回の色彩設計だが、写実感を重視したくて「目で見たときの色」でほとんどを構成した結果、堅苦しい色合いになってしまったような気がする。

曲の印象に引っ張られたのか、自由な色遣いが出来ていないように感じる。自分の良さが出ていないというか。今後の課題である。

「撮影を頑張る」。

アニメには撮影という工程がある。絵作りの仕上げ的な作業で、画面をより良くするために行う(と、認識しているが合っているのだろうか)。

これを頑張ろうというわけだ。これまでのMVでは9割方、絵を配置してアニメーション状にしておしまいだったが、今回は空気感を出したかったのでこの目標を掲げた。

それにしても、撮影の技法については、ま~じで資料が無い。静止画イラストの描き方の本はあんなにあるのに。

ただでさえ少ないアニメーションの本の中で、撮影の本なんて下手したら両指で足りるんじゃないか。そんなことは無いか?

とにかく、目のつくところには全然置いてなくて困った。一応2冊ほど買ったが、参考にできる部分はわずかだった。これは今回の作品では、
という話で、本自体はとても良質であった。

様々なアニメーション動画を見た結果、要はグラデーションで、乗算とか加算とかオーバーレイらへんを重ねるってことか?という結論に至った。なんか、そんな気がした。

それを実践したところ、上手くいった気がする。光と影を意識しながら、見よう見真似で画面を構成していった。経験値がたくさん得られた。
この作業のあるとなしとでは、画面はかなり変わる。撮影の重要さを思い知った。

というわけで、課題はありつつも全力を出せた作品となった。出来上がった映像を見て、何ヶ月も頑張った甲斐があったと感じる。
学んだこともたくさんあるので、これからも精進していきたい。

FRENZに出展し、他の方の作品と並ぶことで。自分の作品はなんてクオリティが低いんだ、と打ちひしがれるんじゃないかと心配していたが、案外そういうことは無かった。よーし、もっとがんばるぞ!といった感じで、今とてもポジティブだ。それは、自分の作品が、自信をもってベストを尽くしたといえるからだろう。

皆さんの感想、とても嬉しいです。大げさじゃなく、生きる希望となっています。これからも頑張りますので、応援よろしくお願いします。

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