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雑記(2023.05)

5月ももうすぐ終わりである。このところ私は何をしていたのだろう。
特に何もしていない……というのも寂しいので、つらつら思い出してみようと思う。


5月といえば、ゴールデンウィーク。
ゴールデンウィークは仙台を経由して、山形の立石寺を訪れた。

立石寺のことをどこで知ったのか記憶にないが、このお寺は松尾芭蕉が「閑さや 岩にしみいる 蝉の声」の一句を詠んだ山寺として有名らしく、ずっと気になっていた。

ゴールデンウイークということもあり、なかなかの人出で「しずかさや……」としみじみすることはなかったが、確かに音が岩にしみていきそうな不思議な光景であった。

松尾芭蕉がこの俳句を読んだのは1689年のことらしい。350年前に誰かが登った山道かもしれないと考えると、なんだか感慨深い。そう思いながら山頂に着くと郵便ポストがあった。集荷時刻を見ると、ほぼ毎日誰かがここの郵便を回収しているようだ。車で登れそうな道はなかったように思う。ここまでの道中は毎日登るには少し大変そうな山道であった。お疲れ様です。

山形はラーメンが有名らしいと小耳に挟んだので、駅前でラーメンを食べた。美味しかった。


旅行から帰ってきてからは、ひたすら銀河英雄伝説の本編を読んでいた。

友人からアニメを勧められて観ていたところ、話がどんどん面白くなるので、つい原作の小説も買ってしまった。本編10巻、外伝5巻という圧巻のボリュームである。
動乱の銀河を生きる英雄たちの物語を、小さなシングルベッドに丸くなって一生懸命読んでいた。ちょっと寝不足になった。

本編が怒涛の幕切れだったので放心してしまい、外伝にはほとんど手が出せていない。(どうしても気になっていた1巻だけ、本編を読み始める前に読んだ。ユリアン少年の日記の巻である。これも本編を読み終わったあとだったら、なかなか手をつけられなかっただろう……)
本編の読了から二週間近く経って、心も落ち着いてきたし、少しずつ外伝も読み進めようかなと思っている。


別れてからも何故か私の部屋に遊びにきていた相手から「もうここに来るのは最後にしようと思う」と言われた。昨日のことだ。まぁ、潮時だろうと思った。一抹の寂しさはあるが、もうどうでも良い心持ちだったので、そう決めてくれて助かった。相手が言わなければ私がもう来ないで欲しいと言っていたはずだ。

きっとこの人間に関連する情報や思いは、私の中から徐々に消えていくのだろう。
段ボール箱の中に記憶を詰めて、部屋の隅っこに置いておく。そうして放置しているうちに、中の記憶は砂になり、段ボールの隙間から溢れて空っぽになる。その段ボールを次に開けるとき、私はなんの記憶を詰めた箱だったのかも思い出せないだろう。

本当のことを言うと、もうすでに忘れつつある。昨日の晩御飯だって忘れてしまうのに、どうして覚えていられるのだろう。もう私にとってはどうだって良いことなのだから。


スピッツの新しいアルバムがリリースされた。
ここ最近のアルバムの中で一番好きかもしれない(アルバムがリリースされると毎回言っている気もする)。しなやかで強かで、明るいけどちょっと寂しい。

今回のアルバムは音も結構シンプルな気がしていて、バンドサウンドを押し出したスピッツの曲が好きなので嬉しい。メンバー全員で歌う曲や民謡テイストなど、どんどん新しいことをやっているなぁと新鮮な喜びもある。

このアルバムに入っている「美しい鰭」がApple Musicのグローバルチャートに入っていて驚いたのだけれど、この曲はコナンくんの映画の主題歌になっていて、きっとコナンくんパワーがここまでランクを押し上げたのだろう。

コナンくんを観た人が何度もリピートして聴いているのかな、などと考えると、せっかくだし、私も映画を観たいな、という気持ちが湧いてきた。それで、今日はいそいそと映画を観にいった。

コナンくんのアニメを最後にみたのは小学生の頃だと思うので、人間関係とかわかるのかしら、とちょっと不安で、こんな人間がど真ん中で観るのも憚られる……と妙な遠慮をして一番端っこの席をとった。

妙な遠慮をしていたけれど、さすが国民的映画。私のような知識不足の人間にも優しく、面白かった。小学生の頃の私は灰原哀が好きだったことを思い出した。大人になった私はベルモットが好きだった。

美しい鰭のイントロのカラッとした感じが灰原哀の心情とマッチしている気がして、エンディングのイントロのドラムが聞こえた瞬間に涙してしまった。葛藤があっても自分の中では決着がついた、その軽やかさ。歌詞も良い。ロケハン楽しかったんだろうな〜というエンディング映像も良い。

「壊れる夜もあったけれど、自分でいられるように」
そうだね。

最後まで読んでくれてありがとう。