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チャイルド・ライフ・スペシャリスト(プロフェッショナル 仕事の流儀2023/5/9放送を観ての感想)

ようやく観られました!!

2023年5月9日放送の
プロフェッショナル 仕事の流儀
Child Life Specialist 佐々木美和さん

https://www6.nhk.or.jp/nhkpr/post/original.html?i=38501

学生時代にCLSさんを知り、佐々木さんを知り、小児医療の臨床現場を経て、大学院で医療コミュニケーションを研究している者です。

Twitterには書ききれない思いの丈をここに残そうと思います。

前半部分で、心にぐっときたのがここです。

「私が聞きたいって思った瞬間、聞けなくなるような気がしてて。
私の聞きたいのために子どもたちがしゃべるっていうのは、たぶん本当の子どもたちの声ではなくて。
本当に聞こえてくるものを聞きたい。」

という佐々木さんの言葉。

傾聴って本来こういうことなんだよなあ、と。

話に耳を傾けること自体じゃなくて、話すにいたるまでの関係性が大事だと改めて思いました。

その関係性を育んでいくのが、

自分が感じていることを言っても、あの人なら流さないし、怒らないし、笑わないし、ちゃんと受けとめてくれるはずという安心感

そしてもちろん楽しいときや苦しいときを一緒に過ごした時間も。

(医療系学生や医療者が掲げるスキル的な"傾聴しましょう"に足りないのはこういうところなんじゃないかな…自戒を込めて)

もうひとつ共感したところが、

病気で治療をするときの、痛い、こわい、つまらない、わからない、会えない、遊べない、学べない…etcを

しかたない、じゃなくて、変えていきたい。

というところです。

忙しいとか、人手がないとか、お金がないとか、なにかあったら困るとか、医療者側ができないままにしておく理由はいくらでもでてきます(病院勤めの頃、自分にもっとできたことがあっただろうに…再び自戒を込めて…)。

でも1mmも事態は動かせないかって言ったらそうではなくて。

CLSさんご本人たちから、すでにCLSさんや同様の職種の方が働いていらっしゃる病院から、CLSさんやHPSさんがもっとたくさん身近にいる欧米などの海外から、ちょっとずつでも真似して学んでいけるものがあるはずです。

私も小児医療に関わってきて、これからも関わっていきたいので、なにか一歩でも前進させるようなことができたらいいなと思います。

そして、佐々木さんたちのようにスペシャリストにはなれずとも、チャイルドライフの心をずっと大事にしたいです。

たぶんそこが、私が大学院でPatient- and Family- Centered Careを研究テーマに選んでいる原点なんだと再確認できました。

途中、佐々木さんからCLSとしての存在意義を憂う言葉がありました。

ですがおそらく、CLSさんに実際に会ったことのある子どもたちやご家族や医療者は、その存在意義を心から感じていらっしゃると思います。

一度CLSさんがつとめてくださったら、もうCLSさんのいない病院にはきっと戻れないでしょう…それくらい不可欠な存在です。

とはいえ、まだ日本では十分には知られていない、資格が海外でしか取れず人数が少なくてCLSさんに会えない小児患者さんもいる、がんばりが診療報酬に反映されない、など課題も残されています。

今回有名なテレビ番組で、子どもたちとご家族の声を聞き心を通わせる佐々木さんの姿を取り上げてくださったことは、個人的にとても嬉しいことでした。ありがとうございます!

これからもCLSさんがどんどん活躍してくださることを願っています。

最後にCLSさんのことをもっと知りたくなったひとへ

私が勝手に調べて関心のあるものだけになっちゃうのですが、いくつか情報を並べておきます。

-チャイルド・ライフ・スペシャリスト協会
https://childlifespecialist.jp
日本のCLSさんの協会のWebサイトです。

-Association of Child Life Professionals
https://www.childlife.org
CLSさんの国際組織のWebサイトです。CLSの認定資格を与えています。

-医療を受ける子どもへの上手なかかわり方 第2版
https://www.jnapc.co.jp/products/detail/3645
様々な場面でのCLSさんのかかわり方が具体的に紹介されているテキスト。医療者向け。

-Child Life Services(Pediatrics, 2021)
https://publications.aap.org/pediatrics/article/147/1/e2020040261/33412/Child-Life-Services
英語論文ですが、CLSさんのお仕事とは何ぞやというのがまとまっています。

放送でご紹介があったCLSのパイオニア藤井あけみさんのご著書は恥ずかしながら未読だったのでこちらにはあげていません。
この機会に読んでみたいと思います!