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『桐島、部活やめるってよ』TRPG その4(進行編)

7 シーンとその進行

 『桐島』TRPGは、数日間をいくつかのシーンで区切ってキャラクターが判定を行う。
 目安としては3日間だが、短縮しても多くしてもよいだろう。

 GMは、最初に何日間の話にするかを宣言する。
 キャラクターを作成したら、プレーヤー間で簡単にそのキャラクターの自己紹介と、GMの持参したNPCキャラクターをチェックする。
 ボーナスポイントリストがあれば、それを提示する。誰がどういうキャラクターなのかを確認し、ボーナスポイントになりうる行動を皆が確認したら、ゲームスタートである。

 1日目の【目標日常点】を発表し、大まかに時制を区切る。
 大体1日を3つか4つくらいの時制に分けると良い。

 プレイヤーはGMの提示したシーンや時間帯で、行為判定が出来そうと感じたら、そのキャラがどこで、何をしているのか宣言し、判定が起きそうなシチュエーションを探る。
 GMは、プレーヤーが指定した場所の様子を描写し、そこでキャラクターが何をしているのかを問い、行動を促す。このようなやり取りをしていく中で、キャラクターが【行為判定】をしていく。

 場所の描写をプレイヤーが提案してもよい。説得力があれば、GMはそのプレイヤーの提案を受け入れ、あらためて描写し説明する。また、別プレイヤーのシーンに、他のプレイヤーが参加してもよく、逆に他のプレイヤーに登場をお願いしてもよい。
 この時、もしプレイヤーが行動を思い付かないならば、GMがNPCを動かし行動を起こしてもよく、また【映画版タイムテーブル】を参照に、映画内で起きた事件を描写し、プレイヤーに行動判定を指定してもよい。また、【事件ランダム表】(後述)を使用してもよい。

 もし、GMもプレイヤーも行動を思い付かなければ、そのまま次の時間へシーンを飛ばしてよい。

 以降、GMは時間軸を提示し、プレイヤーがどこにいるのかの宣言と、描写、そして判定を繰り返して行く。

 全ての時制を消化し、1日の終わりを迎えた時点で、プレーヤーが目標日常点に達していなければ、そのプレーヤーは「私」を3点減少させるペナルティを受ける。
 その時もし「私」が0以下になってしまったら、ゲームオーバーであり、以降のロールには登場できなくなる。

 これらを繰り返し、GMがあらかじめ示した最終日までに、プレーヤーのキャラクターが「存在している事」を目指す。勝者敗者などはいない。ただ、生きのびるのが目的である。

※拡張ルール

 もし、行動に指針が持ちにくければ、GMはセッションの最初に各キャラクターに「目的」を持たせてもよい。

 例えば、「三日目までに、特定のNPCと「恋人関係」になるようにする」「最終的にスクールカーストを1上昇させる」「桐島を発見し、話しかける」など。

 各人に課せられたその目的が達成できたかどうかで、勝敗を決めてもよい。

8 映画版レギュレーションによるゲームの進行

■1日目・金曜日

GMは1日目の【目標日常点】を発表する。
そしてGMは、別表の【映画版タイムテーブル】を参照にし、金曜日の朝の時系列から時間帯を提示する。

参考までに「1日目金曜日」で、映画内で起きた事件などを列挙する。

1     朝の時間軸
【全校朝会にて吹奏楽部、バレー部、映画部が表彰される】
【桐島が県選抜に選ばれたというアナウンス】
【映画部はタイトル『君よ拭け、僕の熱い涙』笑われる】など

2     授業中の時間軸
【体育の時間。男子はサッカー、女子は体育館で何らかの運動】
【じゃんけんでチーム分け。運動が不得意な前田と武文が最後まで残る】

3     帰りのHRの時間軸。
【竜也に体当たりされ、映画秘宝を落とされる映画部たち】
【竜汰がパーマ失敗と言われる。さわんなよとか言われていちゃついている】
【菊池宏樹に手を振る野崎沙奈。吹奏楽部の亜矢目線。宏樹の後ろ。宏樹は外を見る。亜矢も外見ている】
【水曜日提出の調査表が配られる】
【前田が女子らに笑われる】など。

4     放課後16時~下校時刻までの時間軸
【体育館のバレー部で桐島が部活を辞めた事が発表される】
【映画部二人が職員室で顧問と話す】
【校舎裏でバスケットをしている帰宅部達】
【桐島の彼女らが桐島が辞めた事を知る】
【剣道部の奥の映画部部室で、自分たちで映画を撮ろうと決断する前田ら】
【屋上で吹奏楽部の部長がサックスをふいている】
【屋上で映画部と吹奏楽部が場所をあらそう】など。

5     下校後の時間軸
【予備校に宏樹がいくも桐島がいない】
【宏樹が帰りのバスの中で桐島の彼女・飯田梨紗と同席する】など。

 この1日は、この世界でキャラクター達が「桐島」が部活を辞める事を知る前までどういう日常を過ごしていたのかをロールするパートとなる。
 桐島が部活を辞めた事を、ごく限られた人間しかまだ知らないが、行動によってはキャラクターたちも知る事になるだろう。

 ゲーム上重要なのは帰りのHRの時間で【水曜日提出の調査票が配られる】事だろうか。これの提出が、ゲーム終了の1日後に行われる、というのを意識すると、キャラクターは動かしやすいかもしれない。1日目は、このシークエンスを必須としてもよい。

 GMも、そのキャラクター達に合わせてNPCを登場させたり、あるいは原作のタイムテーブル表を参照にして、原作キャラクターたちの動きを描写するなどして、プレイヤーが行為判定を行えそうなシチュエーションを模索し、想像する。

 ただし、プレイキャラクターの行動で原作NPCらがその後の行動を変えるかもしれない(原作の流れと変わるかもしれない)場合は、GMやプレイヤーはその後のNPCがどう行動するのかを、想像しながらプレイし続けると良い。つまり、歴史の改編は大いにあり得るという事だ。

 学校外での出来事を描写したい場合は、土日のシーンを挟んでもよい。
 ここでは目標日常点は設定しないが、「私」を回復する判定を行いたい人がいれば、土日のどこかの時間軸をシーンとして利用すると良いだろう。
 単純に、かすみ(橋本愛)と絡みたくなったから、『鉄男』の上映されている映画館(デパートのシネコン)に行くというのも悪くない。

映画での出来事は
土曜日【バレー部の試合が行われるが惨敗する】
日曜日【前田が映画館でかすみと出会う】

■2日目・月曜日

 GMは2日目の「目標日常点」を発表する。1日目よりも点は高くする事。
 ゲーム時間を短縮する場合は、この日からゲームスタートをしてもよい。
 
1日目と同じく、朝のHRからGMは描写する事になるが、この朝の時間軸で、
【A組の朝のHR前に、バレー部の小泉風介が久保の所に、朝練習を来なかった事をつめよる】
【さらに久保が桐島について、彼女である梨紗につめ寄る】

 の事件を発生させ、プレイヤーキャラクターは桐島が部活を辞めた事を知らせる(察する)とよい。
 これにより、キャラクターたちは1日目とは違った「日常」を生きる事になる。

以下は映画版の主なイベントである。

1     朝の時間軸
【バレー部と梨紗の事件発生。桐島が部活を辞めた事がF組中に知られる】

2     昼休みの時間軸
【男3人が石段で会話】
【校庭のベンチで実果が沙奈と梨紗に「笑ったでしょ」と因縁をつけられる】
【映画部が血糊姿のまま購買を並んでいると、バド部二人に追い越される】

3     放課後の時間軸
【屋上で亜矢はサックスを拭いていると後輩も来る】
【グラウンド近くのフェンスで映画部が撮影している】
【体育館でバレー部が練習】
【ミスドで梨紗と沙奈が会話】
【校舎裏で「俺たち何でバスケしてるのかな」といいつつバスケする帰宅部3人】

4 下校後の時間軸
【宏樹が帰宅する途中、公園でキャプテンの素振りに遭遇し身を隠す】

■  三日目・火曜日

 GMは3日目の「目標日常点」を発表する。2日目よりも点は高くするとよい。
 この日のどこかに、【桐島を見かける】というイベントをキャラクターに体験させてみたい。原作では帰宅部3人組の「友弘」がそれをするが、GMの裁量でいいタイミングで桐島(らしき人物)をちら見せするとよいだろう。

1     朝~昼の時間軸
【バレー部の風介は部員に「今日桐島は3者面談で来る」と聞かされる】
【帰宅部3人組も、桐島が面談で来るらしいとHR後(あるいは移動教室の合間?)で噂する】
【廊下で沙奈が宏樹に科学棟の裏で待ち合わせをしようと約束する】

2     放課後の時間軸
【進路相談室に風介が来るが、沙奈に「いない」と言われショックを受ける】
【部室近くで、映画部が顧問に撮影を中止されたと報告するが、続行を決意】
【教室でかすみと竜汰がミサンガ巻いてる所を前田が目撃】
【科学棟裏で映画部が撮影】
【亜矢が科学棟裏でサックスを吹くが、場所争い】
【科学棟裏で宏樹と沙奈がキス】
【バスケットコートにいた友弘が桐島らしき人物が屋上で飛び降りたのを目撃】

3     夕方の時間軸
【皆が屋上に集合する】
【屋上で撮影していた映画部が邪魔され、前田は怒る】
【ゾンビとなった部員たちがバレー部等を襲いかかる】
【かすみが沙奈を殴る】
【騒ぎがひと段落し、宏樹がカメラのキャップを渡す】
【宏樹が野球部の練習を見つめる】

4     その後の時間軸
(映画では描かれていない)

 このゲームにおいて、大きなオチがつくという事はないと思って構わない。
 無理にオチに向かう必要はない。映画の登場人物達は屋上で何かをし、何もせず終わる。プレイヤー達はさらにその外側にいて、何を思い、何をするのか。それは、プレイしてみないとわからない。

 だが、もし彼らに明日が来て水曜日になったら1日目のHRで配られた「調査票」を提出しなければならない。その事を意識したエンドになる、というのが、自然な終わり方になるだろう。

8-1 NPCについて

 以下は、映画版の登場人物をゲーム的に査定したNPCリストである。2種類あり、特徴要素と秘密を持たせたと主要人物NPCと、基礎能力値のみのNPCの2種類ある。基本的にはNPCは基礎能力値のみで事足りる。特徴要素はむしろ使わない。なんか作っちゃったので、乗せているだけである。

 原作主要登場人物NPCリスト
 原作サブ登場人物NPCリスト

 教師や後輩などもNPCとして作成できるが、高校二年生以外のキャラクターは、スクールカーストを持たない。(どうしても使う場合は、カッコ内の数値を使う事)

8-2 オリジナルNPCについて

 映画の登場人物だけでは少ないと思うので、オリジナルNPCも少数作成した。
 オリジナルNPCリスト

 実際のプレイ最中で、緊急にキャラが必要と感じたら、これらを使うか、あるいはその場でサイコロを7回振り、以下のシートにスクールカースト以下能力値を決めてNPCとするとよい。
 白紙NPCシート

 部活が決まりかねる場合は、ランダム表の部活決定シートを使うとよい。

特殊な判定、ルール補足編に続く→

(写真:ニシデアンナ


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