山本健介

ジエン社という劇団の主宰です。yamabom@gmail.com

山本健介

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マガジン

  • 高校演劇審査員日記

    山本が2019年9月に初めて高校演劇の審査員をやった時のツイッターのまとめです。以降、審査をやらせてもらうたびに長文ツイートするので、その都度まとめています。劇のアーカイブとしてもご活用いただければ幸いです。

  • 『何もしない園』について

  • 「ただ居る」記。

    ひょんなことから、毎週、劇場の喫茶スペースに「ただ居る」事になった人の、ただ居た記録。ただ居ると聞いて、いろんな人が来訪してきたよ。

  • 弱小高校演劇部のヒラコ

  • 『桐島、部活やめるってよ』TRPG

    映画『桐島、部活やめるってよ』を題材としたTRPGルールブックのまとめ集です。

最近の記事

【上演のあてのない脚本が、ただここにあります、の会】について。

 こんにちわ。  The end of company ジエン社という劇団を主宰している、山本健介です。  上演のあてのない一人芝居の脚本を書きました。ただ書きました。『永遠幼稚園』というタイトルです。幼稚園のお話。一人で演じる前提で書きました。45分くらいの長さです。  ダウンロードはこちら。   こちら、今すぐ上演、というアテはついていません。  この脚本を使って、いろんな人にあいたいと思って【上演のあてのない脚本が、ただここにあります。の会】をしたいと思っていま

    • ある日の高校演劇審査員日記・2022年秋その③

       前回、前々回引き続き、高校演劇の審査員をやって、見た高校の感想をかきまーす。前回の記事はこちら。 9/25 ① 都立紅葉川『野田秀樹のせいじゃない』  日にち変わって、二日目。紅葉川高校の作品は、OB創作による新作劇である。  オッというタイトル。これは劇中でも説明があるけれど、この高校演劇部でおきた(であろう)事を元ネタに作られた怪作!  前年の高校演劇の大会が、劇作家の「野田秀樹」……東京芸術劇場の芸術監督の都合のせいで選出されなかったと思い込んだ紅葉川高校の演

      • ある日の高校演劇審査員日記・2022年秋その②

         前回に引き続き、9/19・24・25日と、高校演劇の審査員をやり、主に講評で何を言ったかをかきつつ、「こんな劇がこの地上に出現したのですよ」という事を、書いていこうと思います。  今回は地区大会2日目、9/24日に上演された五校について書いてます。  この日から会場も変わり――というのもなかなか大変で、もともとの会場だった場所がコロナの陽性者が出たという事で使用ができなくなり、急遽変更になったと。  大変なのは、そこで照明機材の無い空間で、舞台機構が大きく異なってしまう。

        • ある日の高校演劇審査員日記・2022年秋その①

          はじめに  さて今年も山本は、高校演劇の審査員というものをやってきました。ありがたいことにこれで3回目……くらいだったかしら。あと新人フェスみたいなものやった覚えがあったり。  第45回東京都高等学校文化祭演劇部門地区大会・第76回東京都高等学校演劇コンクール地区大会発表・城東地区Aブロックの、2022年9月19日・24日・25日分の、計15団体(一つ辞退あり)の審査をやらせていただきました。  この中から、次の中央大会に向けて2つの推薦高を決め、さらに優秀校を5校選出す

        【上演のあてのない脚本が、ただここにあります、の会】について。

        マガジン

        • 高校演劇審査員日記
          18本
        • 『何もしない園』について
          8本
        • 「ただ居る」記。
          13本
        • 弱小高校演劇部のヒラコ
          4本
        • 『桐島、部活やめるってよ』TRPG
          9本
        • ジエ子さん
          10本

        記事

          演劇以前の演劇の話【第6回】「生身の距離」

           人と会わないことが感染症対策になるようだ。  なるべく人に会わず、人と接さず、人と同じ空間におらず、人と会話を交わさない。同じ空気を吸わない。同じ釜の飯を食べない。  テクノロジーの発達もあって、人と会わないでも生活できるようにはなった。同じ空間におらず、同じ空気を吸わなくても、私たちは人とやり取りができる。主に通信機器を通じて人と話ができ、何かを注文する。配送にはどうしても人が介在するが、指定の置き場所を指示しておけば、生身で人とやり取りを知らずとも物を受け取れる。  

          演劇以前の演劇の話【第6回】「生身の距離」

          演劇以前の演劇の話【第5回】「布団の中に居る」

           いろいろとダメになってしまったので、「よし、ダメになったときこそ、演劇を見るのだ! 演劇はこうした、ダメになってしまった人たちのためにあるのだ!」と思ったが、行けていない。お世話になった人たちの舞台も結構あるのですが、見に行けてないのです。  布団から起き上がれないからだ。  や、ほんとうのところは全然起き上がれるし、毎日早朝、労務があるので労務のために起き上がり、出社し、労役をしている。起き上がれています。全然元気です。  だが、いろいろとダメになって「布団から起き上

          演劇以前の演劇の話【第5回】「布団の中に居る」

          演劇以前の演劇の話 【第4回】「死なない」

           死んだら、演劇できないんじゃないかなあと思った。  もちろん、演劇以前に、死んだら生活ができない。なので私たちは演劇するためにも、がんばって死なないように生きているのだけれど、つい数か月前、睡眠時無呼吸症候群というものに、私はなった。その時お医者さんに、 「医師として、山本さんが明日寝ている最中突然亡くなったとしても、私は驚きません」と言われて、そうかー、死ぬかもしれないんだー、明日にも、と思った。  検査入院のデータによると、私は寝ている間、70回くらい呼吸が止まってい

          演劇以前の演劇の話 【第4回】「死なない」

          演劇以前の演劇の話 【第3回】「体調悪い」

          「なーんか体調わるいんだよねぇ」  という言葉が、演劇の稽古場から消えてしまったなあと思った。これは演劇の現場だけではないだろう。職場だったり、町内会の集会や商店街の店先、老人ホーム、あるいはデート現場にだって、この言葉が出現することがあった。大体、出会って冒頭に言う。話しやすい相手に、時候の挨拶のように、体調の悪さを、ぼんやりと言っていた。  今、この言葉を口にすることはできない。少しでも体調が悪い場合は、人と会ってはいけないからだ。少なくとも演劇の現場では、体調の悪さを

          演劇以前の演劇の話 【第3回】「体調悪い」

          演劇以前の演劇の話 【第2回】「物を置く」

           演劇の稽古をするときに、ここに物を置きっぱなしにしていいかどうか、結構重要なのだった。  また演劇の稽古場の話になるのだけれど、僕が借りる稽古場は公民館的なところが多く、そこに、基本的には物を置きっぱなしにはできない。  置きっぱなしにできないということはどういうことかと言うと、稽古が終わったらそこで使った道具や置いた物を、いちいち片付けなければならないという事だ。  無かったことにしなくてはならない。  そこで演劇の稽古をしていたという痕跡を、何もかも失くさないといけな

          演劇以前の演劇の話 【第2回】「物を置く」

          演劇以前の演劇の話 【第1回】「移動」

           劇団主宰者が演劇をする以前にやっておかなくてはならない事は、よく考えたら沢山あった。沢山すぎて、何から書いたらいいかわからないくらいだ。  沢山すぎるものといえば、ご飯だ。ほっかほっかのご飯。ほっかほっかのご飯は、無数の炊いたお米で構成されている。遠目から見たら、それは一つのほっかほっかご飯に違いない。だが一つ一つ眺めたらそれはもりだくさんの――。  この例え話は違う気がしてきた。 ……なんかこう、「遠目から見たほっかほっかご飯」の事を「演劇」と言いそうになっていたが、ほ

          演劇以前の演劇の話 【第1回】「移動」

          ある日の高校演劇審査員日記 2021年夏 その5

           「その1」から長く書いてますが、東京都城東地区高校演劇新人デビューフェスティバルで一人審査員した話の、今回は総評といいますか、あの……どういう風にして賞を決めるっていう話を考えたいと言いますか。  賞。そう。審査員として呼ばれるってことは、賞、決めるんだろうなあと思っていたら、これが結構大変だった。量が。という話をします。約9000字ほど……目次すらたたまれてしまう長さよ……。  今回のシリーズはこれが最後なのですが、高校演劇の審査員をやるひとがが賞を決めるとき、こんなこ

          ある日の高校演劇審査員日記 2021年夏 その5

          ある日の高校演劇審査員日記 2021年夏 その4

           さて今回で全校分感想フォロー。2021年・東京都城東地区高校演劇新人デビューフェスティバルの2日目の午後の部の6校分の感想になります。 2日目 午後の部①【都立成徳】『札束浪漫紀行』 お札に印刷されている偉人たちが、令和日本を見つめつつ議論をするというワンダーなお話。衣装に力が入ってたなあ。  これは仕方のない事だったのかもだけど、若干音響レベルが大きく、冒頭のいくつかのセリフが聞き取りづらく、また、登場人物たちが「お札の肖像になっている」ということに、けっこうね、気が

          ある日の高校演劇審査員日記 2021年夏 その4

          ある日の高校演劇審査員日記 2021年夏 その3

           ひきつづき、2021年・東京都城東地区高校演劇新人デビューフェスティバルの講評を言葉にしてみました。2日目の午前の部の4校の様子です……。 2日目 午前の部①【都立足立西】『BEAR HUNTER HUNTER』 こちら生徒創作というか、2日目は確か、全校が生徒創作。熊が出てきた。戦う。最終的に、顧問の先生が出てきた。そんな話。  演劇は何のためにあるのか、というのも日々考えたり、わからんなあと思ってはいるし、答えも容易には出ない。  でも、他者の前に自分を晒す、見せる

          ある日の高校演劇審査員日記 2021年夏 その3

          ある日の高校演劇審査員日記 2021年夏  その2

           前回に引き続き、2021年・東京都城東地区高校演劇新人デビューフェスティバルの19日ツイートしたものをまた書きます……。今回は午後の部の5校分になります。 午後の部①【都立小岩】『夢』 19日の午後一発目の公演。生徒創作。進路希望調査を提出できないでいる男子生徒が夢と現実のギャップに苦悩するというお話。  現実の高校生が、現実の高校生を演じるって、けっこうむつかしいのだろうなあと思う。モチーフと距離感が近すぎるのか。  そもそも「演じる」ということに、なにか特殊なこと

          ある日の高校演劇審査員日記 2021年夏  その2

          ある日の高校演劇審査員日記 2021年夏 その1

          2021年夏2021年6月19日と20日…… 山本はまた、高校にきておりまして、東京の……東京都の高校演劇の「城東地区」の、新人デビューフェスティバルという、短編演劇大会の審査と講評をやってまいりました。で、それの感想を当日ツイッターしたんですけれど……。  当日は汗だくだった。異様な、汗だ。汗だくで講評してしまって、なんか清潔感なくてもうしわけなかったなあ。汗まみれで劇の感想をぺらぺーらしゃべる人に、当日なってしまってたなあ。  クローズドな会で、他者として劇をみるのは僕

          ある日の高校演劇審査員日記 2021年夏 その1

          演劇以前の演劇の話【第0回】

           私は劇団を主宰し、演劇を、まあまあやっている人である。  なので、演劇について、なにか話したり、書いたりしたら、世の中の人々に何かお役に立てるかもしれないなあ、とは思っていた。思っていたがしかし、私のやっている事は、はたして演劇なのだろうか? と思う事が、しばしばだ。  たとえば、演劇をするために、稽古をする。  じゃあ、その稽古は、どこでやるのか。  私のやっている演劇は、ほとんど金銭的な利益が出ていない。むしろ、赤字だ。やればやるだけ、死ぬことになる。  死ぬのは別

          演劇以前の演劇の話【第0回】