見出し画像

涙の理由を知りたくて

 わたしは昨日、退職のご挨拶をするため、Yさんの職場にお伺いしました。

 普段わたしは仕事用の服+ナチュラルメイク+地味めの髪型という格好でYさんの職場へ行っていたのですが、昨日はスーツ姿+ちょっとだけ華やかなメイク+落ち着いたハーフアップという格好で。

 色んな方から「可愛い!」「お姫様だ」と絶賛してもらえたので、わたしは、

 「Yさんがほんの少しでもいいからわたしのことを可愛いって思ってくれたらいいな😊」

 と淡い期待を抱きながら、いざYさんの職場へ。

 早速、窓口で声をかけると、Yさんがパッと振り向いて、その瞬間、目を見開いて、頬がピンク色に染まり、ニコッと笑ってくれました。

 そしてYさんはほんの少しフリーズ。

 すぐにハッとした顔をして窓口に出て来てくれたのですが、笑っているのに悲しそうという不思議な表情をしていました。

 わたしがびっくりして言葉を失っていると、Yさんは右手でご自分の心臓のあたりをさすりながら、

 「…ちょっと…。心が…。…心が折れそうになりました。でも大丈夫なので心配しないでください😣」

 と言ったので、わたしは咄嗟に「いいえ心配です!」と言おうと思ったのですが、心配しないでと言われた直後に心配ですというのも負担をかけてしまうよね…と思い直し、

 「そうですか…? わたし、働く場所は変わりますが、4月からの職場でもYさんにお世話になりますし、これからも気軽に声をかけてもらえると嬉しいです😄」

 と努めて明るい笑顔で言いました。

 すると、Yさんは、

 「はい。これからもよろしくお願いします🥺」

 と言ってくれたのですが、やっぱり目に涙を浮かべていたし、目が赤くなっていました。

 わたしはその涙の理由について触れて良いのか分からず、戸惑いました。

 涙に気づいていないふりをして、

 「これ、ささやかですが皆さんに…。おやつにしてください😄」

 と退職のご挨拶のお菓子を差し出しました。

 Yさんは黙って大きく頷き、お菓子を受け取ってくださったのですが、その時のYさんの顔色の悪さといったら!

 それはわたしがこれまで見た中で一番元気のないYさんの姿でした。

 Yさんが職場の方たちに声をかけに行ってくれて、皆さんが窓口に出て来てくださったのですが…。

 わたしが皆さんそれぞれと挨拶をしている間、Yさんはわたしの真正面に立ってわたしをジーッと見つめたまま押し黙っていました。

 そこで、

 「〇〇(わたしの4月からの職場)でちっちゃいのがチョロチョロしていたら、わたしだと思って声をかけてください😄」

 とわたしが言うと皆さんがドッとウケてくれて、Yさんも笑ってくれたので、わたしは少しホッとしたのですが…。

 Yさんはつられて笑った程度。

 心からの笑顔では無さそうでした。

 …そんな感じでとても心配ではありましたが、わたしは他にもあちこち挨拶に行くところがあったので、そのままYさんの職場をあとにしました。

 Yさんが追いかけて来てくれることも無かったので、わたしはひとり、帰り道、

 「そうか…結局わたしはYさんに好かれていなかったということか…」

 とぼんやり思いました。

 だんだんわたしもウルウルしてきましたが、

 「わたしに対して少しでも好意があったわけではなく、Yさんは単に親切で優しい人だったのかも。それがYさんの気持ちなら、わたしは受け止めるしかないね。今までありがとう」

 と自分に言い聞かせました。

 その後、挨拶まわりを終えて、スーツから仕事着に着替えて通常通りの仕事をしていると、しばらくして、Yさんの職場の男性が仕事の用事のついでにこっそりわたしに声をかけてくれました。

 「たぶん彼、これでG-darkさんとさよならだとは思っていませんよ。うちと〇〇(わたしの4月からの職場)は何かとお付き合いがありますから。うちも4月から大きく体制が変わるので、彼は異動がない分、うちの職場の柱になります。彼はしっかりしているけど、若いから本当はプレッシャーだと思います。G-darkさんが引き継ぎ等で今までで一番忙しそうなのを見て、彼は遠慮したんじゃないかなと思います。真面目すぎるところもあるので。僕たちとしては彼をひそかに応援していたので、今日は何も動きがなくて残念でしたが。スマートなことが出来るくらいなら、あの見た目で彼女がいないわけはないです、やっぱり純なんです。実は以前、うちの職場で〇〇(わたしの3月末までの職場)の仕事のやり方が物議を醸したことが何度かあります。彼はいつもG-darkさんのことだけは必死に庇っていました。〝G-darkさんにこれ以上負担をかけるのはやめよう〟と他の人と話していました。それに、いつもG-darkさんのことを遠くからジーッと、近くではチラチラ見ている。彼はバレていないと思っているみたいだけど、みんな気づいてても言わないだけです。はっきりと彼自身に確かめたことはないけど、G-darkさんは彼にとって必要な存在なんだろうなと思います。〇〇(わたしの4月以降の職場)でも新しい出会いがあると思いますけど、彼の存在も忘れないでいてください。4月に入ってから彼が仕事の用事で〇〇(わたしの4月以降の職場)にやって来る可能性も高いので、その時はまた優しく話をして、今まで通り癒してあげてください。彼は基本的に真顔だけど内心喜んでいるから」

 と。

 わたしは勝手に、「わたしの退職日までにYさんからのアプローチが無ければ脈なし確定だ」と思い込んでいたので、この声かけに救われる思いがしました。

 確かに、Yさんは最近いつもわたしに話しかける時いつも、

 「G-darkさんは物凄く忙しい時なのにすみません🙇」

 と過剰なほど謝ってきました。

 その気遣いがひしひしと伝わってきました。

 わたしは、Yさんがそんな風に庇ってくれていたことも、他の人に声をかけてくれていたことも、今まで知りませんでした。

 諦めようと自分に言い聞かせた恋なのに、今になってますます好きになってしまい、嬉しいけれど苦しいです。

 もしかしたら今回その方が教えてくれたことがYさんの本心なのかもしれませんし、

 わたしはYさんから完全に振られたのに、その方がわたしを慰めてくれただけなのかもしれませんし、

 両方の可能性を否定できません。

 わたしとしては、

 「脈なし9割、脈あり1割」

 のつもりで気持ちを切り替えようと思います。

 今後新しい出会いがあったら、そちらも大切にします。

 わたしが勝手に期待して勝手にショックを受けて勝手にかすかな希望も残しているのが、本当はYさんにとっては嫌なことかもしれませんけれど…。

 とにかくこれで一区切り。

 このnoteで、わたしのYさんへの片想いを応援してくださった方たちにとっては残念な結果になってしまいました。

 ガッカリさせてしまってすみません🙇‍♀️

 わたしも色々思うところはありますが、ひとまずわたしとしてはやれることは全部やったので、Yさんへの片想いはわたしの成長に必要なことだったのだと思います。

 Yさんに対して感謝の気持ちばかりが溢れてきます。

 優しいから、わたしをはっきりした言葉や態度で振らなかったのかもしれませんね。

 他の男性たちはわたしに「可愛い」「綺麗」と言って、わたしの外見を褒めてはくれたけれど内面は褒めてくれず、連絡先を聞いてきたり、告白をしたり、ラブレターを書いたりしてくれましたが、

 一方、Yさんはわたしの外見を褒めてくれたり告白等をしてくれたことはありませんが、「優しい」「明るい」「しっかりしている」「親身になってくれる」「どこに行っても通用する」とわたしの内面を褒めてくれました。

 この差は何なのだろう…? とつくづく考えさせられます。

 もしかしたら外見も内面も褒めてくれる人が一番良い相手なのかもしれませんが、言葉だけならいくらだって取り繕えるもの。

 Yさんがわたしに見せてくれた誠実な態度や、真顔だとクールなのに笑うとすごく可愛いところや、頬や耳を赤くしていたところ。

 全てがわたしにとっては宝物の思い出となりました。

 ただ…、「Yさんの涙の理由を知りたい」という気持ちは、わたしの心にずっと引っかかっています。

 もしYさんにとってわたしが単なる取引先の女性に過ぎないとしたら。

 そういう人が辞めて、また近くの職場で勤めるというだけで、あんな風に涙を浮かべるものだろうか?

 …と。

 以前、「花粉症は無い」と聞いたので、花粉のせいで涙目だったというわけでも無さそうですし…。

 黄砂の影響も疑いましたが、わたしが声をかける前は涙目になっていなかったので、よく分かりません…。

 顔色が良くなったり悪くなったりしたことも気になります。

 また、わたしは「Yさんを泣かせる存在」というよりは、「Yさんが泣いていたら傘をさしてあげて、そのまま一緒に相合い傘が出来る存在」になりたいな…といまだに思っているので、あの涙の理由がいつまでも気になるところです…。

 いつかYさんに涙の理由を聞ける日がきますように…。

いつもスキ・フォロー・コメント・サポートをありがとうございます😄 とても嬉しくて、記事投稿の励みになっています✨ 皆さまから頂いた貴重なサポートは、本の購入費用に充てさせていただいています📖