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イングリッド・バーグマンの魅力がたっぷり〜「聖メリーの鐘」

シネマヴェーラ渋谷は、10月23日から11月19日まで「神話的女優」をテーマに様々な作品を上映している。

先週はルビッチ監督、マレーネ・ディートリッヒ主演の「真珠の首飾」を観た。今週の上映作品で、食指が動いたのがジョン・ヒューストン監督の「アスファルト・ジャングル」。ベネチア映画祭で男優賞を獲得した、サム・ジャッフェの存在感が凄い骨太の犯罪ドラマだった。この映画の”神話的女優”はマリリン・モンロー、脇役をチャーミングに演じていた。

折角渋谷まで出てきたからと、「アスファルト」の次に上映された「聖メリーの鐘」をついでに観た。これが当たりだった。

アカデミー作品賞に輝いた「我が道を往く」と対をなす作品、どちらもレオ・マッケリーの作・監督で、ビング・クロスビーがオマリー神父役で主演する。RKOが先に「聖メリー」の制作を開始するが、完成・公開はパラマウント制作の「我が道」が先の1944年、「聖メリー」は翌45年の末となった。

ドラマは、バーグマンが修道院長を務める聖メリー教会に、オマリー神父が赴任してくるところから始まる。なお、この映画でのバーグマンは一貫して尼僧の姿である。しかし、美しい人はどう細工しようが美人である。

当時のバーグマンは、1942年「カサブランカ」、43年「誰が為に鐘は鳴る」でアカデミー主演女優賞初ノミネート、44年「ガス燈」で主演女優賞受賞と、まさしく大女優として足場を固めた時代である。この「聖メリーの鐘」でも主演女優賞にノミネーションされた。

私は「聖メリー」をバーグマンの代表作として認識していなかったのだが(そもそも存在すら知らなかった)、彼女の魅力が存分に出ていた。危機に瀕する聖メリー教会を巡る1年が、様々なエピソードを連ねて描かれていくのだが、教会を救う要因の一つが、バーグマンの美貌と感じられた。

バーグマンは修道女であるが、かつてはスポーツ少女であり、子供たちの野球に手をかさずにはいられないし、少年にボクシングを手ほどきする。たまらなく、チャーミングである。そして、彼女の母国語であるスェーデン語の歌を唄う。良いものを見せてもらったという感じである。

ドラマは、コメディ・タッチの心温まる物語だが、“めでたし、めでたし”というお気楽なものではなく、結末に近づくにつれて、グッと心に迫るものがある。

観た後で、色々調べると、「聖メリーの鐘」は1945年アメリカで最高の興行収入を上げた作品だった。まだまだ知らないことは多い

*Amazon Prime Videoで視聴可能

また、字幕なしだがYouTubeにもアップされている


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