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1961年生まれ男性です。ロンドンに10年、香港に3年在住しました。仕事、海外経験、先…

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1961年生まれ男性です。ロンドンに10年、香港に3年在住しました。仕事、海外経験、先人たちにも導かれた本、マンガ、映画、演芸や様々な舞台を、自分なりに吸収してきました。現在進行形の事柄も含め、アウトプットしています。読んでくださる方の日々が、少しでも潤えば幸いです

最近の記事

私自身は消化不良だったけれど〜「オッペンハイマー」は映画館で体験すべき

ようやくという感じで「オッペンハイマー」を観た。既に多くの映画評があふれているので、私ごときが付け加えることはないのだが、備忘録的な感想を。 まずは映画館で体験すべき作品だと思う。その辺りはクリストファー・ノーラン監督もかなり意識したのだと思う。核兵器の威力・恐ろしさを、あの画面、そして音響が、一種のモチーフとして働きかけてくる。 オッペンハイマー(キリアン・マーフィー)と精神科医で共産主義者のジーン・タトロック(フローレンス・ピュー)のシーンなど、ノーラン的な映像表現も

    • まさに眼福を得る〜「四月大歌舞伎」玉三郎と仁左衛門

      「四月大歌舞伎」夜の部は、片岡仁左衛門と坂東玉三郎の共演「於染久松色読販」(おそめひさまつうきなのよみうり)。 “お染の七役“として知られる演目で、一人の女形がお染・久松を始め、早替わりも駆使しながら七役をこなす。橋本治著「大江戸歌舞伎はこんなもの」(ちくま文庫)によると、かつて歌舞伎の世界において男女は区別されていた。もっとも、すべて男性で演じられるので、立役と女方という意味ではあるが。 女方は現実的には座頭につくことができず、立役の役割が「見得」を切るということならば

      • エジンバラからロンドンの旅(おまけ)〜雑感いろいろ

        (承前) 東京にいると、インバウンド観光客の増加を肌身で感じますが、エジンバラ・ロンドンも相当な数の観光客がいました。イースター休暇明けではありましたが、まだ学校は春休みだったせいもあるのでしょう。国内からの旅行客も多くいたでしょうが、海外からイギリスに短期的に訪れた人は2023年で4千万人程度のようです。同年の訪日外国人旅行者数は2500万人程度とされています。 週末だったせいもあり、エジンバラ城は当日券では入場できなかったようです。私の訪れたロンドンのウエストミンスタ

        • エジンバラからロンドンの旅(その10)〜我々はなにを食べたか

          (承前) エジンバラ・ロンドンの旅行記、最終回は私たちが何を食べたかを記録します。どの店も満足いくクオリティだったので、お勧めできます。旅行に行かれる方は、参考にしてください。予約は必須ですが、今はオンラインでできます。 3人以上で食べていますが、我々は一人一皿〜前菜・メインという注文の仕方はせずに、基本的に皿をシェアするスタイルです。3人だと前菜2皿、メイン1〜2皿(普通の方よりは少食です)、ワインは結構な量(昼から3人で1本はデフォルト)という感じです。逆に言うと、シ

        私自身は消化不良だったけれど〜「オッペンハイマー」は映画館で体験すべき

        • まさに眼福を得る〜「四月大歌舞伎」玉三郎と仁左衛門

        • エジンバラからロンドンの旅(おまけ)〜雑感いろいろ

        • エジンバラからロンドンの旅(その10)〜我々はなにを食べたか

          エジンバラからロンドンの旅(その9)〜ミュージカル「Hadestown」@Lyric Theatre

          (承前) プライオリティとしては、オペラの次はコンサートなのですが、あいにく滞在中に行きたくなる公演はなし。連日、各所でクラシック・コンサートが催されているロンドンでは珍しいことです。 次に探したのはミュージカル。私はクラシックなブロードウェイ・ミュージカルを好むので、目についたのが「ハロー・ドーリー!」。しかし、このリバイバルは7月から。もう一つは、こちらもかつて映画化された「Guys and Dolls(野郎どもと女たち)」。こちらは劇場がタワー・ブリッジのたもとなの

          エジンバラからロンドンの旅(その9)〜ミュージカル「Hadestown」@Lyric Theatre

          エジンバラからロンドンの旅(その8)〜私の居場所ロイヤル・オペラで「カルメン」

          (承前) ロンドンに来たからには劇場街ウエスト・エンドに行きたい。特に、ロイヤル・オペラ・ハウス。ただ、観たい演目に当たるかどうかは運次第。今回の滞在時の予定を観るとビゼーのオペラ「カルメン」の上演がある。早々にチケットを取っていました。ちなみに、値段は演目によって変わりますが、「カルメン」の場合、天井桟敷立見の£13(2500円程度)から、£245(47000円程度)まで、かなり細かく分かれています。私が取ったのは平土間席(Stall)の後方サイド席で£172でした。ロイ

          エジンバラからロンドンの旅(その8)〜私の居場所ロイヤル・オペラで「カルメン」

          エジンバラからロンドンの旅(その7)〜私のお気に入りナショナル・ギャラリー

          (承前) 久方ぶりのロンドン、是非行きたいと思っていた場所の一つがトラファルガー広場に位置するナショナル・ギャラリー。私のお気に入りの美術館です。正面玄関前で振り返ると、目の前にトラファルガー広場、「遂にロンドンに来た!」28年前に赴任し時のことを思い出します。 欧州にはルーブル始め、各地に素晴らしい美術館がありますが、ナショナル・ギャラリーほど、適度にコンパクトで、ルネッサンス期から印象派までの西洋美術史を概観できる施設はないと思います。しかも、今でも無料! 通常の開

          エジンバラからロンドンの旅(その7)〜私のお気に入りナショナル・ギャラリー

          エジンバラからロンドンの旅(その6)〜ウェストミンスター寺院で戴冠式を体感する

          (承前) 今回の旅で、訪れようと思った場所の一つが、ロンドンのウエストミンスター寺院(Westminster Abbey)でした。 昨年、イギリスではチャールズ国王の戴冠式が執り行われました。その会場となったのが、このウエストミンスター寺院。1066年から君主はここで戴冠し、多くのイギリス国王・女王や著名人が埋葬されています。 チャールズ国王の戴冠式では、今般結婚した次女がオーケストラの一員としてバイオリンを演奏、そのことは昨年記事にもしました。ウエストミンスター寺院を

          エジンバラからロンドンの旅(その6)〜ウェストミンスター寺院で戴冠式を体感する

          エジンバラからロンドンの旅(その5)〜エジンバラの観光名所ホリールード宮殿

          (承前) 次女の結婚式・結婚披露パーティーも無事終了、ロンドンに向けて飛び立つー予定でしたがBAからフライトがキャンセルされ、夜の便に変更した旨の連絡が入りました。おかげでエジンバラ観光の時間ができました。 私は家族と観光で訪れたことがある上、出張で何度も来ていますが、義妹は初めて。エジンバラは世界遺産に登録されている街で、旧市街のメイン・ストリートであるロイヤル・マイルからエジンバラ城にかけての街並み、聖ジャイルズ教会、新市街の方には詩人のウォルター・スコットを記念した

          エジンバラからロンドンの旅(その5)〜エジンバラの観光名所ホリールード宮殿

          エジンバラからロンドンの旅(その4)〜長い長いパーティー・タイム

          (承前) いわゆる“結婚式“が終了し、レストラン内に入った新郎(スコットランド人)・新婦(私の次女)とゲストの皆さんは、シャンパン〜正確にはロアール地方のスパークリングを片手に歓談タイムです。これが多分14時半頃。既に1時間以上が経過しています。 しばらくの歓談の後、16時ごろに着席を促され、“Wedding Breakfast“の始まりです。かつては、新郎・新婦は朝の食事を摂らずに、つまり“fast“〜断食して、教会での結婚式を迎え、その後めでたく食事が取れたことから、

          エジンバラからロンドンの旅(その4)〜長い長いパーティー・タイム

          エジンバラからロンドンの旅(その3)〜三々九度もあった“結婚式“

          (承前) 次女はスコットランドのエジンバラに在住、パートナーも同様。彼の父親は北アイルランドのダブリン出身、母親はイングランド人、ただし彼はエジンバラで育ったということで、自分はスコットランド人だと言っています。 自然の流れとして、結婚披露宴はエジンバラで開催、1年以上前に出席の依頼がありました。場所等のアレンジ、式次第など、全て二人で行なっており、妻も私も関与することはありませんでした。 一体どのような結婚式、そしてパーティーになるのでしょうか。この日に初めて全容が分

          エジンバラからロンドンの旅(その3)〜三々九度もあった“結婚式“

          エジンバラからロンドンの旅(その2)〜花嫁の両親のいでたちはキルトと黒留袖

          (承前) 今回の旅の目的は、次女の結婚披露パーティーへの出席。場所は彼女が住むスコットランドの都市エジンバラ。仕事・旅行で何度か訪れている街ですが、相当な数のツーリストが街を歩いていました。 今回の出席にあたり、次女から「キルト着る?」と聞かれました。彼女の相手はスコットランド人、彼らのフォーマルな衣装はキルト、男性が着るスカートのような服、柄は様々なデザインのタータンチェックです。 人生でこんな機会はまずないので、キルトのレンタルをお願いしました。キルトにも様々な種類

          エジンバラからロンドンの旅(その2)〜花嫁の両親のいでたちはキルトと黒留袖

          エジンバラからロンドンの旅(その1)〜まずはプロローグ

          4月4日から13日帰国までの予定で、イギリスに行って来ました。既に書いた通り、主たる目的はエジンバラでの次女の結婚披露宴出席ですが、その後、大阪・東京に次いで私にとって第三のホームタウンと言うべきロンドンに滞在です。 イギリスに旅行するのは、コロナ前の2019年以来、その後、ハワイには行っていますがエアラインはANAでした。今回は、私がこれまでメインに乗っていたJAL、旅の始まりは空港ラウンジから始まります。コロナ後の変化はあったのでしょうか。 午前中の便だったので、サク

          エジンバラからロンドンの旅(その1)〜まずはプロローグ

          しばらく休載のお知らせ〜イギリスに行ってきます

          年末年始を除き、毎日なにかしらを書き連ねていますが、しばらくお休みします。 別に誰に頼まれているわけでもないので、お断りする必要もないのですが(苦笑)。 エジンバラ在住の次女が結婚披露パーティーを現地で開くので、その出席のためにエジンバラ、その後ロンドンに滞在する予定です。 帰国後は、次女の相手はスコットランドの人、娘と二人で企画した現地式のパーティーの様子、旅のエピソードなどを帰国後にご紹介させていただきます! おめでたムードに乗って、パーティーでは人生初のキルト(ス

          しばらく休載のお知らせ〜イギリスに行ってきます

          横浜BC vs A東京、初めてのBリーグ〜横浜国際プールは大いに盛り上がっていた

          バスケットの試合観戦は、NBAで二度ある。 一度目は、2002年12月12日、出張先ワシントンDCでのウィザーズ対ポートランド・トレイルブレイザーズ戦。当時、ウィザーズには二度目の現役復帰を果たしたマイケル・ジョーダンが在籍、一方のポートランドにはかつての僚友スコティ・ピッぺンがいた。ちょっとした自慢だが、二人の最初で最後の対戦となった試合である。但し、ジョーダンにはブルズ時代のオーラはなく、得点は14点、79ー98というスコアで敗戦した。 もう一試合は、2016年1月1

          横浜BC vs A東京、初めてのBリーグ〜横浜国際プールは大いに盛り上がっていた

          「鬼の筆 戦後最大の脚本家・橋本忍の栄光と挫折」〜春日太一の労作は“面白本“である

          春日太一が上梓した「鬼の筆〜戦後最大の脚本家・橋本忍の栄光と挫折」(文藝春秋)を楽しむべく、その準備として何本かの映画を観てきた。 私が紹介した作品「切腹」「霧の旗」「私は貝になりたい」において、橋本忍は<自分自身ではどうにもならない災厄により悲劇的な状況に陥る人間たちを描いてきた>(「鬼の筆」より、以下同)。本書は<なぜ、そして、どのようにして、橋本はそのような「鬼」ばかりを描いてきたのかー。本書は、その全貌を解き明かそうとした一冊である>。 著者は2012年から201

          「鬼の筆 戦後最大の脚本家・橋本忍の栄光と挫折」〜春日太一の労作は“面白本“である