見出し画像

あさま山荘に至る道〜山本直樹「レッド」その1

山本直樹のマンガ「レッド」シリーズ、久しぶりに読むのが止まらない作品だった。

あさま山荘事件は、私が 10歳の1972年の出来事。テレビの全てのチャンネルがこの事件を中継しており、日本中が注目した。それから、20年以上が経過し、佐々敦行著「連合赤軍『あさま山荘』事件」という本を目にし、あれは一体何だったんだろうという興味から読んだ。さらに、この本を原作にした映画「突入せよ!あさま山荘事件」も観た。

しかし、これらの作品は国家権力側から、あの事件を描写したものであり、そもそもなぜあの事件に至ったのかは、“総括“という名の処刑を含め、漠然とした認識のみが私の中で眠っていた。

そこに現れたのが、2006年から2018年に渡って書かれた「レッド」シリーズである。例によって、何が私をこの作品に引き寄せたかは不明である。気になる作品を目にすると、Amazonや電子マンガサイトの“ほしい物リスト“に登録する。作品はリストに残るが、その動機は記録されていない。

山本直樹というマンガ家は、私の中では成人向けマンガのイメージであり、その彼が硬派な作品を出していたことに興味を惹かれたのだろう。しかも、その題材が私の中の眠っていた興味を惹起した。

2度の連載中断の関係か、単行本においてシリーズは「レッド 1969〜1972」、「レッド 最後の60日 そしてあさま山荘へ」、「レッド 最終章 あさま山荘の10日間」に分かれているが、連続した13巻にわたる物語である。マンガはフィクションの体裁をとっており、組織名、人名は変えられている。ここからは「マンガの中の名称(モデルの実名)」という体裁で記載する。

時は、1969年東大落城の頃に遡り、 後に連合赤軍を形成する、赤色軍(赤軍派)と革命者連盟(神奈川の新左翼グループ)のそれぞれの活動から、物語は始まる。登場人物の行く末は、最初から<赤城(永田洋子)このとき24歳 群馬県山中で逮捕されるまであと898日 死刑確定まであと8569日>という具合に提示される。つまり、結末は提示されているにもかかわらず、ページをめくる手は止まらない。

山本直樹の画力・表現力がさえわたり、「レッド」という幻想を追求する若者たちが、時代を駆けていく。残念ながら、読み手はその先で待ち構えるものが、彼らが目指した幸福な社会ではないことを知っている〜続く


献立日記(2021/8/24)
鶏団子(ネギ・生姜・高菜漬)のスープ煮 キムチトッピング
蒸しなすの生姜和え
キュウリともずくの梅酢
厚揚げ焼き


画像1


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?