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ジャクソン・ブラウンは裏切らない〜盟友たちに捧げられた一夜

ジャクソン・ブラウンが6年ぶりに来日した。前回の2017年は観に行けなかったので、私にとっては2015年東京以来の8年ぶりである。

彼のコンサートは、ロンドンで2回、そして2015年の東京と3回行っているが、毎回期待を裏切らない素晴らしいステージだった。

2023年3月28日、オーチャードホールのステージに登場したジャクソン・ブラウン、静かに始めたのはアルバム「Late for the Sky」のラストに収録された“Before the Deluge“。“大洪水“に直面する人々、‘♫ Now, Let the music keep our spirits high〜さぁ、音楽で我々の気持ちを高めよう‘(以下、拙訳)と歌う。74歳とは思えない声である。

続いて1989年のアルバム「World in Motion」のタイトル曲。彼の楽曲のテーマは、パーソナルなものから、政治的なメッセージを込めたものまで幅広いが、私は今の世界の状況を受け、どのような選曲が行われるかも興味を抱いていた。 この曲では、‘アメリカに日が落ちる‘、‘世界は動いている、私たちの変化を早めよう、距離を縮めよう、そして天使たちを駆り立てよう‘と歌う。

この日のコンサートでは、最新作「Downhill from Everywhere」から、気候問題を含む様々な社会問題を取り上げたタイトル曲と、“Until Jutice is Real“が演奏された、後者は、‘真実を見つけたければ、自分で探さなければならない。それは、簡単には見えない‘、‘民主主義とは? 『ディール』とは?‘、‘懸命に努力しよう(Putting your shoulder to the wheel)、回し続けよう、正義が本物になるまで‘と歌われる。

1980年頃からジャクソン・ブラウンの社会的活動は明示的なものになり、その後、それは作品にも反映される。そうして、彼のコンサートも社会的なメッセージと、パーソナルな側面が絶妙にミックスされたものになっていったと思う。

彼のコンサートの魅力の一つは、客席との一体感。曲の合間では、客席からリクエスト曲を叫ぶ声が飛び交う。3曲目には、1階席後方、私の近くに座っていた男性が、絶妙のタイミングで2014年のアルバム「Standing in the Breach」の曲、「“Walls and Doors"!!」を叫び、見事に受け入れられた。この日は、さらにファースト・アルバム収録の“Jamaica Say You Will“が演奏された。

こうした、リクエスト曲の演奏はオーチャード・ホールという大きな会場を、ライブハウス的な雰囲気に変化させ、思い出しながら演奏される楽曲は、あたかも今ここで生まれているかのような錯覚をもたらす。

今回のコンサートを控えて、重要な出来事があった。スライド・ギターの名手でもある、盟友デビッド・リンドレー(2010年、ロンドンのRoyal Albert Hallでのライブはリンドレーらとのアコースティック・コンサートだった)、さらに近年ツアーも一緒に行っていたオルガン/キーボードのジェフ・ヤングが相次いで他界した。ジャクソンは、そのことに触れ、今夜のコンサートは彼らに捧げるとし、“Fountain of Sorrow〜悲しみの泉“を演奏した。

さらに、このインタビューでも言及されている、“These Days“も演奏される。オリジナル録音における、リンドレーの演奏を、ジャクソンは<思慮深さが感じられる>と語っている。

休憩をはさみ、後半は怒涛の名曲オンパレード。“Doctor My Eyes“は、4月2日放送のサンソンで、リスナーからの「ジャクソン・ブラウンの曲で一番好きなのは?」との質問に、山下達郎がこの曲を挙げてた。そして、最後は“Running on Empty“でエンディングとなった。

アンコールの1曲め、“The Load OutStay“は、まさしくデビッド・リンドレーに捧げられたと思う。そして、エンディングは「グレン・フライに作った曲」と話し、“Take It Easy“を演奏、間をあけることなく“Lady of the Well“でしめくくった。

セカンド・アルバム「For Everyman」と同じ流れで、コンサートはEasyな印象ではなく閉じられた。周りの観客はみな満足そうだった。

次は何年後だろう(そもそも、次はあるのか)、私は絶対に観に行く。彼は私を裏切らない


Set 1:

  1. Before the Deluge

  2. World in Motion

  3. Walls and Doors

  4. Never Stop

  5. The Barricades of Heaven

  6. For a Dancer

  7. Fountain of Sorrow

  8. Rock Me on the Water

  9. Jamaica Say You Will

  10. Downhill from Everywhere

  11. These Days

  12. For Everyman


Set 2:

  1. Until Justice is Real

  2. The Dreamer

  3. The Long Way Around

  4. Your Bright Baby Blues

  5. Sky Blue and Black

  6. Doctor My Eyes

  7. Late for the Sky

  8. The Pretender

  9. Running On Empty

Encore 1:

  1. The Load Out

  2. Stay

Encore 2:

  1. Take It Easy

  2. Our Lady of the Well



*デビッド・リンドレー追悼も兼ねて1978年のライブ映像
“Stay“のジャクソン〜ローズマリー・バトラー〜リンドレーのリレー、
そしてリンドレーのスライド・ギター



Apple Musicのプレイリスト(一部の曲は見つからず)はこちら


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