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アメフトの悲しいニュース(その1)〜日本大学が公表した「第三者委員会調査報告書」をみる

昨日まで2日間、楽しいアメリカンフットボールの記事を掲載したのだが、今日は悲しい話である。

私は今年の8月に関東学連が出した、日本大学アメリカンフットボール部の「当面出場停止」という処分に、若干の疑問を呈した。その後、事態は悪化の一途をたどり、先日は理事会が学長・副学長に辞任勧告することが報道された。さらに辞任勧告を受けた副学長が理事長をパワハラで訴えるというおまけまでついている。

そして、日本大学は、80年以上の歴史を誇り、甲子園ボウル優勝21回というアメリカンフットボール部を廃部にするという報道がなされている。11月27日に三人目の逮捕者が出ており、そのことも引き金になっているのだろう。

日本大学のHPを見ると、アメフト部薬物事件対応に関する第三者委員会の報告書が掲載されていた。私は職業柄こうした報告書をよく参考にするのだが、本件についてもざっと目を通した。

ここからは、あくまでも本「調査報告書」を斜め読みした感想なので、ご留意頂きたい。印象は「ここまでひどい対応だったのか」である。なお、8月に記事を書いた時は、流石にもっとまともな対応だと想像していた。

問題は多数あるのだが、私が気になったのはアメフト部員との対話がほとんど見られないことである。

今年に入り、本件が大きく動くのは7月6日、副学長らが学生寮で大麻と見られる植物片の入った小袋と、薬物の疑いがある錠剤が保管された缶を発見する。所持していたf部員(報告書の記載通り)は、中身が何かは知らないと薬物所持を否認する。

その後、大学側は調査を進め、f部員から事情を聴取するとともに、<7月10日から12日までに実施されたヒアリングでは、複数の部員から、薬物使用の噂・疑いがある者として、f部員のほか、複数名の卒業した部員の氏名が挙げられた。>(報告書より、以下同)

さらに7月18日には保護者から薬物使用に関する告発文が届く。そしてf部員は大麻使用を認め自首、8月3日に警視庁は学生寮等を<捜索差し押さえ及び検証等>を実施、f部員の携帯電話の解析を行う。そして、検察庁出身の副学長と競技スポーツ部長は、警視庁係官から<現時点でも、アメフト部の学生寮の半数以上又は半数近くの学生が大麻を使用しているか、f部員の大麻使用を知っているのではないかとの見立てを耳打ちされる>。

この“耳打ち“について副学長から理事長らにエスカレーションされることはなかった。その背景については、副学長は“耳打ち“の<見立てを深刻で重大なものであると考えていなかったことが窺える。>

8月5日、f部員は逮捕され、大学の臨時執行部会でアメフト部の無期限活動停止が決定される。

8月7日の大学の臨時執行部会、翌日の記者会見をにらみ、理事長は会見後の新たな逮捕者が出る可能性について質問、副学長は<逮捕者が出ることまではないと思うが、複数名の使用の可能性を発表することはあると思う>と発言する。

この会議において理事長は<「悪いことは何一つしていないし嘘もついていないから、堂々と臨もう」>と発言、学長は<「何一つ恥じることはないと思う。」>と。

「調査報告書」の“第3章不適切な行為とその原因ー第1不適切な行為“中の‘5 8月8日記者会見‘には、こう書かれている。

<8月8日の記者会見において、危機管理広報の本質を理解せず、登壇者が不適切な発言を重ねた。>

さらに、同章“第2 基本的姿勢の不適切さ“において、本記者会見に関してこう言及されている。危機管理広報の目的は最終的に組織の信頼が回復されることとし、<そのためには、事実関係を徹底的に究明すること、その情報を包み隠さず開示すること、責任の所在を明確にし、改善策を施すことが肝要である。>

“事実関係を徹底的に究明する“という動きは見えない。

(続く)

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