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「THE SHOW MUST GO ON」@本多劇場〜舞台への執念

英文学者・翻訳家の小田島恒志のコラムで、自身が脚本を翻訳した芝居、「THE SHOW MUST GO ON〜ショーマストゴーオン」について書いていた。面白そうな舞台である。

原作は、1937年にブロードウェイで初演され大ヒットとなった「Room Service」。主役は演劇プロデューサーのゴードン・ミラー。上演予定の脚本はあり、団員は稽古を重ねているが、舞台にかけるための資金が無い。それどころか、ミラー自身はホテルの1室に居座り、飲み食いを続けているが支払い能力がなく、チェックアウトはできない。 団員もホテル内に内緒で寝泊まりし、タダで飲み食いしている。

かさむ料金にホテル側も気付き、請求が始まる。はたして、ミラーはスポンサーを見つけることができ、無事に幕を開けることができるのか。。。。いわゆる、バックステージもののコメディである。

原題を変え、「THE SHOW MUST GO ON」という、世界中の舞台人が抱く感情をタイトルにし、加藤健一事務所が上演している。加藤健一は、私が衝撃を受けた、つかこうへいの「熱海殺人事件」の舞台で、犯人役を演じた。芝居の面白さを教えてくれた一人である。会場は本多劇場、下北沢は行きつけないエリアなので、ちょっとおっくうだったが、加藤健一応援のためにも、頑張って観に行った。

上演のためなら、あらゆる手段を講じるミラーの姿は、自ら事務所を率いて、プロデューサー兼俳優として、<自分の作りたいものを作る>(上演パンフレットより)加藤健一の姿に重なる。

もちろん、舞台はコメディであり、コロナ禍の下、多くの観客が求める軽快なエンターテイメントである。ただ、その底流に流れるメッセージは、「舞台の火を消さないぞ」という執念。その為にも観客を喜ばせ、そして芝居を応援しようという気持ちにさせる。そんな作品である。

感染対策で、キャパに対して販売席数を制限している。平日のマチネーということもあり、若干の当日券もあるようだったが、相応に客席は埋まっているようには見えた。とは言え、運営は決して楽では無いだろう。カーテンコール時、加藤健一本人が「いつも言って申し訳ないが、帰りに是非パンフレットを買って下さい。事務所運営の助けになります」と話していた。

私も、多少なりともサポートになるならと、550円のパンフレットを購入し、本多劇場を後にした。

なお、原作はマルクス兄弟主演の映画「ルームサービス」として映画化されている。彼らの作品の中で評価は決して高くなく、私も観たかどうか記憶が定かでない。この舞台を見て、この映画も観たくなった


「THE SHOW MUST GO ON〜ショーマストゴーオン」
作:ジョン・マレイ アレン・ボレッツ 訳:小田島恒志 演出:堤泰之
出演:加藤健一 新井康弘(元ずうとるび) 辻親八 奥村洋治 林次樹 土屋亮太 伊原農 千葉健玖
加藤忍 岡崎加奈


献立日記(2021/9/10)
ひな鳥素揚げ〜砂肝・手羽先・もも(自由が丘「とよ田」からテイクアウト)
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