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旅の記憶25〜ウィンブルドンが始まった(その2)

(承前)

ウィンブルドンが他のテニス大会と一線を画するのは、やはり芝のコートである。特に大会初日は、見事に仕上げられたグリーンの絨毯はまだ選手の動きによって荒れておらず、芸術品のようである。

さて、会場に入場することができた。目当ての選手を目指して、コートからコートへと渡り歩くのも楽いが、次なる目標はやはりセンターコートでの観戦である。ウィンブルドンにはセンターコートとNo.1コートという、大会場があり、有名選手はこのどちらかで試合をすることが通常である。

入場には、会場への入場券に加えてそれぞれのコートへの入場チケットが必要で、夕方に行っても当然売り切れである。しかしチャンスはまだ残っている。センターコートやNo.1コートの入場券を持っている観客の中には、途中で帰る人もいる。通常13時〜13時半頃から試合は始まるが、企業接待で来ている人たちも多く、 全員が必死で最後まで観戦する訳ではない。

(英TIMES紙に、試合を見ずに飲み食いしている観客、途中で帰った人のチケットがスムーズに再販されていないなどの理由で、センターコートに空席が目立つという記事が出ていた)

帰る人のチケットは出口で回収され、会場内で再販売される。リセール・チケットと呼ばれ、通常料金よりも安価である。夕方頃からは、こうしたチケットが多数販売されるので、この再販用の列に並べば、センターコートに入場可能となるのである〜私がいた頃はまだ紙のチケット。これを出口に置かれた箱で回収し、再販していた。今はEチケットが主流となり、出口でスキャンし、電子的に再販する仕組みのようだが、原始的な手法に比べトラブルが起きやすいという皮肉の状況もあるようだ。

初めて入ったセンターコート、客席は屋根に覆われ薄暗い、その中央に位置するコートは頭上からの自然光で照らされ、おごそかな印象の空間、これぞ聖地である。席数は1万5千程度で巨大ではないため、どこに座ってもよく見え、快適に観戦できる。

ウィンブルドンと言えば、雨による中断も特徴の一つ。当時はセンターコートに開閉式の屋根はついておらず、雨天の場合は中断となった。こんな日は、我々夕方参戦組にとっての狙い目となる。試合がずれ込み、夜8時を回っても試合が続く。より長い時間観戦できるチャンスなのだ。

この時期のロンドンは9時頃までは明るく試合が可能、それを回ると徐々に薄暗くなり、日没順延となる。今では、センターコートも照明がつき、古き良き昔の話となったが。

ウィンブルドンには名物が色々あるが、スタジアム外、入場券を求めるための行列もその一つだ。テントを張って徹夜することを、毎年の楽しみとしている人たちもいる。入場するだけなら、そこまでしなくとも、平日なら朝9時頃までに並べば大抵は入場できる。妻はその方法で、友人と誘い合わせて、通っていた。ただ、センターコートに入りたければ、徹夜することによって何枚かは出る当日券をゲットできる。

並ばずして正規にチケットを入手する方法はないのか。それについては、明日




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