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クリスティン・マクヴィーの訃報〜フリートウッド・マックを支えた”ソングバード”

KISSのラスト・コンサートに酔いしれていたのも束の間、フリートウッド・マックの中心メンバー、クリスティン・マクヴィーが亡くなったというニュースを目にした。79歳だった。

KISSの初来日は1977年3月、フリートウッド・マックの初来日は同年の12月だった。高1になっていた私は、大阪の万博ホールで観た。アルバム「噂」が、空前の大ヒットとなり、人気絶頂となっての来日である。コンサート後、友人と「スティービー・ニックスが俺の方を見た」、「いや、それは俺の方だ」と口論になった。

我らのアイドルは、スティービーであったが、マックの音楽的な中心はクリスティン・マクヴィーにあったことは、よく分かっていた。

フリートウッド・マックは、ミック・フリートウッドとジョン・マクヴィーらが中心となって結成されたイギリスのブルース・バンド。バンド名は二人の苗字から来ている。クリスティン・パーフェクトは、ジョンと結婚し、クリスティン・マクヴィーとなりバンドに加わった。(来日時点では離婚)

その後、アメリカ人のリンジー・バッキンガムとスティービー・ニックスが加わった新生マックは、1975年にアルバム「ファンタスティック・マック(原題:Fleetwood Mac)」、続く「噂」で大化けする。この二作を通じて、楽曲提供の中心となったのがクリスティンである。

マックの成功の一つは、米英の才能が作り出した多様性だと思うが、両アルバムのアンカー的存在はクリスティンの楽曲である。“Say You Love Me““Don't Stop““You Make Loving Fun“といったラインアップである。

これらの曲は、前述のコンサートでももちろん演奏されたが、より印象に残っているのはアンコールのラストである。ステージに一人で登場したクリスティンはピアノに座り、“Songbird“のイントロを弾き始めた。客席からうねりのような拍手が鳴り、それに続いた彼女の歌は忘れられない。バンド演奏ではなく、この曲でコンサートを締めるというのは、メンバーから彼女へのリスペクトでもある。

その後、2009年にロンドンでフリートウッド・マックのコンサートを観ることができたのだが、クリスティンは既にツアーから引退しており、あの“Songbird“が私にとっては最後の姿となった。

その後、クリスティンはソロ・アルバム、マックへの復帰、リンジー・バッキンガムとのデュオ・アルバムなどを発表。ライブを観ることは叶わなかったが、私を楽しませてくれた。

“Don't Stop“では、私を含め多くの人を励まし、その他多くの楽曲と歌声で人々を楽しませた。日本の新聞においては、彼女の訃報記事はほんの小さなものだったが、イギリスのTimes紙では一面に掲載。米英では大きく報道されている。

クリスティン “ソングバード“・マクヴィー。ご冥福をお祈りします RIP



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