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旅の記憶37〜“美食の街“サン・セバスチャンへようこそ

ウディ・アレン監督「サン・セバスチャンへ、ようこそ」で記憶が蘇りました。

妻と次女がサン・セバスチャンに旅行、星付きレストランとバル巡りを楽しんでいました。妻はこの街をいたく気に入り、絶対に行くべきと主張、ロンドン行きと合わせて二人で訪れることにしました。2018年のことです。

サン・セバスチャンはスペイン北部バスク州の街、バスク語ではDonostia(ドノスティア)。フランス国境に近く、美食の街として知られています。近郊には複数の星付きレストランがあり、市街地にはおびただしい数のバルが並んでいます。サッカー日本代表の久保建英がプレイするレアル・ソシエダはこの街のチームです。(参考図書「人口18万の街がなぜ美食世界一になれたのか」(祥伝社新書))

ロンドンからサン・セバスチャンに行くには、ビルバオ空港まで飛び、そこからバスというのが一般的なルートでした。宿泊は、スペイン在住経験の友人から、「絶対にここに泊まるべき」と言われた、ホテル・マリア・クリスティーナ(Hotel Maria Cristina)。

映画「サン・セバスチャンへようこそ」で、主人公のモート・リフキン夫妻が宿泊するのもこのホテルで、館内・室内・レストランなど、再三映画に登場します。クラシックかつ豪華なこのホテルは、ホリデイ気分を高めてくれました。

サン・セバスチャンは海辺の街、ビーチと市街地が配置され、自然の美しさと街並みの双方が楽しめます。街歩きするにはベストなサイズで、ホテルを中心に徒歩を中心に活動しました。その美しさも、映画の中で楽しむことができます。

サン・セバスチャン最大のアトラクションは“食“。星付きレストランは美食家にお任せして、我々はもっぱらバルでした。ピンチョスと呼ばれる、小皿料理が中心、最初の飲み物はチャコリです。チャコリは、バスク地方で作られる微発泡の白ワイン。大抵のバルでは足のついていないグラスに、上方から“エスカンシア“という注ぎ方をしてくれます。軽いワインで、まずはこれを数杯ガブガブと飲みます。

料理1・2品、ワイン1・2杯で自らをしばり、次のバルへと移動、飲み物もチャコリから赤ワインへと変えていきます。このバル・ホッピングが楽しい。妻と私は、もっと食べたいものがあっても、自ら課したこのルールの下に行動していました。それぞれのバルは、提供するメニューに特色があり、伝統的なピンチョス、シーフード得意の店、星付きレストランのような凝った一品を出す店など様々です。何軒ものバルがひしめき合っていますが、人が溢れている店、閑古鳥が鳴いているのような店、混み具合も色々です。

常に賑わっているのが、バスク・チーズケーキの店、「ラ・ヴィーニャ(La Vina)」。妻も私も、さほどスィーツには興味がないので、あまりの混み具合でパスしました。この人気を見て日本人は“バスチー“として本邦に持ち込み、コンビニでも売られるようになったのではないでしょうか。日本人の才覚・貪欲さ、恐るべしです。

注文はカウンター越しにする店が多く、人気店では人混みをかき分けて注文する度胸・大胆さ・厚かましさが必要です。次女とすでに経験済みの妻は、「遠慮してちゃダメよ」と気合十分でした。

なお、ウディ・アレンさんは、こうした混雑の中の飲食はお嫌いなのでしょうか、映画にはバルのシーンは一切出てきません。まぁ、ウディ・アレンとバルは似合わなさそうですね。

旅の最後には落ち着いた店でランチでもと思い、市内にあるミシュラン一つ星「Kokotxa(ココチャ)」。ここならアレンさんでも大丈夫だと思います。小じんまりとしたレストランですが、バスク料理をベースにしながらもモダンなアレンジ。フォアグラをあしらった、キノコのオムレツが印象的でした。

あれから5年経ちますが、今も健在。それのみならず、伊勢志摩に系列レストランをオープンしたようです。

日本からは、ちょっと行きづらいかもしれませんが、「サン・セバスチャンへようこそ」、映画と共に現地もお楽しみください!

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