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ホヤとウニと名店「源氏」〜仙台で食べたもの(2日目の夜)

(承前)

一仕事終えて夜である。業務終了は16:30、新幹線の時間まで、軽く飲める。基本線として想定していたのは、仙台に来たら逃すことができない居酒屋の名店「源氏」、オフィスから近い上に、16時半開店と完璧である。

「文化横丁」という看板の上がった路地を入り、さらに細い路地から侵入した先に「源氏」はある。その佇まいからして味がある。

この店は、一人飲みの理想郷のような場所である。一人飲みの問題は、ほとんどの店は、つまみ一品の量が多すぎるということである。私は一人で飲む場合、目の前の酒肴はマックスで2品、理想は1品にしたい。また、その量は控え目でありたい。

この「源氏」は、そのニーズを叶えてくれる。しかも、何を食べるかを考える必要もない。なぜなら、酒一杯頼む毎に、肴が一品つく仕組みなのである。

時代を感じるコの字形のカウンターの中には、着物に白い割烹着の女将。暑い日の夕刻、やはりビールである。これに付くのは、枝豆とホヤの酒蒸し。開店直後ということもあり、枝豆はまだ温かい。ホヤは殻付きで蒸されているので、剥がして食べる。刺身とはまた違った風味があり、ビールにも合う。

一杯目、一皿目が終了。次は日本酒だが、この店には古風な流動式燗付器が鎮座する。上からお酒を入れると、熱湯の入った中を巡る。下部の蛇口をひねると、お燗酒となって出てくる。やはり、燗酒としよう。高清水の辛口。これにペアリングされるのは、少し大きめの冷奴。この豆腐が絶品なのである。薬味が乗った豆腐を、まずは何もつけずに食べる。程よい硬さの豆腐は甘味があって、そのままでも十分いける。お酒をすすめながら、半分は醤油を少しかけると、味が変化して美味しさのバリエーションが楽しめる。

三杯目は、同じ日本酒でも銘柄を変え、浦霞の特別純米ー生一本。出てきた肴はお刺身。魴鮄、ホタテ、鰹に珍しいクジラ刺し。豆腐から刺身、日本酒には最高のオーダーである。

私は一番の入店だったが、ほどなくお客様が次々と入ってきた。一人の客も多く、皆この空気を楽しんでいる。

最後の四杯目、日本酒は引き続き浦霞、ここは選択肢となり「お味噌汁かおでん、どちらになさいますか?」と。私はおでんをいただくことに。おでんも、ほどよい少量盛りで、ちくわ、さつま揚げ、結び白滝、こんにゃく、そして玉子。味付けは薄口でお酒を邪魔しない。しかし、玉子はしっかり色がつき、スモークされたような風味もついた特別なものになっていて、今夜の最後にふさわしい。

「源氏」、また訪れたい名店、次はいつになるのか〜一路東京へ


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