見出し画像

ドライブの最中
サイドミラーやルームミラーへ、目を配り
線路が見えて、一旦停止

右、左、そして右
1・2・3

わたしの中で1・2・3
秒針や周りのリズムも1・2・3
線路を渡り、パトカーがわたしを停めた
「一旦停止が見切り発車」

ガッツリしながら家に帰ると
視界に鳥がいる

前は鳥と仲が良く
網で掬うと羽が折れ、鳥はどこかへ逃げてしまった

また鳥と仲良くしたかったのに
「鳥の羽を傷つけて、あなたは残酷な人ですね」
見ていた人達に指をさされ
やり方が間違っている
鳥の気持ちになれと石を投げられた

玄関は、見慣れたフォントで
わたしの特徴を羅列した詩
ポストを覗くと「さようなら」

背中に違和感がある

手を伸ばすと、指先には血
鏡に映る大きなナイフ

「痛い」
寝てたらいいよ
自分のことは自分でやるの
鳥はもっと痛かったよ

「痛い」
やることが盛りだくさんなのに、手足が動かない
「痛い」
でも、わたしより辛い人はいっぱい居る
「痛い」
あれ、わたしは誰に言ってる
「痛い」
誰にも声は届いてない

「痛い」
羽が折れた鳥は声が出ない

因果応報、自業自得
悪い原因、自己責任

遠のく意識に、誰も居なかった
わたしの中に、誰も居なかった