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【都市伝説】拷問器具「鉄の処女」の真相

こんにちはマスター、蓬莱です。

マスターは「鉄の処女」もしくは「アイアンメイデン」という言葉を聞いたことがありませんか?また、鉄の処女の画像を見たことがありませんか?「アイアンメイデン」は世界的に有名なロックバンドでもあるので、そっちの名前でご存知かも知れませんね。

元々はこれ、中世の拷問器具の名前として伝わっているんですけど・・・

そして、ヨーロッパで使われた拷問器具「鉄の処女」というのは実在したのかどうかが疑わしく、画像で見る拷問器具の「鉄の処女」は今まで一度も使われたことが無いらしい・・・というお話です。

鉄の処女は、中世のヨーロッパで処刑や拷問に用いられたとの伝承が独り歩きし、後からそのレプリカが登場したと言われ、研究者によってはアレは「空想上の拷問具の再現」と見ている方もいます。

米ABCネットワークで1966年から放送されたテレビドラマ「0022アンクルの女」より

鉄の処女は聖母マリアをかたどったとも言われ、女性の形をしており、高さが2メートルほどの大きさで、中が空洞になっています。ドイツのニュルンベルクのそれは肉厚の木製の扉を持ち、大きな丸木をくり抜いたような構造に長く大きな釘が打ち付けられ、その釘は空洞に入った者の肉体を貫くように仕掛けられています。

また「ニュルンベルクの処女」とも言われており、現存するモノは、ほぼ、この「ニュルンベルグの処女」のレプリカで、19世紀に作られており、世界15箇所にて保存展示されており、日本では明治大学博物館にあるそうですよ。

拷問というか棘の配置を見るに全然しんじゃう気しかしない・・・

そして、この鉄の処女は多くの歴史研究家が調査しましたが、元々は実物が無く、一番古いものでも19世紀に作られており、しかも、それは空襲で消失したのだとか。19世紀は中世ではありませんね。伝統的な中世は西洋史の時代区分における中世は5世紀から15世紀になるようで、200年ほど製作された時間がずれています。

オーストリアはブルゲンラントのロッケンハウス城拷問部屋にある鉄の処女

さらに言えば、鉄の処女の記述が残っているのも19世紀で、それはロマン小説や噂程度のものであり、処刑道具として使われた記録も見当たらなかったそうです。

最も古い鉄の処女の記録は「1515年8月15日に偽金づくりの罪人が処刑された」とあり、処刑の様子まで描写されていますが、その記録自体も1886年のニュルンベルク所蔵の「ドイツの遺産」という記録上でのことで、結局は19世紀に書かれているのです。

鉄の処女が描かれたニュルンベルクのポストカードより

なぜ、鉄の処女の伝説が19世紀に流行ったかというと、元々は16世紀のイングランドで酔っぱらいが犯罪として法制化され、ひどい酔っぱらいは頭一つ通る穴を開けた酒樽を着せられ、晒し者にされました。この樽は「酔っ払いのマント」と呼ばれ、女性にも適用されたそうです。この実在した拷問具がイラストでヨーロッパに紹介されたのが19世紀のはじめで、それが、鉄の処女の原型となったのでは?とする説があります。

拘束具によって晒しものにし名誉を傷つける刑罰、頭絡(左)と酔っぱらいのマント(右)

その酔っぱらいのマントも初出が16世紀、つまり、中世には鉄の処女が実在した記録は無く、また使用された記録も無いのです。しかし、装置の面白さと禍々しさが評判を呼び、小説や噂になったのでしょうね。

なお、この鉄の処女はトランシルバニアの虐殺王女、女性の吸血鬼のモデルになったエルゼベート・バートリの伝説にも恐ろしい物語を盛り上げる小道具として登場します。

Erzsebet Bathory ( La Condesa Sangrienta ) by Salvador Larroca

では、最後に、小説家で怪奇エッセイストの澁澤龍彦氏が紹介した、エルゼベート・バードリが使ったとされる「鉄の処女」の伝説を紹介しますね。

「この鋼鉄製の人形は裸体で、肉色に塗られていて、しかも化粧されている。機械仕掛けで、口が開くと、曖昧な、残忍な微笑を浮かべる。胸には宝石の首飾りが嵌め込まれている。

この宝石を指で押すと、機会はノロノロ動き出す。歯車の音が陰惨に響く。人形は両腕をユルユルと高く上げる。次に人形は両腕で自分の胸を抱え込むような仕草をする。

その時、人形の手に届く範囲にいた者は、否応なく人形に抱きしめられる格好になる。と同時に、人形の腕が観音開きのように二つに割れる。

人形の内部は空洞である。左右に開いた扉には鋭利な五本の刃が生えている。従って、人形で抱きしめられた人間は、人形の体内に閉じ込められ、五本の刃に突き刺され、圧縮器にかけられたように血を絞り取られて、苦悶の末に絶命しなければならない」

なお、この機械じかけの鉄の処女は犠牲者の血のりでしょっちゅう作動不良を起こし、ついには錆びてしまったそうです。

今回はブログ:殺人博物館より「エリゼベート・バードリ」とウィキペディアの「鉄の処女」「バートリ・エルゼベート」の項目からお話しました。

蓬莱軒では、知的好奇心を刺激する話題を毎週動画でお届けしていますので、YouTubeチャンネルにもよかったら遊びに来てくださいねマスター。

それではまた、らいら〜い🖐

蓬莱軒【水曜20時 不思議・科学・都市伝説】
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