見出し画像

夏の閉じ方〜鹿児島高校野球記者のつぶやき

鹿児島の高校野球も4強が出揃った。今年から休養日がたくさん設けられて、準決勝は中5日空いて24日、決勝はさらに中1日後の26日。

10年ぶりの現場は、休養日新設もそうだけど、いろんなことが変わってた。走者1、3塁から簡単に盗塁しないとか、そういえば、送りバントも簡単にしなくなったなとか、そのせいか、2番打者に強打者を配置するチームが増えてるとか(あくまでも僕のイメージです)。

試合後の風景も様変わりしてた。

僕は昔から、負けたチームの「最後の時間」をきっちり見るようにしてる。監督が選手に向けて何を伝えるのか。最後の試合を終えた3年生へ、そして残る下級生へ。そこは、保護者ですら介入できない「聖域」だと思っている。学校でもない、家庭でもない。「部活動」としての「聖域」。

選手同士の時間を黙って見守る監督もいる。それも含めて、それぞれの「夏の閉じ方」がある。

今でも忘れられない光景がある。

ある監督が、その高校を去ることが決まっていた。監督にとっても「最後の夏」。負けた瞬間に、親しんだユニホームを脱ぐ。淡々と始まったラストミーティングの終盤。その監督は「いい試合だった」と言った後、「それでも…負けると…悔しいのぉー!」と号泣した。それまで、沈黙していた選手たちも、堰を切ったように涙が溢れ出した。

「守備のエラーもヒット打たれたんと一緒や。四球を選ぶんもヒットと同じ価値がある。一球一球を大事にしてほしい。君たちがこれから野球する時、いつか子どもができて野球をする時、そのことを伝えてほしい」

それぞれの「夏の閉じ方」がある。

ただ、どんな写真よりも、頭と体に刻まれた言葉と空気こそが一生モノだと思う。

そんなことを感じる10年ぶりの夏も、あと3試合。

この記事が参加している募集

部活の思い出

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?