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翻訳不能の「SISU」とは。【SISU】

帰りにツルハシが欲しくなる映画

ツルハシ一本でナチスに立ち向かう老兵というあらすじを聞いてこっちが勝手に思い浮かべる、不屈の闘志みたいなロマンとか。ものすごくシンプルな構成と前がかりなテンポに力を込めていく作風から連想するパンク魂とか。もちろん極東のサムライスピリッツとか。さすが翻訳不能と言われる「SISU」はどれにも全然近くなかった!

この作品、とにかく観ているこちらの想像をいちいち超えてくる。例えばものすごく雑な防御で弾丸の雨の中を前進するシーン。上半身を守っているが、下半身ががら空き。なんだ弾丸の方から避けてくれるジョン・ウィック方式かと思いきや、めちゃくちゃ当たってるし…。またその治療の仕方には、こっそり見ているナチがひいてるし、それはおれもひくわ。

その他水中における斬新な息継ぎや縛り首からの復活、ツルハシで飛行機に搭乗など、ずんずん突き進んで行く老兵、その荒唐無稽っぷりにひいたり笑ったり見ている方も忙しい。そしていちばん想像を裏切られたのはラスト、いったいなんのためにそこまで命を張ってここまで来たのかというところ。…ああ、それか。それが「SISU」か。まさに翻訳不能の概念、おれにはないな。まずはツルハシ買うところから始めるか。痛快。

作品中、荒唐無稽な老兵に唯一共感できた場面。ナチスに囚われていた女性を見つけた老兵が、そこで女性たちを助けるとか守るとかではなく、どこからか持ってきた銃をどかっと差し出して、戦え(無言)というシーン。ほっこり

この作品、ジョンウィックとかマッドマックスとかイコライザーとかに似ていると言われているようだけど、それはちょっとぴんと来ない。あえて言えばランボー(First Blood)かなと思ってたら、公式サイトのインタビューで監督本人がそう言ってますね。

あと公式ついでに、呂布カルマを使ったのは惨めなくらいにミスマッチ。鑑賞後の高揚した気分が一気に萎えるので閲覧注意で。

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