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3年間の絵をくらべてみた

11月は僕の漫画家人生においてちょっと特別。

というのも、僕が漫画を出版したのが2019年の11月だからです。
10月ごろから連載をしていたデビュー作「マチネの終わりに」が2019年11月2日発売。

当時のインスタのストーリーズ。キラキラしているぞ!

そのタイミングを商業作家デビュー日とするならば、今年で約3年になるんですね。
3年といえば、中学生は高校生に、社会人なら仕事に慣れてあーそろそろ転職・・・とか言い出す時期でございます。
つまり短いようで、心の成長、変化にあふれた時間なのですね。
漫画家デビュー3年という節目、僕の変化もまあ、かなりあるもんです。
今回は、自分の絵を見てから振り返ってみようかと思います。

(この記事は僕が所属する「コルクスタジオ」が開催するイベント
「第0回コルクスタジオフェス」に合わせて書いた振り返りを元にしています)


さてさて、振り返りにあたり、ゲストに登場してもらいましょう。

お前もお前も俺で、俺が俺で。

3年前、1年前、現在のホリプーです。
3年間で絵がどのように変化したか、それぞれのホリプーに語ってもらいましょう!

それでは、スタート!!

3年前のホリプー

死にかけやないか

3年前のホリプー
・8年勤めた赤城乳業を辞め、フリーになった直後。辞める直前までガツン、とみかんのCMやパッケージなどを手掛けていた。
・「マチネの終わりに」映画上映に合わせて上巻が発売。1ヶ月半で182ページのフルカラー漫画を泣きながら描いた。下巻の連載も始まり、毎週16Pフルカラーを描いていた。
・とはいえ初の出版を迎えて、書店周りなど楽しんでいた

こんにちは。3年前のホリプーです。
僕はとにもかくにもマチネを描きまくっています。

美しい二人よね 奇跡の50代

映画公開!マジで頑張らないといかん!と焦っています。
デザイナーでありながらマンガ家になったので、絵を描きながら模索するしかありません。描きながら実験の日々!体力的にマジでしんどいけど・・・。やるしかない、漫画家になる夢のためだ。

1枚1枚本気で描いてるけど、多分現在の僕に見せたらこう言うでしょう。

自分でなかったらぶん殴ってるところです。


マチネの終わりに

さあ、絵を見ていきましょう。

←上巻 下巻→
短い間でしたが、絵の書き方は連載に合わせて調整しながらでした。
下巻ではだんだんアニメ塗りっぽくなっていきました。
最初に書いたキービジュアル。キャラデザは初期に考えたものをほぼ使いました。
初期の洋子も結構可愛いと思います。
ネームから本番の絵。随分絵を変えました。
ネームがむずい。本番まで絵が定まらず大変でした。
最初は洋子が若かったですね。石田ゆり子さん意識してました。
後半になるにつれ、絵がかなり安定してきました。ちょっと今に近いですね。
戦いながら、強くなるんや!

3年前のインスタのストーリーズも見てみよう

迷いながら毎日過ごしています
でも、出版できた時はとっても嬉しかった!
下巻の表紙デザイン。洋子の顔たくさん描いて検証しました。
そうやってなんとか出版した2冊。

本当にたくさんの方々にご迷惑をおかけし、多大なご協力をいただいて、
漫画ってたのしい、でも、超大変。と思い知ったのです。

当時の作業環境

ホリプーといえば、ガジェットオタクでもあります。作業環境を見ると、当時のことが手に取るようにわかる。そういう人間なのです。

6月くらいまでこうだったのを

液タブはなく、デザイナーのデスクっぽい。

連載のためににこうしました。環境を良くして、なんとしても終わらせないといけなかった・・・!

マチネに本気を出すため、椅子と液タブを投資。それぞれ20万くらいした・・・

まとめのひとこと

一気に書いたから、妥協もその分多かったんだよね。


1年前のホリプー

1年前のホリプー
・「お化けと風鈴」、「REACHー無限の起業家ー」を掛け持ちで連載。初の縦スクロール漫画連載。どちらもネーム、カラーはチームで協力。
・マチネ以後、うつ状態になり、1ヶ月半休職したりしていた。無理して働きすぎず、「体調や家族が最優先」がモットー。
・プライベートでは結婚をし、窓の多い日当たりの良い家に引っ越し
・マチネよりいい絵が描きたいぞ、という気持ち

「おい……見てるかマチネ……お前を超える試練がここにあるのだ……!! 
それも……2作も同時にだ」

マチネを終えた僕は、少し心のバランスを崩し、休んでいました。
その間、スタジオの仲間のつのだふむ君が、ネームを描いてくれて、連載に復帰することができたのです。

REACHー無限の起業家ー

リーチはネーム・つのだふむ、作画・高堀健太。(改名した。)
原作は加藤崇「クレイジーで行こう!」。

実在する起業家がモデル。キャラを掴んで、雰囲気が似ていることも大切。
実際には見ることができない実在人物の過去。漫画として面白くなるよう演出できるかがカギ。
カラーによる演出も着彩を制作会社さんにご協力頂き、パワーアップ。
作画は演出に沿うよう細かく直していきました。

朝五時に起きて作画を修正したり、締め切り数時間前までネームを粘った理、毎週演出のプロからアドバイスをいただいたり。妥協しないものづくり。

目だけでこんなに変わる!マチネの時にはなかった知見。


リーチで得た作画知見は、同時進行の「お化けと風鈴」にも生かされていきます。

お化けと風鈴

ちょうど1年前。自分が描いていたのは、22話。
当時のツイートがこちら。

刺激的な内容なので、苦手な方はここでnoteをそっと閉じてください。

もうワンシーン。

マチネ時に比べ、絵の躍動感・迫力が増しました。
お化けと風鈴という作品はホラーでありながら、人間ドラマ、アクションも多様。描けなければいけない絵の幅、動きが以前よりも多く、毎週試練が課される感覚。

さらにこの漫画ではやじまけんじ君がネームを担当。自分では描くのが難しいと感じる構図やアングルでの作画にたくさん挑戦できています。
そして、それをカラーのわくまる君に塗ってもらうための線やデータの整理も毎週随時行っていくことで絵が変化していきました。

過去の自分のおかげっす

当時の作業環境

でかい液タブあるのにiPadでうんち描く男性(当時33歳)

iPadでどこでも描けるという強みと、画面小さくて細かいとこまで描くのしんどいというジレンマがある時期かもしれない。この後まもなくこの環境を変えます。

まとめのひとこと

というのがホンネだよね

でも、成長実感は大きくて、連載のサイクルにも慣れてきました。


現在のホリプー


連載はお化けと風鈴に集中。現在は74話あたりの作画を進めています。

すげー顔 マチネの時じゃ描けないね
神子ちゃん登場により作画テンションマックス
書き込み量が必要なキャラの感情表現も増えました
躍動感がある作画難易度の高いところも週間で対応できるようになってきました
3Dのテーブル、鍋などを配置し、キャラクターが自然にご飯を食べながら会話しているシーンを描けるようになってきました。
ベネッセ ミライ科 8月号より お化けの影響で色がうまくなりました
ベネッセ ミライ科 7月号より 企業案件も同時進行。作画が複雑化しているw

作画のレベルは全体的に上がった感じはしています。
3年前には不慣れだった作画に慣れてきたこと
2つに分散していた力を一つの作品に注ぎ込み始めたこと
3Dなど自然に使えるようになって、パースなども正確に描けるようになってきたこと。技術的な面と、精神的に余裕が出てきたことで、作画そのものを楽しめるようになってきた実感があります。

現在の作業環境

iPadにしていた作業環境も液タブに戻しました。かけられる作画工数が上がってきたこともあり、より画面を大きくして集中して作業できています

いやそれよりも照明の色



次の課題


絵としての緻密さ、線の整理、作画の正確さ

こういったところは3年かけてレベルが上がった実感はあります。

ただ、
絵としての面白さ、絵でなければできないこと、絵だからこそつける嘘
という点には届いていない気がするんですよね。まだまだいける。

これからはお化けと風鈴では神子や鈴、その他登場するモンスターのようなお化けたちがキーだな、と思っています。

デフォルメキャラや、軟体キャラは動きが自由

キャラデザインの自由さ、バトル要素で迫力や躍動感が重視される作画では、もう少し絵の遊びが入れられるはず。
これからも毎週うんうん唸りながら、絵をアップデートしていきたいと思っています。

さらに3年後の自分から

と言われるように、今後も頑張りたいと思います!
長いnoteになってしまいましたが、ここまでお読み頂きありがとうございました!




おっと、長いnoteを読んだらなんだか鈴さんのところに行きたくなってきた・・・
よかったらみんなも一緒に・・・↓


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サポートして頂いたらいい絵が描けそうな予感…