見出し画像

映画館に行くこと

NetflixやAmazon Prime Videoなど、サブスクリプションサービス全盛期の昨今。映画に関する企画を考えていたときに、以前の上司から「いまはサブスクでさえお金がかかると思われている。いまの若い世代には映画館に行くハードルはますます高まっているのではないか」と指摘を受けた。

うーん、そうだよなあ。

例えば、若い世代を「高校生」としたときに、高校生は映画館に足を運ぶだろうか。僕はどうだったっけ。地元に映画館があったにも関わらず、たぶん1回か2回くらいしか鑑賞しなかった気がする。

それでも、体験を求めて「お金を使う」人はいるはずで。Instagramには、チームラボが手掛けた体験型のアートミュージアムの画像や動画が、毎日のようにアップされている。昨年まではコロナ禍で冷え込んでしまったが、音楽フェスティバルは夏の風物詩として機能している。

映画館は、どうだろうか。

「トップガン マーヴェリック」はものすごくヒットしている。IMAXというスクリーンに、何度も来館するお客さんがいるという。たしかに、映画の内容はともかく、体験として素晴らしいものがある。リッチメディアとしての可能性はある、だけど、制作にあれほど予算をかけられるものだろうか。

ガラガラの映画館を見るにつけ、この国の「映画館」という場所の将来を憂う。

でも、この前希望を感じたのだった。

是枝裕和さんが監督を務めた「ベイビー・ブローカー」。内容もとても良く、ホクホクした気分で帰ろうと思ったら、後ろの席から「梨泰院クラスに出てた人、いたよね」という声が聞こえてきた。後輩刑事を演じていたイ・ジュヨンさんは予告でも出てきていたが、ヤクザの子分を演じていたリュ・ギョンスさんは寝耳に水だったので、その声に深く頷きながら後ろを向くと。高校生がふたり座って談笑していたのだった。

僕が最近、高校生を映画館で見たのはいつのことだっただろう。

記憶になかった。「ベイビー・ブローカー」には、高校生にとってのアイドル的存在であるIUことイ・ジウンさんが出演している。それを目当てに映画館に足を運んだのかもしれない。(もちろん若きシネフィルなのかもしれないが、とりあえずアイドル好きとして話を進めます)

でも、きっかけがなんであれ。

日本を代表する是枝監督の映画を観に来たのだ。この鑑賞体験は、あの二人にとってどのように響いたことだろう。それは、すごく気になった。

と同時に、嬉しくなる。この二人のように、もっとカジュアルに映画館に来てもらえたら。水曜日はサービスデーのところが多いし、そもそも高校生は割引価格で観られる映画館が多い。

そうか、高校生のお父さん、お母さんが、息子や娘にお小遣いを渡せば良い。「この映画、とっても良いよ〜」なんて勧めたりして。何なら一緒に観に行くのはどうだろう。

そんな、色々な鑑賞シーンを思い浮かべながら、映画館に行くことの意義について考えてみた。

記事をお読みいただき、ありがとうございます。 サポートいただくのも嬉しいですが、noteを感想付きでシェアいただけるのも感激してしまいます。