不安や恐怖が、健全さを伴わないとき(映画「ボーはおそれている」を観て)
ホアキン・フェニックス演じる主人公ボウが抱える不安や恐怖。幻想世界の中で投影され、摩訶不思議なファンタジーとして描かれる。
絶対的な存在である母親への恐怖、遺伝的にセックスすると早死にするという思い込み。追われて追いつかれ、そしてまた逃れながら人生と対峙する中年男性は、滑稽ながら、ずっと痛々しい。
「ボーはおそれている」
(監督:アリ・アスター、2023年)
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本作は、世間的には「失敗作」と呼ばれている。3,500万ドル(約53億円)の損失というのは途方もなさ過ぎ