「インディ・ジョーンズ」を吹替版で観たが……。

海外作品(映画)を、字幕で観るか、吹替で観るか。

両者折り合いをつけにくい問いだが、僕は圧倒的に字幕派である。

理由はシンプルで、外国人が日本映画を観るときは、役者の声は吹き替えないでほしいと思うからだ。例えば黒澤明「羅生門」。三船敏郎、京マチ子、森雅之。彼らの迫真の演技(声)が、それぞれの国の声優によって代替されたら、ちょっとニュアンスが変わってしまう。監督は、俳優に対して演技のディレクションを行なう。しかし吹替版を制作するにあたって、当然ながら、監督は吹替を担当する声優に演技指導はしないだろう。声優は「こんな感じだよね」と匙加減を図り、声を吹き込む。もちろんその仕事を否定することはしない。ただ、日本語が使われる日本映画は日本語で観てほしいと思うから、英語が使われる海外作品は英語で観たい。フランス語、スペイン語、韓国語、中国語もまた然りである。

先日、俄かには信じられない出来事が発生した。Amazon Prime Videoで「インディ・ジョーンズ/レイダース失われたアーク《聖櫃》」をレンタルしたところ、誤って吹替版を借りてしまったのだ。(しかしツイートの通り、この作品が「吹替版」であることはどこにも明示されていなかった……)

何が悲しくて、若き日のハリソン・フォードを吹替版で観なければならないのか。よほど観るのをやめようと思ったけれど、近々に新作を観に行くために仕方なく観ることにした。

「インディ・ジョーンズ」は活劇の映画だといわれている。

確かにカーチェイスなどは見事で(コメディ風でもある)、「おお、そんな動きをするのか」なんて驚いたものだ。1980年代の映画だけあって、ごちゃごちゃしたアナログ感は満載だが、容赦なく人が死んでいく様子は、それはそれでダイナミックだった。

でも、やはり、ちょっと物足りない。

ハリソン・フォードの声で、インディアナ・ジョーンズの役に没頭したかった。

このリベンジは、必ず新作で。今度こそ迫力ある活劇を期待したい。


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