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3.5

なんのニュースだったかな、政治系の記事だった気もする、はっきりと覚えていないが、三行半(みくだりはん)という言葉が出てきた。

三行半を突きつける、どうのこうと書かれている。三行半とは昔の離縁状のことで別れを告げる意味で使われるが、新聞に載る単語とは思っていなかったので驚いた。

昭和に書かれた本ならば目にするが、それ以降の本などで見ることはなく、ほぼ死語だと思っていた。僕もたまたま本で目にすることが無ければ知らないままの単語だっただろう。身近な人が使っているところも見たことがない、生活に頻出な単語でもない、ということもあるが。

死語だと思っていなくても、もはや死語になっている言葉がある、自分でたまに使う時もあるので"はっ"とする。

兄の家で死語辞典なる本を読んでいると、「ほのじ」「首っ丈」などが載っていた。この辺の言葉は僕は割と使っていたので衝撃だった、「すき」「惚れる」などの言葉を避けて使っていた節があるが、死語だったとは知らなかった。ちなみに「いれこむ」という表現も好きだ。あれはまだ死語ではないはず。

以前食事中の友人が「五臓六腑に染み渡る」と言ったことがあり可笑しくて少し笑ってしまった。実地で使っている人を見たのはこれが最初で最後だ。LINEの会話の中に「卑近」という単語が出てきた時も、ははぁ、と思った。


難しい言葉を使う人が好きだ。いや、使っている当人は難しいなんて思わずに使っているだろうな。

知らない単語に出会った時、サンクス、インターネットと思いながらChromeからその単語の意味を調べる。調べた内容をわかりやすく自分の中に砕き、手帳にメモをとる。たまに、そのメモを見返す。そして、たまに使ってみる。

単に難しい表現や、古い事物についての言葉で知らないものもあるが、大抵は色恋に関するものが多いなと思う。先の「ほのじ」なんかもそうだが、色の事については直接的な表現よりもぼかした(いわゆる隠語)表現が発展したのだろうと思う。

そういう意味で、たくさん言葉を教えてくれたのは中島らもである。灘高を出て、コピーライター、作家、ミュージシャンとして多彩な才能を発揮した彼はかなりの変人である。名刺を作る際に職業が思いつかず「職業:酔っ払い 中島らも」と作ろうとしたほどの酒好きで、アル中になり入退院を繰り返した人でもあった。

彼の小説やエッセイにはホラー映画、酒、コメディ、女性(色情・下ネタ系)が沢山出てくる。

落語の大先生が亡くなる直前に弟子に「外が見たい」というのを弟子が「そそが見たい」と聞き間違え、てんやわんやの大騒動を巻き起こす話が面白かった。(関西圏の方言で、推奨しませんが気になったら自分で調べて下さい)

彼の本は、特に色に関する方言やら隠語やらが多く、沢山検索した記憶がある。辞典でえっちな単語を引いてみる小学生と遜色ないかも知れないが、知らない単語であれば大真面目に調べるのだ。

とはいえ、一つ困ったことがあった。いつものように調べた言葉をメモ帳に記していては僕のメモ帳が卑猥百科事典になってしまう。

いかんしようかと悩んだ末に全部を記した。結句、流出厳禁のメモ帳になった。見せろと言われたら財務省よろしく黒塗りで出す事にしよう。

私は阿呆な出歯亀である。

にゃんにゃんして今宵も寝る(嘘)…。

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