映画「 家族 」の中に見る、日鉄伊王島炭鉱
このトピックの目的はかつて伊王島坑で働かれ、今は遠方や海外などにおられる方に、当時の生活をひととき思い出して貰いたい、ということの一点に尽きます。
昭和45年に公開された松竹映画「家族」(監督:山田洋二)は伊王島から北海道へと移住する家族を描いたロード・ムービーです。
伊王島炭鉱で働く夫と家族は、馬込(沖ノ島)天主堂近くに住んでいましたが、夫が北海道で酪農をやることを決心し、一家で離島する場面から始まります。
「ヤマは、一家族」ですから、引越しともなると、大勢の人が集まってきています。ひと昔前の日本では当たり前に見られた景色でもあるのですが・・。
港へ向かう道すがら、別れのあいさつをする妻・民子。背後に日鉄伊王島鉱の貯炭場が見えています。遠くに見えるアパートが建つ辺り(千崎)には、現在リゾート施設が建っています。
斜坑口が見えています。
この斜坑ですね。現在、この斜坑の巻き座跡にはレンガ片がいくらか残っています。
別れを告げた鉱員さんも、炭車に飛び乗り、坑内へと入っていきました。
船着場付近。奥に見えているのは、おそらく仲町社宅でしょう。
奥に見えるのは、伊王島と沖ノ島を結ぶ、栄橋でしょうか。
連絡船のつく桟橋。現在の同地は埋め立てが進められ、見る影もありません。
この映画には実に多くの現地エキストラさんが出ているということなので、この見送りに来ている人たちは、ほとんどが当時島に住んでいた人々でしょう。
別れのシーン。これは映画のシーンですが、この映画の2年後の昭和47年、日鉄伊王島鉱は閉山となりました。同じようなシーンが来る日も見られたことでしょう。
島の別れは、私も一度だけ経験がありますが、やはり独特なものがあります。
船名は「はやぶさ丸」とあります。高島や端島にも通ったことがあるのかもしれません。
大家族のような、島の人々との別れ。
島のシンボルでもある馬込教会の姿は、もちろん今でも健在です。
もう二度と見ることもないであろう、島の姿・・・
回想シーン。再び鉱業所が映し出されます。
鉱業所。ロープで境界を定めてあるようですね。
こういうやりとりも、実際あったのかもしれません。
海岸部にある貯木場。もちろん坑内で使われた坑木です。
背後に馬込教会が見えています。現在更地となっています。
坑木の山。
祖父・源蔵の回想シーン。魚釣りで遊ぶ子どもたちの背景には、社宅の建ち並ぶ高島が映っています。はっきりとわかりませんが、左端に小さく映っているのは、軍艦島(端島)の学校(70号棟)と竪坑やぐらであるようにも見えます。
同居することを渋る、次男宅の寝床で、子ども達が小さかった頃を思い出しています。
長男に背負われての帰宅。こういう思い出だけは、何年経っても遠く離れても色鮮やかに残っているものなのでしょうね・・・。
昭和16年開坑、同47年閉山。
最盛期には、7,600人もの人々が、このキリシタンの島で生活していました。
(元記事作成:2012年04月10日)
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