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自称読書家によるジャンル別「今年読んだ小説のおすすめランキング」

みなさんこんにちは。自称読書家の新代ゆうです。
小説を書いているという関係もあり、毎月5冊は読もうという目標を掲げて2023年を生きてきました。

そのなかで人にオススメしたいと思った小説を各ジャンルTOP3まで書いていこうと思います。

ちなみに年末に投稿するYouTubeの動画では豪華に各ジャンルTOP5に加え、オススメウェブ小説にも言及しています。よければ登録してお待ちください。

霊夢と魔理沙のゆっくりおでかけチャンネル

↑後日公開された動画

今回は以下の3つの区分で紹介します。

・10~20代向けエンタメ小説
・20代以降向けエンタメ小説
・純文学

ちなみにランキングは作品の優劣を決めるものではなく、私の「人に勧めたい度」をランキング形式にしたものです。どの作品もリスペクトを持って楽しく読ませていただいてます。

というわけで早速。下の目次は気が向いたら活用してください。


【10~20代向けエンタメ小説】

第3位「汝、星のごとく」

というわけで第3位は本屋大賞受賞作、凪良ゆうさんの「汝、星のごとく」。
11月ごろに「星を編む」という続編というか、後日譚もろもろの短編集(?)が発売されましたね。

主人公は瀬戸内で生まれた暁海あきみ、それから母の都合で島に引っ越してきたかい。交互に視点が入れ替わりながら物語が進んでいきます。

櫂の母親は恋愛に関して自由奔放で、息子を放置することもしばしば。対して暁海の父は絶賛不倫中で、暁海と母の間にもヒビが入るような状態。

そんな家族のままならない関係、そして欠損を埋めるように惹かれ合う二人が、凪良ゆうさんの綺麗な文体で描かれています。

若さゆえの恋愛の過ち、恋愛がもたらす心地よさ、共感の嵐すぎて5回は読みました。

第2位「光のとこにいてね」

第2位は一穂ミチさんの「光のとこにいてね」。

これは何もかもがよかったです。

厳格な母の元で育った結珠ゆず、対してネグレクト気味な母の元で育った果遠かのん

小学生で出会って、別れ、再会するという、四半世紀にも渡る二人のみずみずしい関係を描いた作品です。

その中で紡がれる、友情を越えた二人の切なくて尊い関係に胸を打たれました。
一穂ミチさんの言葉選びや文章が秀逸で、二人の感情がいっそう際だって感じます。

第1位「恋とそれとあと全部」

というわけで1位は「恋とそれとあと全部」。住野よるさんの作品です。
「君の膵臓を食べたい」で話題になった住野よるさんですが、どの作品も違った良さがあって素敵です。

この作品の主人公「めえめえ」は恋する男子高校生。相手は下宿仲間で、ちょっぴり変な女の子「サブレ」。ニックネームで呼び合う関係が普通に羨ましいです

夏休みに入ったら会えないと落ち込んでいたところ、めえめえはサブレからある誘いを受けます。その内容は「一緒に私のおじいちゃんの家に行かないか」というもの。

ある不謹慎とも思える目的のために、サブレの祖父の家を目指す二人。
濃厚な青春の雰囲気を摂取したい方にめちゃくちゃオススメしたい一品です。

【20代以降向けエンタメ小説】

第3位「つめたいよるに」

第3位は江國香織さんの短編集、「つめたいよるに」。

死んだ犬の面影を持つ不思議な少年に出会う話を初めとした、どこか心温まる全21篇が収録されています。

静かで独特な語り口、個性的だけどどこか惹かれる主人公たち。どれも5分ほどで読めるお話で、カフェタイムやちょっとした休憩時間にぴったりな作品です。

私は旅行するとき、江國香織さんの短編集を持ち歩くことに決めています。

第2位「ひらいて」

第2位は綿矢りささんの「ひらいて」。
世の中のすべての読書女子、綿矢りさ作品を絶対に読んでください。恋愛に脳を支配される感じや好きでどうしようもなくなる感じに、絶対に共感できます。

なんなら友達に恋愛相談するより心が楽になります。

というわけで、この作品の主人公は高校生のあい。彼女はクラスメイトのたとえに恋をしています。
しかし、すでに彼には美雪みゆきという恋人が――。

二人の交際に納得できない愛は、たとえを傷つけたりなぜか美雪の唇を奪ったり、次第に暴走を始めるのです。

そんな主人公の行動になぜか共感できてしまう、魅力的な作品です。

第1位「木挽町のあだ討ち」

第1位は永井紗耶子さんの「木挽町のあだ討ち」。直木賞、山本周五郎賞受賞作品です。

タイトルから漂う時代小説感(?)でなかなか手を出せずにいたのですが、人に勧められて読んでみた結果、めちゃくちゃ楽しめました。初の時代小説がこの作品でよかったです。

この作品は江戸時代が舞台で、菊之助という男が成したあだ討ちについて、主人公の男が人に聞いて回るという構成です。
ちなみにあだ討ちとは、「親などを殺した人を討ち取って、恨みを晴らす」ことを言います。

木戸芸者、衣装係、小道具やなどなど。様々な人に話を聞いて回ると、どんどん新たな事実が浮かび上がり……。
気づけばどんどん物語にのめり込んでいきます。

時代小説だからといって手に取らなかったことを後悔した作品でした。

【純文学】

第3位「蹴りたい背中」

第3位は再び綿矢りささんの「蹴りたい背中」。
発表当時から話題になった異例の作品ですね。

クラスの余り物の主人公初実はつみ、それから同じく余り物のにな川。決して友好的とは言いがたい交友を深めていく二人……。

歪みとも取れる二人のなんともいえない関係と、それから初実がにな川に抱く、庇護欲とは似て非なる感情。

綿矢りささんは、なんというか、輪郭のない好意、悪意、愛情のような気持ちを書くのが本当にお上手だなと思いました。
いつまでも頭に残り続ける作品です。

第2位「いい子のあくび」

第2位は高瀬隼子さんの「いい子のあくび」。
「ぶつかったる」の一言から始まるこの作品には、小さいながらも理不尽な我慢に対する静かな怒りが見事に描かれています。

冒頭の「ぶつかったる」はスマホを見ながら運転する男子学生に向けたもの。実際、主人公は彼にぶつかるわけです。

どうしていつも自分が避けないといけないのか。避けてもらっている側はその瞬間ですら「避けてもらっている」という認識がない場合が多い。
細かいけど、でもたしかに感じている不満に、めちゃくちゃ共感しました。

テーマがわかりやすいので、純文学初心者にもおすすめ死体作品です。

第1位「最高の任務」

第1位は乗代雄介さんの「最高の任務」。
芥川賞の候補作にもなった表題作の「最高の任務」……も素敵な作品だったのですが、個人的にもう一つの「生き方の問題」がぶっ刺さったので紹介します。

これは主人公の手紙の形式で、そこでは従兄弟の貴子たかこが綴られていきます。
幼少期、高校生、大人になってからの再会。そのストーリーが乗代雄介さんの独特な文章で語られていくのですが……。

情景描写があまりにも綺麗すぎる。文章が繊細とか綺麗とかというより、言葉選びや独特な文の組み立て方が、この作品にぴったり合いすぎていて、これがマリアージュってヤツかあ……と思いました。(?)

話全体が美しく感じる素敵な作品でした。


というわけで以上、オススメの小説でした。
フォロー、スキもろもろよろしくお願いします。

それではまた来週。

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