3. 先生と生徒 高校3年生

どうしてあのときキスしたの?

わたしはなんなの?

先生と生徒は付き合えるの?

好き同士であれば障害はないと思っていた

高校3年生の春、若い女の先生が赴任してきた
先生のクラスの副担任になった

「先生、若いかわいい先生きたね、どうなの?」
「興味ないよ」
「あやしい〜」
なんてやり取りしたっけ

バレンタインから何も変わらない関係に
わたしは焦っていた

「先生、夏休み会おうよ」
「塾あるでしょう」
「おねがい、1日でいいから!」
「うーん…」
「カレー作ってあげる!」
「うーん…」
「おねがい、おねがい!夏休みの思い出に1日だけ」
「うーん、わかった、1日ね」

カレーなんて作ったことなかった
調理実習でやったくらい
若いときってほんと「なんとかなるさ精神で生きている

塾帰りに、カレーの材料と先生の好きなデザートを買った

ピンポーン

「はい、どうぞ」

学校以外で会うとさらに緊張するなーと
ドキドキしながらも平気なフリして入る

「先生、ご飯炊いてくれた?」
「んー、炊いたけど自信ない」

カレーも自信ないけどね、なんて話ながらカレーを作る

意外とできてる!
先生の家でご飯作るなんて
疑似結婚生活みたい!って浮かれていた

さ、食べよーって炊飯器開けたら、ご飯が硬かった
二人で笑ってこれじゃ食べられないから、
フライパンで焼いてみよって
フライパンでじゅーじゅー焼いて
カレーを食べた

ただただ幸せなひとときだった

食べ終わったらソファで少し話をして

ついにそのときがきた

気付いたら、わたしはベッドで裸だった

でも先生は手を止めた

あ、これは我に返ったな

手を出したらまずいと現実に戻ってる

「やっぱりやめとこ」

という一言にイライラした

「え、わたし裸だけど?ここでやめるの?ずるい」

ずるいと思ったのは本音で、まるでわたしだけ弱みを見せたような感覚だった

先生の全部も見せてよ
全部知りたい

「先生も脱いで」
とベルトに手をかける

欲しいものは欲しい

SEXすればこの人はわたしのことも好きになってくれる
離れられなくなってくれる

抱き合えば身体も心も、わかり合えるんだよねって17歳の思考はただただ浅かった

終わったあと
「あぁーやってしまった」と少し頭を抱えていた

色んな噂があったけれど
体の関係をもったのは
今の時点で、わたしだけだったのかもしれないと
その態度からわかった

1日だけという約束だったけれど
次の日も会ってくれた

そして9月のある日曜日も「会いたいな」というと
会ってくれた

でもその日は喧嘩になった

高校1年生のときから喧嘩することが多かったけれど、少しでも距離がちかづくと喧嘩になってしまうのだ
今思えば、大人げない先生だなとも思うし
きっと私がワガママすぎたんだなとも思う

その日を最後に
「もう会うのやめよう」と言われた
理由を聞くと、
「生徒のうちは会えない」
「卒業したら付き合おう」
と言った

会えなくなるのは悲しいけれど
この卒業したら、という約束が嬉しかった

3月までまた同じように見つめるだけの日々に戻った

でも今度は付き合えるという希望がある
未来がある

半年という期間、ずっと待っていた

でもメールはあまり返ってこなかった

たまに返ってきて一喜一憂

今は生徒だもんね

我慢しないとって言い聞かせた

そして卒業式の2日前にメールがきた
「話があるから来てほしい」

あぁ、きっと卒業してからの心得とか
付き合う上でのルールとか
そういう話なんだって
半年ぶりに2人で会えるんだってオシャレして出掛けた

顔がにやにやしていただろう
それを隠すのが大変だった
顔を普通に戻してピンポンを押す

なんて言おうかな
先生、やっと会えたーー!
嬉しい 長かったよ
ずっとずっと好きだよ
先生のこと見てるだけで幸せだったけど、
これからはそばにいることができて
もっともっと幸せだよ

たくさん思い出作りたいよ

伝えたいことはたくさんあった

ドアを開けた先生の顔を見て
一瞬で悟った


先生、言ってよ
「待たせてごめんね、好きだよ」
「付き合おうね」

絶対言ってよ
待ってたんだよ

おねがい、おねがい、おねがい
神様おねがします
どうかわたしを助けてください

先生が口を開いた
「ごめんね、付き合うことはできない」

半年持っていた希望が崩れた
信じていた未来が散らばった

#4先生と生徒失恋  につづく

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