人は人の数だけ、好む色がある。

白か黒か決めたい人がいる。
グレーが心地よい人もいる。

白と黒に決めたい人にとって、グレーにするなんて受け入れられない。
グレーが心地よい人は、白か黒か、どちらかなんて選べない。

好む色が違うなら、どうやってわかり合うんだろう。

白と黒に決めたい人は、グレーが好きな人とは合わないからと離れていくのだろうか。
でも、グレーがいいと思う人は白も黒も好きかもしれない。
グレーは、白と黒でできているから。
白か黒、どちらかを無理やり選んでみようとするだろうか。
でもいつか、居心地の悪さを感じてしまうかもしれない。

あぁ、その色もいいね。
そう言って、互いに自分の中の色を増やしていけたらいいのに。

向かい合う人の数だけ好む色があって。
そこには自分の知らないもっと居心地のいい色があるかもしれない。

白も黒もグレーも赤も青も緑も黄色も。
同じ色のように見える中にも、異なる色が限りなく潜んでいる。

きっと、自分が好きだと思う色も、もっとあるはずに違いないのだ。