第3話 星咲理子

「ライムお兄ちゃん?あ、あれ姉貴?ふーん、生きていたんだ。」

その時であった後ろから現れたちょっと生意気そうな口をきく少女がいた。彼女の名前は星咲理子、星咲麻里子の7歳下の妹である。高校を卒業したばかりの星咲麻里子の年の離れたまだ小学生の妹。

「あら理子。相変わらず元気そうね。……太朗さん、私の妹と私の墓参りに来たって感じね。」

偶然とは恐ろしいものだ。これは本当にタダの偶然なのだ。なのに意図的に待ち合わせした2人のようにしか彼女には思えない。そう現実に良くおこるできすぎた偶然。お、俺が、麻里子をネタにJSに手を出したとでも言いたいのか?違う、断じて違う。しかし、ここは冷静な一手が必要だ。どう切り抜ける?

その時であった。

「そうよ?太朗さんと理子は仲良しだもんね??」

と理子は自然な感じで僕を小突く。ち、違う。違うんだ。

「あ、い、いや、仲はまぁ、悪くないかな。でも麻里子さんのほうが素敵だなぁ、あはは、ははははは。」

「理子と太朗さんは将来結婚するんだよ?ねぇ太朗さん。」

大人をからかう理子。それはそうと、どうする。

その時であった。あれほど良い墓参り日和だったのにゴロゴロと空から雷雲が唸りはじめた。これは一雨くるぞ?

「ねぇ、2人ともとりあえず雨宿りしない?あ、俺傘持ってきたけど、早く駅前のコンビニまで戻った方がいいんじゃないのかなぁ?」

とポツポツと降り出した中俺が提案すると。

「で、俺を傘に入れるんだろうな?」

「お兄ちゃん、傘に入れてくれる?」

どちらを選んでも修羅場なのでした。コレはしまった。

「あ、やっぱ傘忘れたみたい。走ろ走って、コンビニまで行こう!!」

と誤魔化す俺。

その日2人の機嫌はマックス悪くなり、2兎を追うもの1兎も得ずを体現する結果になったのであった。俺の本命は麻里子なんだけど、あそこで麻里子を入れて理子を入れないのも鬼畜な所業なのでこうするしかないよな?

散々な墓参りだったが、麻里子が生きていることに感謝する。6年先また辛い思いをするにせよ、6年は長い。単純に嬉しい。




















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