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【ライブレポート】2023/4/21 Lit up - BuzzFront KOKERAOTOSHI -@BuzzFront YOKOHAMA

横浜にできた新しいライブハウス、BuzzFrontで開催されたGOOD4NOTHINGとDizzy Sunfistのツーマンに行ってきた。

U-tanとMAKKIN、ふたりだけになってからのGOOD4NOTHINGを観るのは初めて。コロナもあり、そもそも彼らのライブに足を運ぶこと自体数年ぶりという状況で、不安がなかったといえば嘘になる。

2019年5月、TANNYが抜けた直後にあった新宿ACBでのライブでは、TANNYの声がないことに感情が乱れてしまった自分がいて。その日以来となる今日のライブは、いろいろな意味でドキドキする。

できたてホヤホヤということで内装も含めめちゃくちゃ綺麗なハコ。フロアの構造的にはちょっとF.A.D.YOKOHAMAに近い印象。広さもちょうどよい感じだ。横浜駅は慣れない人にとってめちゃくちゃ迷いやすい(と思っている)のだが、BuzzFront YOKOHAMAの公式サイトでは、画像付きで案内ルートが掲載されている。これに頼って歩みを進めた結果、一切迷うことなくたどり着けた(正直に言うと、最後の1工程だけ少し迷ったが)。

Dizzy Sunfist

開演時間を10分ほど過ぎた頃に、本日の先攻、Dizzy Sunfistが登場する。SEの時点で早くも盛り上がるフロア。1曲目の「Someday」が始まった瞬間、フロア中盤にいたキッズたちが前方へと押し寄せ、あっという間にモッシュ&ダイブの大洪水。

セキュリティも、ステージ側に落としてなるものかと必死でダイバーを押し返し、ダイバーはダイバーでもっと転がりたいと体をひねる。ステージとフロアの境界線で激しい攻防が繰り広げられている。メイ子(Ba)よりも、体を乗り出してダイバーと闘うセキュリティの顔ばかりが視界に飛び込む、そんな状態ですら楽しいと思えるくらい、今日のBuzzFrontは熱かった!

あやぺたも「最高裁判所!」(ファンにはおなじみ、「最高!」を意味するあやぺた語)を連呼し、しまいには「マジ判所!」に変化。「ライブハウス」を「ライブスハウス」と噛んでしまい、脱線した話も元に戻らない。舌も頭も回らないほど大興奮な彼女と同じくらい、キッズも盛り上がっていた。

「新品のライブハウスにさ、うちらの汚い汗をさ! ポタポタポタポタ落としていこうぜ!」

そんなあやぺたらしい煽りもまたさらにフロアの温度を上げていく。

5月24日リリースの新作についてあやぺたは、「新譜の『PUNK ROCK PRINCESS』…」のフレーズを数回繰り返しつつ、やたら出てくる『ぱ』や『ぷ』の発音が気になったのか「これなんて言うの?」と誰にともなく問えば、すかさずメイ子が「破裂音」と回答。ふたりのコンビネーションもバッチリだ。

レコ発ツアー初日は6月18日に渋谷クアトロで行う旨を発表。「サタニックと、ハイスタと被ってます! それでも来てくれるって奴!」と促せば、ちらほら手が上がり、「サタニック行く奴!」と問うとたくさんの手が。正直でよろしい!と苦笑するあやぺたは「ハイスタ行くやつは、感想教えてくれ!」と叫んでいた。

「Andy」「The Dream Is Not Dead」「SHOOTING STAR」「TONIGHT,TONIGHT,TONIGHT」と、激しい曲からポップなナンバーまで、とにかくライブでブチ上がれる名曲たちを揃え、まさしく“駆け抜ける”という表現がぴったりなステージ。

綺麗な言葉や気の利いたMCがなくても、彼女たちの熱や想いは伝わる。「この新しいハコを、10年、20年、100年と続く場所に!」と叫ぶあやぺたと気持ちをひとつにして、生まれて間もないこのハコに、Dizzy Sunfistとキッズたちの汚くて純粋な汗が確かに刻まれる瞬間を全身で目撃する、そんなライブだった。

GOOD4NOTHING

メンバー自ら出てきてセッティングするスタイルは変わらず。さっと調整を終えるとリハで「STOMPING STEP」をフルコーラスで披露。フライングでライブが始まったのかというくらい沸き上がるフロア。演奏を終えるとステージを去り、そこから数分も経たず場内暗転してライブスタート。

短時間で転換を終え、リハでファンを楽しませながら、間を置かず本番突入という理想的な展開でGOOD4NOTHINGはステージに立つ。

登場SEはおなじみ、『河内のオッサンの唄』だ。もうこの時点でワクワクが止まらない。リハの時点で予感はあったが、オープニングを飾った「IN THIS LIFE」で、もうすべての不安が吹き飛んだ。

ライブハウス入場時、自分の前に並んでいたファンのほとんどが、目当てのバンドを「Dizzy Sunfist」と答えていた。TANNY脱退後、一度しかライブを観ておらず、SUNE脱退後に至っては初観賞。

(余計なお世話だが)フロアの盛り上がりへの不安、そして今のGOOD4NOTHINGを楽しめるのかという自分への不安。そのふたつが、「IN THIS LIFE」で瞬殺。

いきなり沸点到達のキッズたち。意識する間もなく拳を振り上げていた自分。この音楽が大好きなんだと、頭より先に体が反応していた。2019年に比べてMAKKINの歌声もスッと耳に馴染んでいて、このふたりが今のGOOD4NOTHING、ということが1曲目で受け入れられたのだ。

「J.C.」では、荷物を預ければよかったと後悔しながらバッグ片手に飛び跳ねた。リフからテンション上がる「Turning」や最新曲「FLAG」、そしてライブ鉄板の「Maximize」など、息つく暇もなく名曲をぶちこめば、キッズたちも遠慮なくモッシュとダイブで応える。Dizzyが目当てだからG4Nは後ろで大人見、なんて構図は私の妄想の産物。どちらのライブも皆全力で楽しんでいた。

フロアから気軽に話しかけられれば「友達か!」とリアクションし、あやぺたのMCを踏まえて「“判所”な一日にしましょう! 使い方合ってる?」」と話すMAKKIN。これまでのMAKKINと新しいMAKKINが垣間見えたMCがなんだか嬉しい。

「今年で25周年なんですけど、今が一番カッコいいと思ってます」と自信たっぷりなU-tan。

25周年イヤーである2023年は、作品リリースも予定しているとのこと。楽しみな一年になりそうだ。

「今年25歳になるこの曲を聴いてくれ!」という叫びから「LET'S GO」を演奏し、「からの~!」と続けて2019年リリースの「NEW STORY」へと繋ぐ構成にも痺れる。“俺たちの場所”であるライブハウスを歌った「It's My Paradise」、さらに「In The Mosh Pit」の流れも最高だ。

アンコールでは伸びやかに「Cause You're Alive」を歌い、ラストは30秒曲「Drive or scrap?」でサッと〆る。

最初から最後まで実に鮮やか。リハまで入れると全17曲を1時間にギュッと詰め込んだライブ。コロナ制限が解けて、本来のポテンシャルを発揮し始めたライブハウスで、ふたりになった今のGOOD4NOTHINGの魅力を存分に見せつけた。

ライブ終わった直後からもう曲が、ライブが恋しくてたまらなくなる。GOOD4NOTHINGが鳴らし続けるパンクロックを、これからも音源で、そしてライブハウスでたくさん浴びようと思う。


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