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【ライブレポート】2023/8/29 [mito LIGHT HOUSE & chiba LOOK presents カントーロード vol.32]


活動休止を発表したBUZZ THE BEARS。以前から都内でライブをする際には何度も足を運んでいたものの、残り時間もあとわずかとなり、名残惜しさとも相まって千葉まで駆けつけた。

隣県とはいえ少し距離のある千葉LOOKだが、結論、今日このライブを観ることができて良かったと心から思える、そんなステージだった。

high jumpmaster

18時45分の開演時間を少し過ぎたところで、オープニングアクトのhigh jumpmasterが登場。地元のバンドということで「千葉から…じゃなくて千葉でやってます」と深澤直希(Vo/Gt)。

自分たちはメロコアじゃない、と断りを入れつつ、激しいギターロックをぶちかます。

「みなさんほとんど、自分たちを観に来たと思うんですけど」と謎の天然発言を炸裂させ(本当に言いたかったのは「みなさんのほとんどが、自分たちを観るのは初めてだと思うんですけど」だと推測)、笑いを起こしたり「次のバンドに繋げて盛り上げて、とかじゃなく勝ちにきた」と強気の発言も飛び出したり、歌と演奏だけでなくMCにも要注目。

「千葉LOOKで、名のあるバンドのOA任せてもらって、あのバンドと一緒にやれるんだ!と思ってきたけど、それじゃだめなんだ」と、オープニングアクトとしての気概を見せる一幕も。

また、チューニングしながらいろいろ語ろうとするも結局チューニングがうまくいかず、喋りもたどたどしくなってしまい、「チューニング中のMC無理でした。バンド歴の差ですね」と先輩バンドたちがナチュラルに行うチューニング中のMCを諦める深澤。

25分という持ち時間のなかで、その不器用で熱いステージと共に、深澤というユニークなキャラクターもしっかりアピールしていったhigh jumpmaster。確実に爪痕を残すオープニングアクトだったと思う。

BACK LIFT

彼らのライブを観るのは、なんと8年ぶり2回目。前回観たのは『SATANIC CARNIVAL'15』だった。ちなみに当時のメモがこれ。

続いて少し小さめのEVIL STAGEにてBACKLIFTを。名古屋のバンドだそうですが、初見です。今日全体のメンツでいえば相当若々しいバンド。フォーリミとも仲が良いみたいで、MCでも触れていました。昨年のサタニックのステージでフォーリミのメンバーがBACKLIFTのTシャツを着て演奏していたことが嬉しかったと。こうして同じエリア出身同士が切磋琢磨してく姿はなんだか気持ちいい。聴いた感じでは正統派メロコアバンド。最近ちょくちょく名前も見かけるので、これからのさらなる飛躍が楽しみ。中盤から後方エリアに関しては「どんなもんだろ?」と様子を見ているお客さんという構図ですがフロア前方ではダイブする人がたくさんいて盛り上がっていました。

ライブ序盤では、さっそくhigh jumpmasterのフリ(?)を受けて喋りながらのチューニング。「やったことなかったけど…やれへん。キャリアの問題じゃない!」と早々にチューニングに専念するKICHIKU(Vo/Ba)。OAからのライブの空気をちゃんと掴んで広げていくあたりは、さすがの場数といったところか。

キッズたちもダイブにスカダンと曲に合わせてノリまくりの盛り上がりまくり。瞬間を楽しむ術に長けているフロアとの阿吽の呼吸、これぞライブハウスの醍醐味だ。

KICHIKUは、BUZZ THE BEARSの越智(Vo/Gt)について、他人を褒めるプロだと語る。越智に褒められることで自信がもてたと話し、そんな越智がいい曲だと言ってくれたという「Midnight Summer」を、こんな紹介と共に披露した。

「何気ない瞬間とか、大事なとき、いつでもそばにいてほしいなっていう夏の終わりの曲です」

BUZZ THE BEARSへの思いはまだまだ溢れてしまう。水戸ライトハウスと千葉LOOK、2ヵ所で開催の『カントーロード』について、本来なら交互にトリを務めるのだろうが、今回は両日ともにBUZZ THE BEARSがトリ。「その意味はみんな言わずともわかってると思う」とKICHIKU。

「一度決めたことは変わらないと思う。男気バンドなんで。でもその先のことは、俺たちは変えていけると思う。俺たちがどうあるべきか。みんなが一本でも多くライブに来てくれるとか」

「どういうかたちで帰ってきたとしても、一番不安なのは、受け入れてくれるかどうか。(自分たちが)メンバーチェンジしたとき、不安だったし、前のほうが良かったって声もめちゃあった」と、自身の経験を踏まえたうえで、「BUZZ THE BEARSがどんな形であれ帰ってきたら受け入れたいし、みんなもそうあってほしいなと思います」と続けた。

16年のキャリアが成せる、BUZZ THE BEARSへの思いをしっかり込めた堂々たるライブ。キッズたちもきっちりこのパフォーマンスに応え、全力で楽しんでいた。

多発するシンガロングでは、「お前が頼り!」とKICHIKUに言わしめた猛者のキッズも。

まさにステージとフロアで一緒に作り上げていくのがライブだと言わんばかりの、濃厚な45分だった。

BUZZ THE BEARS

サウンドチェックからそのまま本番へと突入する流れが熱い! 「別れ風」でのライブスタートに早くもブチ上がるフロア。曲を終えると越智は「実はこの曲(「別れ風」)を1曲目にやったのは初めて。最後の最後まで向上心もってやって行こうと思います!」

「光り」「RUN」「サクラ」とたて続けにフロアを沸かしオープニングブロックを終えると、さっそくMCをしながらチューニング…も、言葉が言葉になっておらず「できるかこんなもん!」と越智。

結論。バンド歴は関係なく、チューニングしながらのMCはできる人はできるし、できない人はベテランでもできない。

「全員笑って帰ろうな!」という越智の合図でライブはさらに加速。「カウントダウンのやつでランクインしたことないですけどね、こっちはね、自信もって1曲1曲やってんすよ!!」という怒りにも似た激しい叫びと共に「ROCK'N'ROLL IS ALWAYS WITH YOU」を歌い上げる。沁みた。そもそもこの曲の歌詞とメロディだけでも泣けるというのに、越智の咆哮にグッときた。

「MY WAY」、そして「千葉でやるの久しぶりちゃうん?」という前フリからの「シーフ」、さらには「それでいい」とまだまだ勢いは止まらない。フロアもBACK LIFT以上のダイブ&モッシュ、ツーステが炸裂。イキった男子より、気合い入りまくりな女子のツーステのほうが当たると痛いことを思い出す、なんだか懐かしい瞬間。

今日のBACK LIFTのライブやMCに対して「泣かせてくる」と越智。さらに彼らとは今年一番対バンしていて、大好きなバンドだと話すと、そんなBACK LIFTに1曲、と告げて「約束」を披露。フロアからのシンガロングも響き渡る、スケール感たっぷりのパフォーマンスだ。

「人生の半分以上バンドやってきたんで、バンドマンじゃなくなるっていうのが正直怖くないって言ったら嘘になるんやけど、昨日と今日と、『カントーロード』。昨日もね、いつでも帰ってこいって言われんのよ。次いつ来る?って」

そんな温かいイベントとなった2日間を振り返りながら「どうしても今日はこの曲を」の言葉を添えて「カントリーロード」を熱唱する。ドラマチックな流れを作り出しながら、1番で2番の歌詞を歌ってしまい、途中から「ララララ~♪」となってしまった越智のそういうところが大好きだし、愛すべきバンドマンだなとしみじみ。

ライブ終盤には「high jumpmaster! 俺らに勝つとか言ってたな! 相手になってやるぜ!」と、オープニングアクトでの発言を受けての切り返しも。これは、一旦止まってしまう先輩バンドからの最高のエールではないだろうか。そこからの「サンライズ」が盛り上がらないはずもなく。

そして、越智の「BACK LIFTもhigh jumpmasterも、FOUR GET ME A NOTSも、HOTSQUALLも。続いていくバンドを、続いていくライブハウスを、応援してください。よろしくお願いします」という想いを「雨」に乗せて、本編ラストを全身全霊でぶち抜いていった。

メンバーが退場してすぐに巻き起こる「ワンモア!」の声に応え、再登場する3人。「楽屋でバンドマンが打ち上げ行きたそうな顔してたので1曲だけ」なんて言いながらアンコールで披露したのは「ライブハウス」だ。

越智の「せーの!」を合図に
《かすれた声で叫ぶのさ》
《君の笑顔が見たくて》
のシンガロング。

《一緒に過ごした思い出は消えない》の歌詞を、ひとつひとつのライブでの思い出だと思いながら聴いていた曲だが、今は違う。これまで何度も楽しんできたBUZZ THE BEARSのライブ、そしてBUZZ THE BEARSのおかげで観ることができた景色や味わうことができた経験。彼らの新譜が出るたびにワクワクした感動。友達とBUZZ THE BEARSについて語らった時間。それらすべてが「一緒に過ごした思い出」なんだと痛感した。

「焼き付けたか?忘れんなよ!俺たちが千葉LOOKのBUZZ THE BEARSだ!」

おそらくは千葉LOOKでの活休前最後のライブで、まさしくBUZZ THE BEARSここにあり!を証明してみせたステージ。

最後に「あと30秒!」と告げ、駆け抜けるように「180°」を演奏し、ライブは幕を閉じた。

オープニングアクトのhigh jumpmasterから始まり、彼らの言動を受け止めた先輩2バンドがそのステージでパフォーマンスする。ツアーバンドが地元のバンドと交わり、関係が生まれ育っていく。

千葉LOOKが灯し続けるライブハウスのカルチャーと、送り出すBACK LIFTに旅立つBUZZ THE BEARSという両バンドの熱いエール交換を全身で浴びた、最高のライブだった。

セットリスト

01.別れ風
02.光り
03.RUN
04.サクラ
05.ROCK'N'ROLL IS ALWAYS WITH YOU
06.MY WAY
07.シーフ
08.それでいい
09.約束
10.全てを
11.雪慕情
12.カントリーロード
13.サンライズ
14.クライマー
15.雨
EN.
16.ライブハウス
17.180°

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