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ChatGPTと漫才台本を作ってみた。②

漫才の台本を書いてくださいとチャットGPTに頼んでみたら、予想に反し、関西人二人のハートフルな会話ができた。というのが前回の話である。

あまりにも期待外れの出来に、これなら自分のほうがましだと変な自信をつけたわたしは、AIの台本を無視し、「スナック初心者と常連客の会話」という当初の設定で台本を書き始めた。

チャットGPTが反面教師となり、創作意欲に弾みがついたのだから、思っていたのとは違う形であるものの、AIが役にたってくれたわけである。しかし、わたしのポテンシャルなどたかが知れている。すぐに手が止まってしまった。

こんなとき、チャットGPTがぜんぶ解決してくれると思っていたのは、さっきまでの話。あまり期待はせず、以下のように聞いてみた。

回答を参考に、冒頭を書いてみました。

A 最近、外でお酒飲む機会増えてきたやん。友達と盛り上がるのもいいけど、一人で初めての店にふらっと入ってみるのもええかなと思って。 

B この機会に行きつけの店増やすんやな、ええんちゃう。

A せっかくやから、今まで行ったことのない、ちょっとハードル高い店がいいかなと思ってんねん。

B 政治家が密談する料亭とか、マフィアが取引するバーとか。

A 違うわ。うっかり話立ち聞きしたら消されるやろ。そういうのちゃうねん。昭和のにおいがする、古いスナックとかや。

B 気のいいママと、渋い常連のおっちゃんがいる店な。確かにハードル高そうやな。

A そやから練習させてほしいねん。俺客やるから、おまえスナックの常連客やって。

B わかった。

A こんなとこにスナックあったんや。初めてで緊張するけど、雰囲気よさそうやし入ってみよ。こんばんは。

B お、おまえ新しい顔やな。初めてか。こんな店にどないしたん?

A 偶然通りがかったんですけど、前からこういう店に来てみたくて。そちらは、やっぱりここの常連さんで?

B いや、通い始めてまだ7.8年ってとこや。

A 十分常連さんじゃないですか。

B そうでもないで。この店ではまだまだ若造や。ママ、この子にとりあえずビール。

A え、いきなりいんですか。ごちそうになります。

B 気にせんでええ。金払うのはあんたや。 A え、勝手にオーダーされるシステム。

B なんや、気にさわることしたか? すまんな、俺中学も卒業してへんから、もの知らんねん。

A え、そうなんですか。この人、苦労人なんやな。こういう古いスナックが似合うわ。

B 説明するほどでもない、しょうもない話やで。

この続きを書いてみてください。

チャットGPTの回答

A いやいや、そんなことないですよ。逆に、そんな風に懐かしい雰囲気を持つスナックがまだ残っているってすごいことだと思います。何かおもしろい話でも聞けたら嬉しいですけど。

B おもしろい話か。それならちょうどいい話を知ってるで。実は、この店で起こったちょっとしたドタバタ騒動やで。

A ほんとうに?それは聞かせてください!

B ある日のことやったな。このスナックには、いつも騒がしいけど愛されてるお客さんがおったんや。彼はな、いつも冗談を言ってみんなを笑わせてくれるんや。

A おお、そんな人がいるんですね。楽しそうですね。

B ある日の夜、彼がいつものようにネタを披露してたんや。するとな、なんかネタが失敗して、会場が静まり返ったんや。

A それは気まずい瞬間ですね。

B そうやったんやけど、彼はなんとその場を上手く切り抜けたんやで。思い切って、ミスをネタにしてしまったんや。

A えっ、それってすごい対応ですね。失敗をネタにして盛り上げるなんて。

B そうやで、彼のユーモアと度胸が光った瞬間やったな。みんな爆笑して、なんやかんやでその日の雰囲気は最高潮になったんや。

A それはすごいエピソードですね。彼の面白さと勇気が伝わってきます。

B このスナックには、そんなおもしろい出来事が結構あるんや。毎日が新たなドラマやで。

A それは本当に楽しそうです。ここに来たのは正解やったな。

B そう言ってもらえるとうれしいで。まあ、次はおまえが何かおもしろいエピソードを作ってくれるとええな。

A そうですね、次回は私から楽しい話を披露しますよ。でも、その前にもう一杯いただけますか?

B おお、いいやん。今日は特別におまえの分は俺が出すわ。

A ありがとうございます。これからもよろしくお願いします。

(二人は笑顔で乾杯し、楽しい時間を過ごすのであった)

語彙も豊富で、会話も自然だ。AとBの役割分担もきっちりできている。だが、求めているのはそういうことではない。そつのなさなど求めてはいない。面白くなければ意味がないのだ。

どうすればわかってもらえるのか。質問の仕方に加えて、わたしが面白くもない自作の台本を読ませたのがいけないのかもしれない。
М-1グランプリの決勝ネタを引用して、確かめてはどうかという考えが頭をかすめたが、著作権などのことはわからないので我慢する。そして、いったん台本の生成はわきに置き、別の質問をしてみた。

「こんなスナックの常連客は嫌だ」というお題でアイデアを考えてください。

いわゆるアイデア出しだ。長文を生成するより、こまぎれのアイデアを羅列するほうが得意かもしれない。以下がAIの回答である。

タイトル: 「常連客の陰謀」

ストーリー概要: 主人公はある日、街角にひっそりと佇む古風なスナックに入店します。最初は新鮮な雰囲気に興味津々で訪れた主人公ですが、次第にスナックの常連客たちの奇妙な行動に気づきます。彼らは陰謀を巡らせ、主人公を巻き込もうとしているように見えます。

アイデア:
1.主人公はスナックの常連客たちが、実は秘密の結社の一員であることを知ります。スナックは彼らの拠点であり、主人公が偶然その場にいることによって陰謀が明るみに出ることになります。主人公は彼らの計画を阻止するため、スナックの謎を解き明かしていく展開が描かれます。

2.主人公はスナックの常連客たちが、実は魔法使いや超能力者であることに気づきます。彼らはスナックを通じて特殊な力を秘密裏に行使しており、主人公を利用しようとしています。主人公は自身の力を開花させ、常連客たちの真の目的に立ち向かう壮大なバトルが繰り広げられます。

3.主人公はスナックの常連客たちが、実は悪名高い犯罪組織の一味であることに気づきます。彼らはスナックを隠れ蓑にして非合法な活動を行っており、主人公が偶然その一端を目撃してしまいます。主人公は逃げることも考えますが、彼らの監視から逃れつつ組織の陰謀を暴くために奮闘することになります。

4.主人公はスナックの常連客たちが、実は主人公自身に対して復讐を企んでいることに気づきます。彼らは主人公にとって過去のトラウマや誤解が絡んでおり、スナックを舞台に主人公の人生を狂わせようと画策しています。主人公は過去と向き合いながら、彼らとの対決に立ち向かう決意を固めます。


これらのアイデアをもとに、ドラマチックな展開やキャラクターの心理描写を盛り込んだ物語が展開されることで、常連客の陰謀に挑む主人公の葛藤や成長、そして最終的な解決への道が描かれることでしょう。

そういうことじゃない。「こんな〇〇は嫌だ」といえば、大喜利のお題では定番だろう。AIは大喜利を知らないのか。それならごめんとしか言いようがない。

思うようにいかず落胆したのも事実だが、同時に、AIがこの手のアイデアをいくらでも生成できるという可能性も感じた。おそらく「あと十個アイデアを出して」といっても数秒で返って来るのではないだろうか。

気を取り直し、わたしは質問を少し変えてみた。

つづく。


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