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ハガキ職人から放送作家、そして。最終回

【放送作家16年目(38歳) 現在】

勢いで、過去16年の回顧録を書き上げたものの、さてここからどうしよう…。

静かに机の奥にしまっておくのも一つですが、やはり、モノを書いて食べている人間としては、どこかに出さなければ意味がないという気持ちもありました。

「ハガキ職人」も「放送作家」も、テレビやラジオの舞台裏を書いたとて、今や世間の関心を引くコンテンツとは思えません。しかも日々、情報が更新されているこの時代に、16年前の昔話など誰も喜ぶはずがない。

noteへの投稿は何の計画性も意図もなく、ただの思いつきでした。リアルに言うと、仕事帰りに一人で喫茶店にいて、これから友人と合流してご飯に行くところでした。友人から「1時間遅れます」という連絡が来て、暇を持て余して、何となくノートパソコンから第1話を投稿してみた、それだけです。

翌朝。目を覚ますと、知り合いから何通かLINEが届いていました。

「ハガキ職人、が(ツイッターの)トレンドに入ってますよ!」とか

「吉田豪さんがリツイートしてますよ!」と

最初は何を言われているのか、さっぱりわかりませんでした。そこからツイッターの「いいね」や「リツイート」の通知が鳴り止まず、だんだんと状況を把握していった感じです。

吉田豪さんとは面識はありません。正確にいうと僕が担当していた番組にゲストとして来ていただいたことはありますが、きちんとお話したことはありません。にもかかわらず、ネットの隅っこにあった僕の投稿を見つけてリツイートまでしてくださるとは、改めてそのアンテナの大きさに感銘を受けます。

翌日には、有吉弘行さんにもリツイートしていただきました。ちなみに、有吉さんとは一度もお会いしたことはありません。どのような経緯でリツイートしてくださったかも、わかりません。

こうして、最高のスタートを切らせていただいたのと同時に、自分の中で責任も生まれました。初日と2日目だけで(noteの集計で)10万ページビュー。個人の投稿とはいえ「いい加減なものは出せない」「誰かに迷惑をかけてはいけない」という思いになったのです。

当初は『ハガキ職人から放送作家、そして廃業へ。』というタイトルでした。僕としては「廃業しました」ではなく、常に「廃業へ」という気持ちでやっています、という意味であり、だからこそ「廃業。」ではなく「廃業へ。」にしたのですが、これだけのアクセスがあると斜め読みをする人もいるだろうし、タイトルだけを見て反応する人も出て来ます。各所にご心配やご迷惑を掛けてしまうと判断して、タイトルを『ハガキ職人から放送作家、そして。』に変更させていただきました。

これが、業界のルールから逃れられない放送作家の最大の弱点かもしれませんね。僕がすでに廃業していて、(この業界に未練もなく)守るものが何もなければ、もっと毒っ気の強い恨み節、捨て身の殴り書きが投稿できたと思います。それが面白いかは別にして、過激さを求めるという部分に関してはどうしても筆が鈍ってしまうのは事実です。

余談を一つ。実家に電話をした時、父親から「インターネットで何か書いてるんだって?」と言われました。地元・栃木の田舎町にもこの情報が届いたらしく、ご近所の(お節介な)おばさまが
「おたくの息子さん、収入が10分の1になったらしいですわよ!」
と駆け込んで来られたとか。

うちの親は僕を信頼してくれているので平気ですが、親戚やおばあちゃんの目に届くと無駄に心配させてしまうので「あれは妄想小説だから、心配しないで!」と伝えておきました。

noteに投稿していた3週間は、刺激的な毎日でした。スマホから、ツイッターの「いいね」「リツイート」「フォロー」の通知音が常に鳴っている状態。その一つ一つが嬉しくて、通知機能をオンにしたまま過ごしていたら、スマホのバッテリーの減りが早いこと早いこと。一生のうちにこんな機会はないだろうと自分の名前をエゴサして、あらゆるSNSの書き込みを読み、「なるほど」と次に投稿するネタ選びの参考にしていました。

実は、noteに投稿したエピソードは全体の4割程度です。ネットですし、あまり長いと退屈させてしまうだろう、と喜んでもらえそうなネタを厳選したつもりです。残りのネタは、いつかまた別の機会に。

今日の時点で、(noteの集計で)27万のページビュー。一般人の投稿にしては充分すぎる数字です。これも偏に皆さんの「いいね」「リツイート」のおかげです。本当にありがとうございました。 

noteさんにも感謝です。

今回のことで、いろんな人に会うキッカケが出来ました。再会もあったし、新たな出会いもありました。これもまた、(自分で言うのもなんですが)かなりドラマティックで、いつか話せる時が来たら、皆さんにも共有したいと思っています。

これにて、noteの連載は終わります。

特にこれといったオチがなくて、すみません。というのも、ここが「終わり」ではなくて、僕にとっては、まだまだ「これから」なんです。そのためにも、近々でまた何かしようと思っています。

あ〜、名残惜しくて、どうしてもダラダラと書いてしまう。

終わりましょう!

存在が消えるわけでもないですし、もしよかったらツイッターや公式サイトもあるので、引き続き仲良くしてください。リプやらメッセージを飛ばしてもらえると嬉しいです。

あ〜、終わりたくない。…いや終わろう!

短い間でしたが、皆様、本当にありがとうございました。

終わり!

細田哲也


10/15追記:続きの連載をスタートしました。

消臭力(彼女)についてのお話は、コチラヘ


放送作家 細田哲也 ウェブサイト

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