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宿泊施設としてクレームといかに向き合うか。

マネージャーという立場である以上、クレームがあると出ていかなければならない。(なるべく自分が出ていかずに解決してもらえるのが理想だが。)

これまでも、ひたすらフロントでゴネられたり、電話で長時間に渡って拘束されたり、顔から10cmほどの距離で関西弁で罵声を浴びさられ続けたこともある。おそらくマネージャーをやっていれば、多かれ少なかれ経験することではないだろうか。

幸いなことに、自分は若い時におっかなくもかっこいい先輩達に囲まれて過ごしたので、よほどのことがない限りビビったり、取り乱してしまうことはない。

とはいえ、そのようなクレームの対応自体、気持ちのよいものではないので、できることなら避けたいし、スタッフにもそんな思いはして欲しくない。

クレームは改善のチャンスである

クレームを受けるのは精神的に堪えるし、どのように受け取り、対処できるかは人間力や人生経験によるところも多い。特に若かったり、メンタルの弱いスタッフは取り乱したり、自己防衛に入ってしまったり、言い訳に終始してしまったり、凹んでしまったりなどということも少なくない。

しかし、クレームは正しく対処すれば宿を改善するチャンスになりうるし、何も言わずに嫌な思いをしていくはずだったお客様に対して、よりよいサービスを提供することができるキッカケになるかもしれない。

クレームの大半は大事になる前に解決できる

クレームの原因が些細なことであったりする事は多い。ではなぜ、クレームとして大事になってしまうのだろうか。

スタッフのいい加減な対応や、事実確認の怠り、スタッフ間での引継ぎ漏れ、できない約束をしてしまうなど、宿側の落ち度であり、その大半は初動対応さえ間違えなければスムーズに解決できるはずのものだ。

その一方で、明らかに言いがかりだと思えるものや、お客様の過失により起きた被害を宿泊施設側の責任だと主張してくるお客様も残念ながら存在する。

では、クレームとはどのように向き合うべきなのだろうか。
自分が心がけていて、スタッフにも浸透させたいと思ってるスタンスと手順を紹介しようと思う。

クレームへの基本スタンス

・お客様は神様ではないが、自分にとって大事な人として接する。
・どんなお客様からのクレームであっても真摯に受け止め、改善する要素や糸口は常に探る。
・できない約束をしない
・謝る場合は何に対して謝っているのかを明確にしたうえで謝る
・お客様が何を求めているのかを見極める
・お客様に納得してもらいつつ、限りなく宿に損害を与えない解決を目指す
・過剰な要求には毅然とした態度で立ち向かう
・こちらから金銭の話はしない(相手が金銭を要求してきたら恐喝の疑いが起きる)

ドミトリーや共有部がある宿泊施設において、質の低いお客様が、他のお客様の宿泊体験を台無しにしてしまう可能性がある。
そのため、クレームとは真摯に向きあいつつも、過剰な要求には毅然と立ち向かう覚悟が求められ、場合によっては宿泊をお断りする必要もある。

クレームの種類と意図を見極める

クレームには種類があり、早い段階でその意図を見極めることで、初動対応を間違えずにすんだり、対策が練れるため、よりスムーズに問題を解決しやすい。

・宿に何かを改善してもらいたい
・ただ話を聞いてもらえればいい
・なぜなのかの理由が知りたい
・自分のことを特別扱いして欲しい
・何がなんでも謝らせたい
・譲歩させ、見返りを得たい

お客様をクレーマーにしてしまわないように注意する

クレーム対応の際に気をつけたいのが、安易にお客様をクレーマーにしないことだ。

以前働いていたホステルで、少し主張があるお客様を、すぐにクレーマー扱いしてしまうの女子スタッフがいた。
彼女がお客様からクレームを言われてると文句を言いながらオフィスに入ってきたので、フロントに出ていって話をしてみた。すると、もともと無料で提供していたサービスがなくなってしまったことに対して、残念だという少しネガティブな感想を言ってるにすぎなかった。

『無料で提供していたものに対する評判がそれほどよくなく、コストもかかっていたので、会社の方針で打ち切ることになってしまった。』のだと説明すると、納得してくれ、軽い冗談も飛ばして会話は終わった。

なんのことはない、お客様からのクレームに対し、どのように向き合うかのスタンスの差でしかないと思っている。

最後に基本的なクレーム対応の流れを紹介したい。

**クレーム対応の基本手順 **

1. 感情を抜きにお客様の話を聞き、クレームの内容を把握する
2. 不快にさせてしまっていることを詫びる(具体的なことには触れない)
3. 明らかにこちらの落ち度であったり、すぐに解決できることであればその場で対応する。(スピードが重要)
4. 難しい問題の場合は、状況を確認するために、一旦お待ちいただく。(席などに座ってもらう)
5. お待たせしてしまうようだったら、連絡先を聞くか、後ほどお越しいただくようお願いする。
6. 確認できる情報を全て洗い出し、クレーム内容とあわせてまとめ、スタッフの誰が見てもすぐに理解できる状況にしておく
・予約情報(予約経路、予約者名、予約番号、滞在期間、宿泊人数、部屋タイプ)
・お客様の情報(泊まっているベッド番号、国籍や年齢、性別など。)
・クレームの内容
7. 対応の方針をまとめる(予備案も用意する)
8. 責任者による説明と話し合い

さいごに

今回書いたクレームに関する考え方や対応の手順は、理想論であり、宿のスタッフが全員できているのが望ましい。しかし、口頭で教えるには限界があり、各スタッフがそのような環境下で経験を積まないとになかなか身につかない部分でもある。
このあたりの話はまた今度、スタッフ教育についてnoteで書きたいと思う。

口コミについてどう返答するかについても書いたので合わせて良ければお読みください。

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ばしょう(@hostelmanager_b)でした。

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