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結婚生活は妥協か

生きるために文学が必要だとぼくは思う。資本主義の現実社会の諸関係は、非人間的な強制力を持つからだ。温かい心の夢のある物語が是非とも必要だ。暗い世界でも、物質的な貧困に悩まされてもいいが愛がないと生きていけないから、小説(芸術一般)の世界だけでも愛が最低限あってほしい。エゴンシーレというヨーロッパ20世紀の画家を描いた映画を友人と二人で鑑賞したことがあった。ピカソもそうらしいがモデルの女性を次々に変え、モデルの女性が嫉妬に苦しんで破滅しても、自分の芸術のためなら仕方がないと平然としていられる、というモラルがぼくには許せなかった。ぼくは芸術より実生活に優位を置く考えだったが、友人はモデルとなる女性はそうなることを覚悟の上でモデルの仕事を受けるべきとの考えだった。芸術家を愛するとはそういうことで、パートナーの方にも芸術至上主義が求められると友人は言うのである。文学も芸術であり特定の人との結婚は必ずしも優先順位の最上でなくてもいいのだろうか? 村上春樹は家庭を崩壊させないためには妥協もあり(つまり結婚生活は妥協だ)という考えだった

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