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乱読読書日記③よしもとばなな「花のベッドでひるねして」

いつからか覚えていないが、よしもとばななが好きだ。大好きだ。

好きな作家さんの中でも元気とやる気がある時にしか読めない作家さんと、どん底でしかも浮上したくない時に読む作家さんなど

作家さん毎に相談相手のような立ち位置が決まっており、よしもとばななさんはどん底で、だけどなんとか持ち直したい時に読む。

優しくて強い女友達に相談した後のように元気をもらえるから好きだ。

この本では、海辺に捨てられていた女の子が主人公だ。穏やかで優しい家族に文字通り拾われ、ささやかだが幸せな日々を積み重ねていくお話。

もちろん辛いこと、苦しいこと、嫌なことは起きるが、一つ一つに「違うこと」をせずにまっすぐに向き合っていくことで「違わないこと」が返ってくる…。

なんだかこれだけだとこの本を読まないと訳がわからないですね。

この物語で特に好きなのが最初の十数ページで語られる主人公の人生観だ。

人生ってまるで夢のように幸せ。人から見れば気の毒に見えるかもしれない生い立ちでも、まるで花のベッドで眠るように心から幸せ、という主人公の人生観を追っていると、自分の持っているいろいろな悩みが小さいことに思えてくる。

思えなかったとしても「人生は幸せ。花のベッドで昼寝するように。」と心の中で反芻するだけで少し心が軽くなる。

ああ、昨日は楽しかった、あのときもこのときもなんていい気持ちだったんだろう。あんないいことがあってよかったんだろうか。そんなふうに心から思う。子どもの頃からずっとそうだった。
たとえそんな調子でもみんな生きていて、時にはわずらいを忘れて子どものようにおひさまの光を浴びたり、風に吹かれたり、おいしいものを食べて微笑んだりしているからだ。

昨夜この読書日記を書くために久々に読み返し、

そういえば最近心がざわざわするな、おひさまの光を浴びてないな、と思い早起きして散歩をした。

思っていたより外はずっと暖かくなっていて、陽の光が気持ちよくて、会社に急ぐ人、保育園へ行く親子などとすれ違って。

なんてこともないのどかな朝だった。

でもそれだけでちょっと幸せを感じられたので今日は良い日だった。


























































































































































































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