息子の少年野球で、未熟者の私が学んだこと⑭

主な登場人物はこちらから。

飲み会が終わって年が明けた頃、チーム全体の餅つき大会が行われた。
担当は低学年チームの保護者=母親。
飲み会で恵美子にリストを見せられ、各自家にある道具を持ち寄ることになった。
キャンプ用の椅子、テーブル、ガスコンロ等。
主にアウトドアをする家庭中心にそれは持ち寄られた。
我が家もキャンプ用品は一通り揃えているが、貸し出したのはガスコンロだけだった気がする。

恵美子から概要を聞かされる前までは呑気な気持ちでいた。
各家庭で豚汁を作り、鍋ごと提供する。
私はそれだけして、あとは夫に任せようと思っていた。
恵美子にそれを伝えると、
「いや、ママに出てほしいんだよね」と。
長テーブルに豚汁を並べ、そこに母親達が立ち、給食のようにお椀を持ったコーチや子ども達に豚汁を配るというのだった。
そして、下の子は、
「火があって危ないから連れてこないように」
とお達しがあった。
下の子がいる家庭は、父親と家で留守番せよとのことだった。
でも、上の子はよいと。
夫が仕事で家にいない家庭はというと、配膳係ではなく、下の子を連れながら団員の見守りという役目を課せられていた。
家が近いザギトワは、しっかりした小学校高学年の娘に未就園児の下の子を任せて出て来ていた。
大変そうだったのは、多江。
活発な未就園児の下の子がじっとしているはずがない。
その子を追いかけているだけで、役目を果たせるわけがない。
小さい子が好きな梨花の上の子がその子と遊んでくれて、その場に留まることができた。
そこまでする必要あるのか?

いったい何のための餅つきなのかと思った。

監督コーチ団員は、校庭で軽めの練習をし、餅もついていたのだと思う。
誰が餅をついていたか記憶が定かではなく、長テーブルで餅を配る係の母親達もいたから、そちらが餅ついて出していたのかもしれない。
私の記憶は、豚汁配りながら見た長テーブルからの景色。
バーベキュー会場のようにセッティングされた場所で、餅と豚汁を食す男たち。
夫と下の子を家に置き、上の子を連れて楽しむ家族をもてなす私達。
境遇が似ている美智子とは同じ気持ちだったと思う。
突然、「ちょっと!〇〇(低学年チームの名前)のお母さん達!今食べないと時間ないよ!!」
という声が響いた。
上級生チームの母親だった。
部活さながらの大声で指示を受けたのだ。
その指示に過剰に反応して、いそいそと食事タイムに入る人もいた。
たまたま自分の子どもの学年が下なだけで、親にも上下関係があるのだと目の当たりにした瞬間だった。

「あーもうダメだ」と思った。


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